1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

先を行く人3:AL型授業の先に・・・探究型授業の模索

なかまくらです。

2022年から、授業が変わります。

今から、10年ほど前。私が大学生として受けた教師になるための授業を受けていたころ、

アクティブラーニングという言葉は聞いたことがなかったのですが・・・。

教員になって3年くらいすると、

盛んにアクティブラーニングという言葉を聞くようになりました。

これからの時代は、アクティブラーニングで学ばなければならない。

講義中心の授業ではいかんのだ、と。

そこで、本を買ったり、セミナーに参加したりしながら、学び、

ようやくそれらしいものを得られたのが、2年前。

ところが、2022年から授業が変わります。

およそ10年に一回、学習指導要領という、教授内容の改定があるのですが、

次回の学習指導要領には、アクティブラーニングという言葉はないのです。

もはや馬鹿にしているレベルですね(笑

「ちょっと、これは違ったわ(笑)」みたいな。

何かを学ぶとはもっと普遍的なことなのではないのでしょうか?

そんな10年くらいのうちに、教え方が変わってしまうって、

また、1から授業研究をするわけで・・・大変ですわー・・・。


と、文句を言いつつ、準備に取り掛かる3学期でした。

年間70回の授業で、探究活動を年に7回取り入れながら、

知識を今まで通りに入れていく、という無茶ぶりなのですが、

私の3学期の試みは、

小林先生に教えていただいた、AL型授業の教えを活かすことでした。

小林先生は、全部がアクティブラーニングでなくてもいい。

「ちょっとだけ話し合いしたよ」というだけでも、AL”型”授業といっていいよね、

と言われていて、

じゃあ、探究活動は難しいから、探究”型”授業を考えてみよう、と。

物理基礎の授業で、実際の現象を計算で明らかにしてみよう、という目標と、

"Ungoogled Knowledge”(検索しても出てこない知識)の獲得を目標としました。

計算のない、定性的な関係だけの理科は、中学校までにしたいのです。

定性的なものを理解し、その先へ進むことこそが、高等教育における理科でしょう。

さて。授業の初めには

「今から与える知識は間違いなく正しいが、そのあとに取り扱う現象についての計算は、あくまで私が考えたおおざっぱなものだ。計算の精度を上げるにはもっといろいろなことを考えなければならず、私はあくまで君たちを探究の入り口に連れていくことしかしないのだよ」

と伝えます。

さて。私の実践した授業は次の通り(詳しい内容は必要でしたら聞いてください)

第35回 フェーン現象はなぜ起こるか(熱容量)

第36回 フェーン現象2(凝縮熱)

第37回 まとめと演習

第38回 サウナでなぜ火傷をしないのか(熱容量保存則)

第39回 まとめと演習

第40回 なぜお手玉は弾まないのか(熱と仕事の関係)

第41回 エンジン内で自然発火するのはなぜ(熱力学第一法則)

(幻の第42回:エンジン2(熱効率))

第42回 地震とは何が伝わっているのか(波の3要素、v=fλ)

第43回 地震2(P波とS波)(縦波と横波)

第44回 ノイズキャンセリングでなぜ雑音は消えるのか(合成波)

ちょうど10回やりましたが、だいたい1時間の授業を作るのに、

8時間くらいかかっています。

どの授業もなかなかの難産でした。だんだんコツはつかめた気はしますが。

はてさて。

年間70時間あるとして、あと60時間分を作るわけで、

あと480時間あれば、一回通りできますね(笑


まだまだこれからです。

過去の研究。


先を行く人:アクティブラーニングのお話
先を行く人2:探究とPBLの話






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とある遊び

とある放課後・・・。

「江戸にもっていける道具、何がいいだろう?」
「サンダー(電動やすり)かな?」
「電気ないやん」
「エレキテル、あるじゃないですか。平賀源内の」
「エレキテルって、何Vあるの?」
「ええっと、7000Vくらいあるみたいですよ」
「へぇ~」
「じゃあ、ドローンとかいいんじゃないですか?」
「「どろーん?」」

「ほら、伊能忠敬もそうしたら歩かなくて良かったわけで」
「まさかの伊能忠敬、失職(笑)」

「電気って便利ですねぇ・・・」
「いっそのこと、もう、平賀源内持っていけばいいんじゃないですか?」

「いや、平賀源内、現地に行けばいるから!」
「あ、じゃあ、平賀源内を探すための道具を・・・」

「そうしたら、電気使えますもんね!」
「レベル3の武器が開放された! みたいな感じですね(笑)」

「当時、ライデン瓶なかったはずですからね(※間違いで、ライデン瓶は、エレキテルにも搭載されていた)」
「ライデン瓶?」
「コンデンサーみたいなやつです」
「へぇ~」
「そういえば、電気といえば、雷雲に凧を上げて、電気を集めた人、いませんでしたっけ?」

「いましたね。フラン・・・なんだっけな?」
「フラン? フランソワ? フランケン?」
「あ、フランクリン」
「それだっ!」
「ベンジャミン・フランクリンだね、ほら、世界史の資料集に載ってるよ」
「さすが資料集! すごい!」
「あ、見たいです!!」

「あー、この絵ですよ。そうそう」
「でも、この人が電流の向きを間違えたから、電子をマイナスにして、マイナスのものが動く方向の逆向きに電流が流れるなんていう、ややこしいことに・・・!」
「はぁー」

「時は金なり、ってこの人の言葉だったんですね~」
「この人は天才だよ。政治家としても活躍したし、フランス革命とかにも関わってるからね」
「でも、電流の向きは間違えたんですよね」
「いや、許してやりましょうよ!笑」


・・・という今日の、職員室の放課後の会話。

いろんな分野の人がいるって、なんて面白いんでしょうね。

高校生に、こういう学びを提供できないものかなぁ。





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はじまりそうな、働き方改革の予兆2

なかまくらです。

働き方改革は、社会でどういう風に受け止められているのでしょうか?

ついに私の職場にも働き方改革がやってきたわけです。

私の受け止め方は否定的。

なぜか。

チーターとダチョウの競争を知っていますか?

チーターは時速120km、ダチョウは時速70km。

チーターは20秒くらいでバテる一方、

ダチョウは時速60kmくらいなら1時間くらい走り続けられるそうです。


私は、チーターかダチョウか、と言われれば間違いなくダチョウ型。

全力の出力は小さいけれど、持続的に長時間走れるタイプ。


さて、働き方改革は何を求めているか。

みんな20秒で仕事しましょう! 競争ですよ! というわけ。

よーい、どん。

もちろん、出力が小さい私はかなわない。

ほかの先生方は、先生だなっていう仕事をするんです。

言葉の選び方とか、指導の考え方とか。


つまり、言いたいことは簡単。

働き方改革って、どう思いますか?


私の受け取り方。

テキパキ仕事のできる能力のある人だけが生き残れる世界だなぁって、

そう思いますね。





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はじまりそうな、働き方改革の予兆

なかまくらです。

いよいよ、私の勤める学校にも、働き方改革がやってこようとしています。

働き方改革、というけれど、強制的に帰れーー!

というものになりそうな雰囲気です。

業務量は減らぬ、時間は減る。

AIに計算してみてほしいものです(笑)。

朝のHR、授業(4h)、帰りのHR、掃除

これで、5時間。あと3時間(笑)。

進路課の業務で電話が4本、夏期講習の案内の手直し。合わせて1時間。

あと3時間。

小テストのチェック(200枚)で、1時間。1枚役20秒のペース。

あと2時間。

期末テストの続きを作る(50点分)で、1時間。

あと1時間。

木曜日の科目選択の説明会の準備(理科主任の仕事)で、1時間。

ここまでっ!!

ここからっ!!

残業で、部活動を1時間指導する。

さて、やってないことが5個くらいあるまま、今日は帰宅しました。

あと4時間くらい必要なんですけどね。。。





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駿台教育セミナー 行ってきました。

なかまくらです。

今日は2月に入って3回目の休みでした。

この休みを生かして東京へ。

東京の池袋の駿台予備校で、駿台教育セミナーを受講してきました。

ようはお勉強です。

物理のお勉強。


昔夢中になって読んだ「キノの旅」というライトノベルがありまして、

その中の「コロシアム」というお話。その冒頭。
「だけど…たまには自分の最高の実力を出すべきだ!
 そうしないと…知らない間に腕は鈍るモノさ…。」

そんなせりふがあります。


この駿台教育セミナーですが、毎年必ず行くようにしていて、

今年で教員6年目なので、6回目の参加でした。

一昨年からは、笠原先生という講師の方の授業を取るようにしていました。

なにせ、この先生、無茶苦茶賢い。

言い換えると、なんかすごいんだけど、言ってることが難しすぎて理解できない(笑

でも、物理が面白いってことは12分に伝わってくる。なんか幸福感?

大学生の頃なんて、ぽけーっと感覚的に物理をやっていましたが、

こういう物理によくついていけていたなぁ、若いってすごいなぁって思ったりしますね。

今回のセミナーは、大学初等レベルの力学の講義。

回転系と質点系と非慣性系のお話でした。

50分で8ページ。6コマだったので、50ページくらいノートを取りました。

最後のほうとか、手に力はいらなかったです(笑


でも、肌感覚として、自分が教えている生徒も、

1年後や2年後に、こういうくらいの講義とその内容に耐えられるだけの

素地を身に着けてやらなければなぁ、と目標を新たにするとともに、

ああ、勉強不足の井の中の蛙ですなぁ、

と自分の立ち位置を再確認することができるのでした。

いまの学校って、教科の専門性を求める動きが薄まっている気がします。

どちらかというと、教授方法ばかりがフィーチャーされている。

でも、この科目は、この人に聞けば大丈夫、というお方がいないと困るでしょう。

そういう絶対的な存在になりたいなぁ、と思うのでした。

帰りの新幹線はゴルゴ13を読みながら帰ってきました。

ゴルゴ13も面白い。物理ももちろん、面白い。

さて。今週は卒業式ですね。





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