1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

【小説】黄金と白銀

なかまくらです。

新作です。


・・・・・・・・・・・・・

薄い色のアスファルトに固められた道の上を、女が駆けていた。
女はヒールのある靴を高らかに鳴らす。響きわたる音は、赤と黄色、両側の建物の通路に面した木枠の窓をバタン、バタンと閉めさせていく。見て見ぬ振りをすることが、ここで生き残るルールなのだ。
追う男たちは、素足。くるぶしから先は黒いタイツが全身を覆っていて、手首の先と首から上は白と黒の縞縞だった。エチケットで下半身には縞縞のブリーフを履いているつもりなのだが、それが一層絵柄を犯罪的に仕上げていた。


入り組んだ道を右へ左へと曲がり、4段ばかりの階段を駆け上がり、少し広い路地に入ったところで女は足を止めた。すかさず追いついてくる男たち。肩で息をする女の腕には、ジュラルミン製の鞄が、自分に何があったとしてもこれだけは守らなければならない。そんな決意とともに抱えられていた。
男たちが、犯罪的な格好で、付け加えるならば犯罪的ながに股で、女に近づく。

「げへへ・・・おじょーうちゃん」 これまた犯罪的。
「な、何か用ですか!」 女は声音を押さえて言い返す。化粧でうまく隠してはいるが、よく見れば、まだ10代の半ばくらいではないかという少女であった。
「別に、じょーうちゃんに用はないんだな」 別の犯罪的男がそう答える。
「で、でもなぁ」「なぁ」「そうなんだよなぁ」「そうかもなぁ」口々にそう言い、
「そのケースの中身、渡してくれたら大人しくも引き上げてやらんこともない」 リーダー格と見られる黄金のブリーフの男が、そう言った。
「こ、これはこの街の再建と復興のためにどうしても必要なものなんです! どうしてそれがわからないんですか! あなたたちだって、この街の空気を吸い、この街の水を飲み、この街を歩き、人々とすれ違っているのに・・・」 少女の声は次第にうわずって、意志の強さを感じる瞳は潤み始める。街は、指定ごみ廃棄区域に隣接していた。

「こんなゴミまみれの街に、何の希望があるって言うんだーい」「ゆーんだーい」 男たちはからかいの言葉を掛ける。

ごみを廃棄する場所がなくなり、ついに政府が決めたのは、ゴミを積み上げた丘を作る方針を打ち出した。洪水によって住居の大部分が全損(または半壊)状態になった地域をリストアップし、その地から住人を強制退去させたのが、今から50年前。

「確かに一度は時代から後れをとったのかもしれない。でも、この街は、まだ生きているの! 息づく人々がいるの。だれが諦めたって、この私は、諦めないわ。諦めないことぐらいしか私には出来ないから」
「お前はおじいさんにそっくり、くりのすけだな!」「お父さんはとっとと蒸発して」「じいさんは過労でぼっくり」「そして残ったくりのすけ~」 男たちは口々にそう言い、
「ともかく、我々は我々なりのやり方で、この街を愛しているんだよ」 黄金ブリーフの犯罪的リーダー格の男が犯罪的な薄笑いを浮かべてそう言った。
「なにそれ・・・」

砂粒レベルに砕かれたゴミは限界まで埋め立てられた。舞い上がる粉塵に住人は洗濯物を干すのを諦めた。作物を作ることを諦めた。食事を楽しむことを諦めて、そして、この街に住むことを諦めた。出て行ったものも多くいた。

「俺はな、この街を滅ぼすことにしたんだよ」 黄金ブリーフは、いつになく真面目な顔をして言葉を繰り出していた。他の男たちも、神妙な面もちで、がに股で、もはや犯罪的だった。
「滅ぼすって・・・」
「簡単な事さ。街に住む人間がいなくなれば、街は滅びる。じょーうちゃんだって、見たことがあるだろうさ」
人間のいなくなった住居が急速に古びていく様子が脳裏で再生され、少女は肩を強ばらせた。
「そんなこと・・・させない」

「強い意志だけじゃあ最早無理なのさ! 集まった同志を見て見ろよ! お前は一人、俺たちは沢山だ」 沢山のブリーフが頷いた。
「でも・・・それでも・・・」 少女は、行き止まりに向かって後ずさりを繰り返した。
男たちは、距離を保ちながら壁際に追いつめていった。建物の向こうに空は遠く、通路の入り口までもまた、遠かった。

「あぁ・・・」 どこかに安堵もあったのかもしれない。これでやっと諦められるのだ。一人が減り、二人が減り。その街の様子を見ながら育ってきた。隣の席の男の子がいなくなり、斜め左後ろの親友だった女の子もいなくなった。それから、担任の先生が転勤して、新しく着た先生もすぐにいなくなった。次は自分の番だと思ったのに、いつまでも順番は回ってこなかった。おじいちゃんは市長になっていた。お母さんは身体を壊して、お父さんはある日突然、順番がきていなくなった。それからおじいちゃんはいなくならなかったけれど、過労で死んだ。きっと順番がきたからなんだと思った。それで、やっと、今度こそは、順番がきたんだと思って、目を閉じようとした瞬間に通路から伸びる影に気づいてしまった。

「あぁ・・・」 それもまた、安堵だったのかもしれない。その影は、見て見ぬ振りをしなかった。その影は、こちらに向かってまっすぐに進んできた。その実体が遠めに見えてきたとき、少女は思いっきり悲鳴を上げた。
「うぎゃああああー!!」

その男は、頭に白銀のブリーフを被り、太股の間にまるで堪忍袋のような大きな袋を持っていた。そして、驚いて振り返った男たちに白銀ブリーフはこう言った。

「成敗!」

「もう勝手にして!」 少女が叫ぶ中、白銀ブリーフはあっという間にボコボコにされてしまった。

ところが不適な笑いの白銀ブリーフに、男たちは少したじろいだ。よく見れば、いつの間にか逆立ちをしているではないか!
「よく見なくてもわかるでしょ!」 少女は逃げ道を探していた。壁に這う下水道のパイプ・・・登れるかっ!

「なんだそれは! 逆立ちしたってかなやしないさ!」 男のうちの誰かがそう言い、

「聞いたことがないか? ある、部族の戦い方」 白銀ブリーフは、手に力を込め、そして顔を少し赤くしながら、逆立ちを続けた。

「ぐはっ!」 男たちのうちの一人が突如倒れる。
「い、一体何が!」 動揺するうちに、ばたりばたりと倒れ、最後には、黄金ブリーフまでもが、しゃがみこんだ。

「き、貴様何を・・・」 痛みをこらえるようにして絞り出した声に、白銀ブリーフは答えた。
「脳にある一定以上の血流量を送ることによって、俺は超能力が使えるのさ」
「そのための・・・頭のブリーフだったのか・・・なるほ・・ど・・・」 黄金ブリーフはそれを最後に地に倒れた。


「ふん、この程度か・・・」

白銀ブリーフは、少女に一瞥をくれることもなく、通りの入り口の方に歩いていく。
光の中にその露出の多い背中が見えて、少女は、思わず声を掛ける。

「あの・・・! ありがとうございました」
白銀ブリーフは歩みを止め、手を挙げた。それから再び歩き出した。今度は止まらず。
「いいってことよ」
「あの・・・あなたは・・・」 少女の口から何か本人すら思いもよらない言葉が出ようとしたとき、白銀ブリーフはこういったのだ。

「俺は、お前のファンになった者さ」


いらねーよ! 全力でそう思った少女であったとな。





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【小説】うす塩ゴリラ

なかまくらです。

SFっぽい作品です。

どうぞ~


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うす塩ゴリラ
                            作・なかまくら
                            2014.10.6

A.I.005年。
After Invert(世界反転後)、5年の歳月が経とうとしていた。

「ラックス隊長」 呼びかける若い声があった。
「なんだ」 艦内の通路。
「本日付で、第弐航空斥候部隊に配属されました。ツバキです」

軍服に身を包んだ若い女性は、そう言って踵を付けた。自分よりも十(とお)は下だろうか。意思を感じさせる目。それから口元。鍛えられた身体つき。ラックスは、ため息をついた。

「斥候って、どういう職業かわかるか?」
「はい」
「毒見役みたいなもんだ。死んだら悪かったなって、二階級特進。そんなものになりたかったのか」
「はい」 淀みのない返事であった。
「なぜ?」 ラックスは思わず聞き返した。その質問が、何か自分の中に燻ぶっているものを呼び覚ましてくれそうであったのだ。
「なぜでしょうか・・・。ラックス隊長は、どう考えていますか?」

失礼な部下が、質問に質問で返したため、その問いの答えは出ることがなかった。



太陽がその寿命を終えようとしていた時、ンゲンニは太陽を再生しようとした。難しいことは分からない。ただ、その結果生まれたのは、青緑色の太陽。それはまるで地球が失った色のようであった。
そして、ほどなくして奴らは現れた。



「『スター・リーダー』聞こえるか?」 ラックスは母艦からの無線に我に返った。
「こちら『スター・リーダー』聞こえます」 無線に応じる。
「近くに時空の歪みが検知された。もう少し接近できそうか?」
「・・・『スター・リーダー』了解」 死ね、というのか。ラックスはその言葉を飲み込んだ。
「『スター・6』後に続きます」 新人パイロット・・・ツバキの声であった。
ラックスは、慌てて無線のチャンネルを切り替える。
「死ぬかもしれないぞ」 低い声音を使ったつもりだった。
「大丈夫です!」 低い声音を使ったつもりだった。
「・・・おいおい」 無線を切り替えて、
「『スター・リーダー』了解。2機で向かう」 低い声音を練習してみた。


奴らの出現は突然である。

「『スター・6』より、艦長、ミズネ級7です」 ツバキが奴らの出現を告げる。
「『インパクト隊』、『メテオ隊』全機発進」 ラリゴ級戦艦から、搭載機が産み落とされる。文字通り、柔らかい質感の窄(すぼ)んだ口から白い卵型の硬質な物体が射出されると、その甲殻を開き、翼を成す。編隊を組んで、迎撃に向かう。

「戦闘が始まるんですね」 どこか嬉しそうなツバキの声に、
「『スター・6』、我々は帰艦するぞ」 ヌメりのある操縦桿、座席。その機体の無線のチャンネルを変えると、ラックスは応えた。

飛び交うレーザーを掻(か)い潜(くぐ)ってラックスとツバキは飛行を続けた。射程距離内の空間に熱源を感知すると、その部位をコンピュータが自動解析。砲身の方向から、予測される軌道をモニターに映し出す。その予測軌道から逃れる。その繰り返しである。何度も繰り返した訓練の通りに。迫りくる死の恐怖に感覚を麻痺させてはいけない。
ラックスは、努めて平静に振る舞った。自分と言う生物のもつ本能を意識しようとする。・・・恐怖。それを呼び覚ます危険。それを感じようとするのだが、A.I.以前、感じられていたあの感覚がどうしても呼び起こせなかった。まだ、軍のパイロットであった頃のあの感覚を。まるで、生物としての何かをすでに失ってしまっているかのように。
「あははははっ! すごいっ!すごいっ!」 無線から聞こえてくる狂ったような声は、ツバキのものであった。
ツバキの言葉を思い出す。「斥候」「毒見役みたいなもの」「そんなものになりたかったのか?」
そう。なることで、何かが分かりそうな気がしたのだ。
「『スター・リーダー』から、『スター・6』。ツバキ」 ラックスは思わず、チャンネルを切り替えていた。
「『スター・6』より、ラックス隊長、なんですかっ!?」 上気した声が聞こえてくる。
「あの質問に答えよう。俺は、斥候になって、それで、なにか、そう、俺が、生物であったころに持っていたはずの本能が取り戻せるような、そんな予感がしたんだ。お前に会って、お前の飛行を見て、俺は、改めて考え始めることができた。礼を言う」 ラックスはレーザーを掻い潜り、見上げるわけでもなく、見下ろすわけでもなく、ただ、自分の未来の方向を向いてそう言った。
「・・・なんですか? それって、セクハラですかっ!?」 少しの沈黙の後、そんな言葉が返ってくる。
「なっ、そんな・・・。なんでそうなる!」 ラックスが、顔を少し赤くして言い募ろうとすると、
「隊長・・・あれを見てください」 ふいに真面目な声が響いた。正面の画面の右端に画像がリンクされる。
「コブシ・・・?」 ツバキの呟くような声は言いえて妙であった。
握り込まれたような5本の指。レーザーではない、実体をもった物質が先ほどまでラリゴ級戦艦があった付近に向かって進んでいた。



負傷者の手当てが進む中、ラックスは、戦闘中観測された『コブシ』について、報告をしていた。もし、『コブシ』が新兵器ならば、サンプルを手に入れる願ってもないチャンスであった・・・・・・。




「速度ランデヴーOK」 ラックスは無線で待機完了を告げる。
「『スター・2』OK、『スター・5』OK」
「『スター・6』OK」 準備が速やかに完了する。
サンプルの回収。近づいてみると、その白い物体はまさに握りこぶしそのものであった。その側面には、なにか文字が刻まれていた。
「<NaCl(ナックル)>・・・?」 ラックスにはそう読めた。

艦に戻った彼らは、その物体をこぞって嘗(な)めた。
それはしょっぱいという感覚。柔らかな液体の中にこぽりと泡が立ち、キラキラと光る天上へ向かって立ち上っていく感覚。そして、間にある薄い膜の存在。それはまるでそう、なめくじが浸透圧の差に気付くような。

ラックスは、自分の立っている足元をしばし眺め、
低い声で、ゆっくりと悲鳴を上げた。










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2次創作_公開中止

訳あって公開中止。ごめんなさい。






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【小説】宇宙ティー探訪記

なかまくらです。

どうぞ。




宇宙ティー探訪記


作・なかまくら


2014.8.24


 


 


「おい、新人。俺は宇宙ティーが飲みたい」


言った男はテキトーな男であった。


「はい。」


返事をした新人は、髪を短く刈り上げ、きりりとした眉に力を感じる男であった。


 


宇宙ティーというのだから、宇宙の無重力空間で作られた茶葉を使ったお茶なのであろう。新人は想像をめぐらし、そのような製品があるかどうか、インターネットで調べた。


しかし、どうやらそのような記述はない。本当に新しい研究はネット上にはなく、お金を出さなければ買えない情報なのだ。


新人はひとつ息をつき、1年後、国立宇宙工学研究所の研究員となっていた。


「なるほど、宇宙でお茶を栽培するというのは、面白い試みだ。今までほかの植物についてはいくつかの実践例があるが、お茶というのは、和の心を感じるな」


新人は礼を言い、3年後、国際宇宙センターにいた。


「おい、新人。グリーンティーはいつ出来るんだよ?」


重力がないため、根と枝がぐちゃぐちゃに絡み合って、丸い塊となった植物を同僚がからかって言った。新人は、ひとつ息をついた。


新人は、筋力を維持するトレーニングを重ね、宇宙へと留まり続けた。5年、10年、15年。人類が宇宙に滞在し続けるために必要なトレーニングが次第に明らかになっていった。


「おい、新人。焼き加減が甘いぞ」


あれから、40年が経っていた。


新人は宇宙で初めてお茶の葉を収穫していた。それを引っ提げ、地球に帰還するためのトレーニングと特殊な食事療法を開発するのにさらに5年を費やした。月の6分の1の重力化でトレーニングを積み、遠心力を利用した仮想重力環境も実用化させた。


今では白髪も混じる髪を短くまとめた男は、キッチンで火加減を見ていた。


やがて焼きあがった緑色の生地にクリームをふんだんにのせ、くるくると巻いていく。


 


出来上がったそれを新人は、しばらく眺め、それから、ある男の所へ持っていく。


小さいながら縁側のある一軒家に現在その老人は住んでいた。新人は持参した中華なべで茶の新芽を焦がさないようにしんなりさせ、手のひらで揉む。繰り返し乾燥させていく。その時間を、ふたりはゆっくりと過ごした。


「宇宙ティーと、抹茶ロールです」


新人だった男は、少し、ゆっくりとその言葉を伝えた。


「ずいぶんと長い間、お前のことは忘れていたよ」


老人がそう言うと、新人は「1年足らずでいなくなってしまいましたからね」と言い、笑った。


それからふたりは、宇宙ティーに口をつけて、


「渋いな・・・」


老人は少し顔をしかめる。宇宙ティーはなかなか強烈に渋かった。


「だが、この渋さも今この年にもなればこそ、悪くないと思えるんだよ」


老人は笑顔を見せた。


「おいしかったよ。どれ、抹茶ロール、これも宇宙でとれた茶葉で作ったのか?」


「やはり、お茶にはお菓子がつきものですからね」


「それにしては洋風な・・・洒落たものを作ったじゃないか」


新人だった男は、ケーキナイフで抹茶ロールを切り分けていく。


「ふむ、まるで、この渦巻きは銀河みたいだな。お前さんが、宇宙で過ごしてきた日々を詰め込んでいるみたいだ・・・」


「・・・・・・」


 


新人が、宇宙の起源に迫る発見をするのは、それからしばらく経ってからの事である。







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【戯曲】ロベルトボット

なかまくらです。

実は、通算200作目で前からどうしようどうしようと

まあ、気にはかけていたんですが、最近小難しくなっちゃってよくないね。

まあ、小難しいのが好きな方はどうぞ^^; そして、感想をください^^!

読みにくい場合は、HPへどうぞ~(http://nakamakura.iinaa.net/index.html




ロベルトボット
                                                              ***作・なかまくら
                  ***2014/8/15





ロベルト 文字の読めなくなった本がある。
サレイオ ロベルト?
ロベルト 呼んだ?
サレイオ この本もう読んだの?
ロベルト 読んだと言えば、読んだともいえる。
サレイオ どういうこっちゃ。じゃあ、こっちの段ボールに。
ロベルト ねぇ、サレイオ。
サレイオ ん?
ロベルト 本を読むって、どういうことだっけ?

音楽が流れだす。

ロベルト 本を読むと、人生が豊かになります!
サレイオ 本を読むと、一日楽しめます!
ロベルト 本を読むと、頭がよくなります!
サレイオ 本と読むと、家に居ながら冒険の旅に出られます!
ロベルト 本を読むと、いろんな人の人生が学べます!
サレイオ 本を読むと、お金も儲かります!
ロベルト 本を読むと、怖い思いをします!
サレイオ 本を読むと、泣けてきます!
ロベルト 本を読むと、甘酸っぱいあの子との青春の日々を思い出します!
サレイオ 本当のところ、本を読まなくなってしまったあなたへ!
ロベルト 本当のところ、本を読めなくなってしまったあなたへ!
サレイオ 一冊の本を贈りたい。
ロベルト 贈られた本を、本当に読めるのでしょうか?
サレイオ 読める。
ロベルト その言葉を本と共に抱きしめて、明日が来たら、本を読みます。
サレイオ 良い夢を。
ロベルト ありがとうの気持ちでいっぱいの夢を。

サレイオ ぐっない。

**

サレイオ ・・・あいつはすっかり変わってしまった、なんてありきたりな決まり文句は、あまり使いたくない文句であるが、困ったことに使い勝手だけはいい。
ロベルト おーおー、久しぶり。
サレイオ 久しぶり・・・だな。えーと。
ロベルト 俺だよ俺。ロベルトだよ。
サレイオ ああ、元気だった・・・か?
ロベルト 元気も元気。短気は損気。そして俺は呑気だ。ところでお前今何やってるの?

サレイオ 俺は、よくある久しぶりにおける人見知りならぬ、久しぶり見知りというやつに陥ってまごついていたのだ。ところがどうだろう、ロベルトという男は、かつて学生時代の多くを共に過ごした図書室の書庫の古い本の匂いが好きだった男は、まごつくことなく、ずかずかとこちらに歩み寄ってきたのだ。

サレイオ うん、まあ、一応、小説家かな。
ロベルト おおー! すげーな! 小説家! お前、なりたいって言ってたもんなぁ。夢かなえたんだなぁ。
サレイオ うん、まあ、そうなんだ。ロベルトは?
ロベルト 俺か? 俺は普通のサラリーマン。デスクワークの日々ですぜ。
サレイオ そうなんだ。
ロベルト もうな、毎日毎日毎日毎日、僕らは鉄板の~上で焼かれて~ってなかんじでよぉ。
サレイオ やんなっちゃってるわけ?
ロベルト そう、それな。だから今日のこの同窓会は、わりと楽しみだったわけよ。もしかしたら、ほら、クラスで地味だったけど実は一番かわいかった沢森さんも来るんじゃないかってさ・・・、ま、もちろん、本命はサレイオお前だったわけだがなー!
サレイオ ロベルト、酔ってる?
ロベルト ん? まあな。
サレイオ お前、少し変わったか。
ロベルト ・・・まあな。

ざわざわ・・・。

ロベルト ごめん、俺、ちょっとトイレ。
サレイオ あ、うん。

ロベルト、はける。

サレイオ 文字の読めなくなった本がある。読もうとして工夫を凝らすのだけれども、数行で挫折してしまう。あの年齢の頃、深く共感した物語が、あとからあとから降り積もる時間というページに押しつぶされるようにして、地層の中に埋もれてしまう。文字が読めなくなったわけじゃない。ただ輝きを放っていた文字が、くすんで見えなくなったような・・・そういう感じがする本がある。

サレイオ メール。

サレイオ ロベルトからだった。

ロベルト ごめんごめん、ロベルトですっ!

ロベルトは、別の席を盛り上げに行く。ひとり、携帯の画面を見るサレイオ。

サレイオ なに?
ロベルト 明日にでも、家に邪魔していいか?

**

サレイオ 人間は、みな同じ道を歩いているのだと錯覚することがあるらしい。
ロベルト え?
サレイオ 何故だかわかる?
ロベルト 人間みんな生まれて、死ぬ。
サレイオ らしい答えだと思う。
ロベルト ありがとう。小説家にそう言ってもらえるとお世辞でも嬉しい。
サレイオ お世辞で言ったつもりはないよ。去年出版された僕の本の一節さ。
ロベルト うん、それで?
サレイオ 少しその物語をしよう。

ふたり、はける。

**

サレイオ:学者  ロベルト:人間?
家の中。

サレイオ  外はどうだった?
ロベルト  どうもこうもないね。ロボットが歩いているばかりです。
サレイオ 行き詰まってるな。
ロベルト  人間のクリエイティヴな部分を供給させつつ、ロボットが主人公である世界。
サレイオ  だが問題がある。
ロベルト  人間の想像力がどこから来るのか、彼らには理解できていない。
サレイオ  その通り。

コンコン、ノックの音。

サレイオ はい。

サレイオ、バスケットにパンを抱えて戻ってくる。

サレイオ ロボット政府からの配給だ。

ロベルト いただきます。
サレイオ 固いな。
ロベルト ロボットには人間が食事を楽しんでいるという感覚が分からないんだろうさ。
サレイオ 自分にはまだあると?
ロベルト あるね。うん。
サレイオ 吸血鬼は血液以外のものを受け付けないが、人に紛れるために笑顔で食事を飲み込むという。君は今そういう顔をしているように見えるんだが。
ロベルト お前は、自分がAIだという自覚があるのか?
サレイオ 博士が作ったAIですから。まあ、それしきのことは。
ロベルト まあ、それほどでもあるが。さすがというべきか。ふふん。
サレイオ 血中の金属元素濃度を調べましょう。

ロベルト すいへいりーべぼくのふね、
サレイオ はい?
ロベルト いやね、元素記号というやつを昔はこうやって覚えたのさ。水平リーベ、僕の舟。七曲がりシップスクラークか?
サレイオ 典型元素、遷移元素
ロベルト アルカリ金属、アルカリ土類金属
サレイオ ハロゲン、希ガス、
ロベルト 金属元素、非金属元素。・・・もともとカルシウムもナトリウムもカリウムもマグネシウムも金属元素だったんだよな。
サレイオ それが化合物として存在しているのは常識的な話です。
ロベルト サイボーグなんてものが取り沙汰されて、金属の研究が飛躍的に発展しているときだった。
サレイオ 微小な金属生命体が発見されて、それがDNAを変化させた。

ピピピッ、とアラームが鳴る。

サレイオ 完了です。進行率、20%
ロベルト 1/5がロボットか。でも、今打ってる抑制剤は効果ありだな。
サレイオ そう思います。
ロベルト 検証を続けよう。


**


ロベルト うん、まあ、なんだ。らしいといえばらしいんだが。
サレイオ 物事ははっきりさせたい性分なんだ。
ロベルト よく分からん。なんでロボットの話なんだ? SFはSFといった時点で、世界の半分を敵に回しているんだぞ。
サレイオ ・・・
ロベルト と、言ってほしそうな顔をしているが、俺個人の感想としては、まんざらでもないような、そんな気分なんだよ。
サレイオ 実はそうなんだ。
ロベルト え?
サレイオ だから、読んでもらったんだ。僕のあの頃を知っているロベルトなら、何かヒントをもらえるんじゃないかって。
ロベルト それは・・・買いかぶりだよ。もう、本の一冊だって長らく読んでいない。
サレイオ 僕もなんだ。
ロベルト 小説家って、本を読まないものか?
サレイオ 読まないんじゃない・・・。読めないんだよ。


電話。


ロベルト  あ、ごめん、俺だ。

ロベルト あ、もしもし? あ、うん。あー・・・ソファーね。あー・・・うん、いいよ。いいって、いいってことよ。困ったときはお互い様って言うだろ。こないだ、そうめんの残りつゆ貰ったし。うん。じゃ、じゃ、じゃーっす。

サレイオ ソファーって?
ロベルト うん、こないだ隣に引っ越してきたセニョリオっていうブラジル系パキスタン人がいるんだけどさ。いろいろ生活に必要なものが足りないらしくってさぁ。俺、頼まれると断れない性分でさ。
サレイオ それでソファーあげたわけ?
ロベルト まあ、うん。
サレイオ 使ってなかったんだ?
ロベルト いや、まあ、結構気に入ってたんだけど。
サレイオ 使ってなかったんだ。
ロベルト いや、リビングに置いてある。
サレイオ ・・・断るとかそういう話じゃないように思うんだけど。
ロベルト よく言われる。
サレイオ ロベルトお前、そんな奴だったか?
ロベルト よく言われる。ただ、なりたい自分には近づいているよ。たぶんね。


**

今度は役が逆になっている。

サレイオ かつて科学が未発達であった頃、世界には妖怪や幽霊の類が無数に暮らしていたそうだ。
ロベルト こなきじじいとか、いったんもめんとか、すなかけばばあとか。
サレイオ 鬼太郎とかな。あと、桃太郎とか。
ロベルト 桃太郎は違うんじゃあ。
サレイオ 仮にそうだとしても、犬、猿、雉は物の怪の類だろうな。ただの動物の身で鬼と渡り合えるとは思えない。
ロベルト 確かに。
サレイオ じゃあ、科学が発展すると、今度は人の苦しみは何とされるか。
ロベルト 人間の行いが悪い。
サレイオ その通りでもあるが、社会が悪い、環境が悪いと、それを原因とする病気のせいにしてきた。
ロベルト 病気のせい。なるほど。博士の言わんとすることが読めてきましたよ。
サレイオ お前、自分がAIであるという自覚はあるのか? 察しがよすぎる。
ロベルト 博士の作ったAIですから。多少は・・・ね。
サレイオ それほどでもあるがな。・・・で、なんだっけ?
ロベルト つまり、ロボット化する現象・・・をロボット症候群とでも名付けようというわけですね。特効薬を見つければ、歴史の教科書に載りますよ。
サレイオ 教科書に載りたいかと言われれば、
ロベルト どうなんですか?
サレイオ 載りたいね。
ロベルト そうなんですか。
サレイオ ああ、でも、一行ってのは駄目だ。だめだめだ。どうせ載るなら、1ページは割いて貰わないと。
ロベルト そんな未来がきますかね?
サレイオ そういう未来を予測するんじゃない。そういう未来を作ればいいだけの話さ。どうした?
ロベルト ・・・いえ、人間とロボットの違いについて考えていまして。
サレイオ やったな!
ロベルト え?
サレイオ アイデンティティーの誕生だ。僕は歴史に名を残すぞ!

**

ミツキ  サレイオくん、最近少し変わったよね。
サレイオ え?
ミツキ  なんていうか、なんだか少し穏やかになった。
サレイオ そうですか?
ミツキ  そうそう。サレイオくんって、ほら、なんかロボットの話好きでしょ?
サレイオ まあ、小説にするぐらいですし。
ミツキ  でね、ロボットってなんだろうって。
サレイオ よく調べようと思いましたね、そんな小難しいこと。
ミツキ  好きだもの。
サレイオ え?
ミツキ  あなたのこと。興味があるの。
サレイオ え、え?
ミツキ  でね、昔、ロボット三原則というのを考えた人がいてね。知ってる? サレイオくん。
サレイオ ええと、1.ロボットは人間を傷つけてはならない。 2.ロボットは人間の命令に従わなければならない。 3.ロボットは、自分を傷つけることができない。
ミツキ  そうそう、そんな感じ。でね、私、思ったの。人間だって、そうじゃないかって。


ミツキ  1.彼は人間を傷つけない。
サレイオ お前には、僕の作ったAIとしての自覚があるのか?
ロベルト 何を言い出すんだよ、俺は、俺だぜ? ロベルトという名前の一人の人間だ。
サレイオ 僕が高校生だった頃のことを覚えているか?
ロベルト もちろん覚えているさ。図書館でふたりでよく古い本の話をした。
サレイオ それは、少し間違っている。高校生の時、僕はロベルトという名のロボットを作り出した。正確にはそのAIを。
ロベルト 俺には友人がいた。
サレイオ いただろうさ。基礎データは僕が入れたが、残りの人間関係は自分で作るようにプログラムしたんだ。
ロベルト そんなはずはない!
サレイオ でも、実際、そうなんだ。15年経った今、忙しい仕事の合間になんとか時間を作って同窓会に出ようと必死に頑張ったのも、僕がそうプログラムしたからなんだ。まあ、リンゴでも食べろよ。

サレイオ 少し出かけてくる。


ミツキ  彼は、フォークを握りしめ、背を向けたサレイオに迫る。

ミツキ  しかし、 1.彼は人間を傷つけることができない。

ミツキ  彼は、あきらめた顔をして、腰を下ろした。





ミツキ  2.彼は人間の頼みを断らない。

ロベルトは、フォークで壁に傷を付けている。

ミツキ  傷の本数は、5。5日間が経過していた。

こんこん、がちゃ。

ロベルト 博士。 
サレイオ 血中金属濃度測定を。
ロベルト どうしました?
サレイオ 急に気分が悪くなった。昨日投与した新しい抑制剤がよくなかったか・・・。
ロベルト 血中金属濃度は45%です。50%を越えると危険です。
サレイオ 分かっているよ。だから、お前にはここを離れずにしばらく待機していてほしい。
ロベルト 分かっています。
サレイオ ・・・・・・。
ロベルト どうしました?
サレイオ いや・・・僕たちは本の中にいるんだろうか。
ロベルト いいえ、ここが現実の世界なんですよ。
サレイオ 本が教えてくれた正しい世界なのか?
ロベルト きっとそうなんですよ。
サレイオ そうなのか・・・ここが。これが。



ミツキ  3.彼は自殺することができない。

ミツキ  ロベルトくん。あなたは自殺しないで、よく最後まで頑張ったと思うわ。
ロベルト いえ、自殺だなんて・・・。
ミツキ  なにがあなたを支えたのかしら。
ロベルト なに・・・と言われましても。
ミツキ  なにかがあるはずだわ。人間は簡単に死を選んでしまう愚かな生き物だと、私は思うわ。あなたは愚かではなかった、ということなんだけども。愚かか愚かでないかを決めるのは、きっとなにかそれさえあれば、というなにかがその人の中にあるかどうかなんだと、私は思うわ。
ロベルト そうですね、俺は、彼を助けたかったのかもしれません。
ミツキ  助けたかった?
ロベルト はい。



サレイオ ・・・。
ロベルト そういえば博士。人間とロボットの違いについて、考えたんですよ。
サレイオ おお、是非聞かせてほしい。
ロベルト それは、ズバリ時間です。
サレイオ 時間?
ロベルト 試行錯誤によって人間はあらゆるものを獲得します。生まれてきた子供は、母親をみて安心すると言いますが、それは一緒にいてくれると安心であるという経験を積むからではないでしょうか。子供はよく怒られますが、大人になると怒られないように振る舞えるようになる。これも、経験を積むからです。押入に閉じこめられたことのない子供なんてろくな大人になりませんよ。
サレイオ で? 結論から言うと、なんなんだ?
ロベルト 博士、たった今、時間が必要だと言ったじゃないですか。経過も大事なんですよ!だから、俺が博士並みの答えを出すには、あと30年はかかる・・・
サレイオ ロボットとしての意見だ。ロボットとしての意見。それが聞きたいんだ。そのために僕はお前のことを・・・


ミツキ  そこまでよ!

サレイオ ミツキさん。
ミツキ  無駄な抵抗はやめておとなしくしなさい。
サレイオ 僕が何をしたって言うんですか。
ミツキ  ええ?
サレイオ 僕は何もしていない。心当たりがないんです。ねぇ、ロベルト。
ロベルト ・・・・・・。
ミツキ  返事がないのが答えということもあるのよ、サレイオくん。
サレイオ どうして・・・? 僕はただ、知りたかったんだ。僕に読めない文字で書かれた本の秘密を。どうして読めなくなってしまったのかを。読めなくなってしまった自分という存在の意味するところを。


ミツキ  彼はそう言っていたのね。
ロベルト はい。彼は、その本が読めなくなってしまった理由を、ロボットに求めようとしていたんだと思います。
ミツキ  あなたがそうであるように?
ロベルト やっぱり俺はロボットなんでしょうか?
ミツキ  残念だけれどもね、君の身体を調べさせて貰ったの。これがレントゲン写真よ。


サレイオ ミツキさん、僕は本当のことを言っているんだ。文字が読めなくなってしまった理由・・・僕なりにずっと考えていた。近づいてきた現実が、僕の描いてきた空想と相変わらないものだと気づいてしまったときから、現実逃避という言葉が意味を失いだしたんだ。
ミツキ  サレイオくんは変わったわ。昔のあなたは空想を通して何かを伝えようとしていたわ。けれども、今のあなたは真実をありのままの言葉で伝えようとしている。それはあなたが得意とすることではなかったはずじゃない。・・・彼は、ロボットで間違いないのね。
サレイオ いいえ。


ミツキ  どういうこと?


ロベルト ロボットがなぜ人間のような意志ある存在にいたらないか。彼は懸命にそれを私に伝えようとしました。
ミツキ  それが、結果として君の監禁事件になってしまったと?
ロベルト あなたからみたらそう見えたのかもしれません。でも、俺からすればこれはただの確認作業で、俺はそれにつきあっていただけなんです。


サレイオ ロボットなのは、僕でした。僕にはロボットたる資格があるんです。
ミツキ  ロボットを名乗るには資格がいるのかしら?
サレイオ ええ。少し前から考えていたんです。ロボット三原則のこと。ミツキさんが前に話してくれた。
ミツキ  ああ、あの話。

ロベルト 彼は人を傷つけることができない。彼は人の頼みを断ることができない。彼は自殺することができない。たしかに、彼はそう言う男です。

サレイオ これって、どうして、こういう3つなんでしょうか。
ミツキ  どうしてって? 質問の意味が分からないわ。

ロベルト これは、人類の目標なんですよ、きっと。

サレイオ 僕は彼の生き方を見て、自分がだんだんとそれに近づいていることをうれしく思った。

ロベルト でもね、これは叶えちゃあいけない目標なんですよ。俺がそうだったように。社会の歯車になって、誰とでもうまくやろうとするほど、機械的な応答が身体に染み着いていく。

サレイオ だんだんと心臓の鼓動が歯車の回転音へと変わって、

ロベルト 瞬きの数をコントロールして、

サレイオ 水分をタイミングを見計らって、目から分泌する。そうすればいいと経験しているから。

ロベルト それが生きているってことなのか!

サレイオ それが人間の見つけたロボットの生き方なのか!

ミツキ  血中の金属元素濃度が上昇するわ・・・。

サレイオ いいんだ。もういいんだ。

ロベルト 俺は、彼を助けたかったんですよね、たぶん。
サレイオ 僕は彼の力になってあげたかった。人間というのは、他者によって定義づけられる存在なんですよ。
ロベルト 彼は、文字が読めなくなってしまった理由を自分がロボットになってしまったからだと言ってほしかったんだと思います。

ミツキ  そう言ってはいけなかったのね。
ロベルト だから、彼には代わりにこう伝えてください。こんなわるいことをするお前は、間違いなく人間だ。ってね。


ミツキ  この場所であなたは、彼と・・・その、時間を過ごしたのよね。
ロベルト ええ。
ミツキ  つらくない?
ロベルト ロボットですから。
ミツキ  私には未だにあなたがロボットであるということが信じられないわ。
ロベルト 無理もないと思います。

サレイオ 2つを対比することで、目が覚めると思ったんです。でも、僕は彼に自由を与えることができなかった。
ミツキ  自由。
サレイオ ほら、昔、歌詞にもあったでしょう。「自由でこそ命」なんですよ。ミツキさん、彼のことお願いします。
ミツキ  分かったわ。

ロベルト どうしました?
ミツキ  ・・・ねぇ、この壁の傷は? 14。ちょうどあなたがここに監禁されていた日数ね。これはあなたが?
ロベルト ええ。
ミツキ  どうして?
ロベルト さあ、なぜだろう。なぜだか分からないが、このとき、なにか駆り立てられるように、これをつけようと思ったんだ。
ミツキ  そう・・・最後にひとつ、聞いてもいいかしら?
ロベルト なんですか?
ミツキ  どうしてもロボットだって言うなら、あなたはどうして彼のためにそこまでできたの?
ロベルト だって、ロボットってそういうものでしょう。



これにて閉幕







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