1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

【戯曲】ミナイミライ

なかまくらです。

戯曲を書きあげました。

今年はこれをずっと書いていたといっていい一年でした(笑)。

まだ、加筆修正するかもしれませんが、ともかく、書きあげました。

矛盾があったらごめんなさい^^; 分かりやすく書いた、つもりです。


長すぎるので、URLからどうぞ。

「ミナイミライ」
             作・なかまくら
http://nakamakura.iinaa.net/daihon/minai.html





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【小説】逆説

なかまくらです。

なんだかもどかしいものを書きたいんですよ。

そんなわけで、そんな挑戦です。どうぞ。


******

『逆説』
                          作・なかまくら



これは小説ではなく、逆説という文章の形式をとっている。
『5つの挙手があれば正しい』という言葉がある。
 
「ただいま」 そこは家の匂いがするとしよう、玄関のドアをガチャリと閉めたその時だ。茶色の足の甲が大きく見える靴が母のもの。おそろいの水色に白の水玉模様が2人の妹の。そして、黒い大きな靴があの人のものだった。この肩の荷が、家族を久しぶりに集めたのだとすると、ネズミに感謝するべきなのかもしれなかった。
 

 
あるときを境に、すべての画面の端に、ネズミが現れたとする。世界中の天才エンジニアたちが額を突き合わせてこの謎に挑んだというが、共通して得られたのは、“解なし”という、事実上の降参であった。その人類の頭脳の敗北宣言がニュースで流れたとき、突然、ネズミがしゃべったのだそうだ。
「私は、世界の外側の存在として、この意思を伝えている」
都旗ゆずるは、ブラウン管を通して、その放送を見ていた。その画面を所狭しとうねる竜を。
「3つのものだけを残すとしよう」
雲を纏い、竜は云った。「なーにを言ってんだかね、このネズミは」母がせんべいを食べながらそう言っていた。
「それ以外のものを棄て、もう一度見つめなおすのだ。・・・人選は既に為されている」
期限は一週間としよう。そう云って、竜は一か月ぶりに画面から消えていった。
 

 
・・・意外と騒然とはならなかった。それが中学生の妄想のようなものだったからだろう、その事件が起きるまでは。3日を過ぎたころ、予兆が起こった。2000メートルを超える空間に存在していたものがすべて消滅した。
都旗ゆずるは学校にいた。妙に窓越しに見える空が、澄んでいると思ったくらいだった。古典の授業中に突然校内に放送が入ろうとしていた。「ぜぇぜぇ・・・」放送の声は、息も切れ切れだった。よっぽど走ってきたのだろう。いったいどこから、何のために。「全校生徒は、今すぐ、下校するように!」
航行中であった旅客機は行方不明に。2000メートルを超える山々とその上に立っていた電波塔も消滅。人工衛星もすべて消息不明。誤作動で発射された大陸間弾道ミサイルもすべて2000メートルを超えたところで消息を絶った。
母は、仕事だろう。あの人は酔っぱらって寝ているだろう。小学校に通う妹たちを迎えに行くのは自分しかいなかった。ゆずるは手を挙げていた。「先生。」体育館の向こうのほうにいた先生がこちらを振り返った。疲れた顔をしていた。「ぼくは妹を迎えに行きます」
 

 
検討委員会の中で、ゆずるは浮いていた。
「分かるだろう、人類が生み出すことのできた、唯一の共通言語なのだよ。これを残さないでどうするのだっ!」数学者は言う。数学とは、人類がたったひとつ生み出すことのできた統一言語である。
「その言葉は、感情を持たないということがなぜわからないんだ!」芸術家は言う。芸術は、人類がたったひとつ生み出すことのできた統一の感動である。
「感情は、人を狂気に走らせる。心の安定を保たなければ、人類は少ないものの中で生き抜くことはできないだろうね」宗教家は言う。宗教は、人類がたったひとつ生み出すことのできた幸福感を与えるものである。
そして、少年は黙っていた。
「君の意見はどうなんだ」
ゆずるは、うまく言えなかった。なんとなく自信がないものだった。
 
家族は大事だ。
 
ただ、そう言えればよかったのに。
「ただいま」そこは家の匂いがするとしよう、玄関のドアをガチャリと閉めたその時だ。茶色の足の甲が大きく見える靴が母のもの。水色に白の水玉模様が2人の妹の。そして、黒い大きな靴があの人のものだった。
 
 
思えば、壊れてしまえばいい、と一番思っていることを守ってしまった。
家に帰ると、酒を飲むあの人が。あの人は酒を使って、いろいろな発明をしていた。酒で走る車、酒に電気を流してつくった照明。などだ。
だが、彼は、やっぱり酔っ払いだった。暴力を振るう。母も2人の妹もそれを嫌っていた。嫌っていた妹たちは、やがて外に出て行ってしまった。
彼には「家族」というものを知る由もなかった。だが、どうしてもほしかったそれを、手に入れる前に壊されたくはなかった。だから、あの時、家族に一つの相談をした。4つの手が上がる。父親の手が、ほしかった。『5つの挙手があれば正しい』という言葉がある。
これが家族だと、彼には認めたくなかったのかもしれない。
 
 
肉じゃがの匂いがする。
「ゆずる、ごはんよ」
「うん、今行くよ」
本を閉じると少年は部屋を出ていく。残された本の題名は「逆説」。







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【小説】分子運動による表層からの脱出

名嘉 枕です。

ほにゃにゃちは~。

某ゲームっぽいタイトルで、SFっぽい物語をお送りします。

どうぞ~~。


***


分子運動による表層からの脱出

                        作・なかまくら


「根元事象とは、それ以上細かく分解して分けられない事象のことであるからして・・・」社会人を対象とした数学塾の先生は、確率がお好きだ。世界の大体のことは数学で表せるのだそうだ。「宇宙は数学という言葉で書かれている」立方体の教室の前方の黒板、その上には、墨で書かれた文字が躍っている。かの有名なガリレオガリレイの言葉だという。
「そして、全事象は、文字通り、根元事象を集めた全ての事象。事象全体のことをいうわけである。」先生は、朗朗と事象を言い尽くした。
私は宇宙の孤独な旅人になる。根元事象が、地球だとするならば、全事象は宇宙全体の惑星・・・いや、宇宙そのものだろうか。
☀☀☀
地球の平均気温が10年で10℃上がったっていうニュース番組。1年に1度。2年で2度。3年目には怒り出して、3度の飯が喉を通らないという。
「いってらっしゃい」
玄関の扉を開けて、それから銀色のフードをかぶって顔を隠すと、内側はひんやりと涼しくなっている。
「いってきます」
ガールフレンドに手を振って、秒速2メートルで歩き出す。右足、左手、右手、左足。腕が付け根を支点に振り子のように触れる。時間が一定のリズムで流れ出す。行ったり来たりにかかる時間は、腕のふり幅によらない。大きく振るほど、振動の中心の速度は速くなるからだ。振り子の原理によれば、そうらしい。
風船クラブの活動は、週に一度、自由の螺旋像の足元に集まって風船を飛ばすことだ。風船にはそれぞれのメンバーの願いが込められている。螺旋の像は捩じれて歪んだ造形をして、5メートルのあたりでぱたりと切れて閉じていた。螺旋は押し上げられた円の軌跡。三次元の極座標方程式。原点からの距離と回転角で現在地がプロットされていく。
私は螺旋像を遥か飛び越えて、飛びゆく風船を見送った。風船は境界を越えていく。
☀☀☀
全事象の一つの要素が私だとして、私は、どのような事象であるのだろうか。
「お前の仕事に価値はない!」
工場長には怒られるばかり。給料は低いわ、労働環境は最悪だわで、どうして働き続けているのかもわからないが、やめる理由も分からないので、とりあえず働き続けていた。
「今日も、こっぴどく怒られてたな」
同僚の左院がポンと肩を叩いて、大満足バーを手渡してきた。パクリ。
「大満足ぅ~!!!」
それが聞きたかったんだ、と左院は笑った。それから、急に笑いを収めてこう言った。
「これは俺の独り言だ。この言葉は上の人間の耳には届かない。地の底を這う下水に交じって、海に流れて、2000年の海洋の大循環のなかで海洋深層水になるような、そんな独り言だと思ってくれていい」
左院はそれから、脱走計画を語り出す。一斉蜂起に続いてのデモ行進。正面の通用口から堂々と外へ出て、辞職届を紙吹雪のようにばら撒くのだ。
「どうだ、ひと口のらないか?」
☀☀☀
「渋い柿でも食べましたか」
群青の制帽を目深に被った男が、公園のベンチに腰掛ける。
「すまんな・・・、柿コーラ?」ぷしゅぅ、と、プルタブの上昇とともに気圧が下がる。
「限定品っす」ぷしゅぅ、と音が続いた。「・・・それで?」若い制帽の男は、ピンと糸を張って、声を沈めた。
「うん・・・これを拾ってな」無精ひげが程よく伸びていた。
「風船、ですか」「ああ、風船クラブというそうだ」「これがなにか?」
「中にこれが入っていた」その手に載せられていたのは、小型の爆発物であった。
「爆弾っすか!?」ベンチから飛び上がった男は、笑っている無精ひげを見て、座りなおした。
「反乱分子がな・・・そろそろ動き出すんだろうさ。嫌だなー」ぼりぼりと首筋を掻いた。
「嫌だって、言わない人間が、思っていないと思ってるんでしょうかね」
「さぁてね」
☀☀☀
水を見るとドキドキすることがある。いま、閉じ込められている。この水の分子のどれか一つが自分である。H2Oは小さな脱走計画に成功し続けている。沸騰することがなくても常温で置かれたH2Oは、少しずつ蒸発して、やがてなくなる。水面からの脱走を少しずつ、目には見えない大きさで、着々と進行させているのだ。目に見えないのは、目を盗んでいるともいえる。じゃあ、とばかりに、私は目を閉じて、コップの水をぐいと飲み干した。
体の中を水が通っていく。これが、私たちの現状だ。年齢でひとかたまりにされた私たちは、変わっていくようで何も変わらない、ひとかたまりの管の中を順番に流れているだけなのだ。その管が、外へ繋がっていくことはないのだ。そう思うと、鼻の奥がツーンと痺れて涙が出た。H2Oは逃げ道をたくさん知っている。
☀☀☀
風船クラブの定例会が、脱走計画の実行日だった。
踏み出す靴を作っている間にも、温度は上がり続けていた。





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【小説】短編小説を書く前に

なかまくらです。

わくわくしたい。そうしよう。


***


短編小説を書く前に

             作・なかまくら

短編小説を書く前の僕は両極端な分身状態だ。

踊りだしそうな高揚感と、立ち止まってしまいたい心の動揺が一緒くたにやってくる。

それをなんとか、心の内でドッキングさせたまま、コンビニに寄る。さながら宇宙ステーションへのドッキングミッション。途切れればそれは、あっという間に、宇宙に還ってしまう。

コーラを2本。真っ黒い砂糖水が、僕のインクみたいなもの。

階段を一個飛ばしてそれから細かく登ってみたりしてみて、次は細かいステップ。アパートの自室を目指す。開けてあったカーテンをきつく締めて、ノートパソコンの電源ボタンをぐいと押す。無音、からのヴォーン。ファンが回り始める。カリカリと音がして、脳みそが針で引っかかれているよう。

右手の人差し指と左手の人差し指をジェイとエフに置いて構える。なんだって、構えが大事だ。構えで勝負が決まるといってもいい。思ったことをタイプする。それもワイルドに情熱的に、それでいて、冷静に訪れるラストシーンを思い浮かべるように。

少し、コーラを口に含む。しゅわしゅわと泡が弾けて消える。浮かび上がってくるアイディアを連想する。心が泡立っていく。

ワープロソフトが起動すると、社会という名前の首輪を外されたもう一人の僕が、転げまわって笑いながら、ものすごいスピードではねる。そして、画面の向こうに拡がる白紙の水平線へと遠ざかっていく。

その思い切った間取りの庭に小道具を置いていくために、僕はひとつ息をしてから、彼を追い駆ける。






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【小説】砂魚

なかまくらです。小説ばかりを更新してみたい。そんな願望がやみません(無謀

いつか戯曲化したいけれども、とりあえず小説で、

という作品。

どうぞ。


::::::::::::::::::


「砂魚」

                    作・なかまくら

外はひどい砂嵐だった。
窓には板を打ち付けている。雨戸がガタガタと音を立て、ここを開けろと主張していた。
「ひどい嵐だな」 マスターがポツリとつぶやいて、言葉は砂嵐の雑音の中に吸い込まれていった。
「ええ・・・」 僕は無意味な返答をした。



パクパク、パクパク。
「マスター」「なんだ?」「金魚が」「金魚がなんだ」「泡を吐いてるんです」「金魚だからな、泡ぐらい吐くだろう」「これって、ただの泡なんですかね」「泡だろう」「そうですかね」「泡じゃないって、そういいたげだな」「金魚がね、泡を吐き出しながら、こっちを見てるんですよ」「泡をね」「吐き出しながらですよ」「パク、パクとね」「いいえ、パクパク、そしてパクなんです」「ほう・・・」

カウンターから少し離れたほう、店の入り口の扉が軋んだ。ガタガタと、音を立てて、なんとガラリと開け放たれた。

倒れこむように入ってきた男は、つきかけた膝を手で押し戻す。山吹色のポンチョを身体に纏っていた。「やあ、まいったね」そう言って、入り口で大胆に砂を払った。
「いらっしゃい、こんな中、どちらから?」
マスターは、立てかけてあった箒と塵受けを手に取ると、砂を集めて、シューターに流した。
「・・・ええ、諸国を旅していてね。この辺りは随分と砂に塗れているんだな」
「すっかりですよ」
「ここがあって、助かった」
「それはどうも」 マスターは、にこりと笑って、男を店へ招き入れた。
「こんにちは」 僕はパクパクとしゃべった。泡が浮かび、水に押し出されて天井へと昇っていく。
彼がそれに気づく様子はなく、
「君は・・・お客さんかい」 不思議そうな顔で、男は僕をじろじろと眺めた。
「いえ、彼はうちの見習いなんですよ」 マスターの言葉はうわんうわんと水の中を振動して伝わってくる。
「随分とヒトデ不足のようで」
ヒトデの足を捥いで食べると、新しい足が生えてくるように、もがれた僕は傷ついた痛みを生やしていくことができたなら。

「ラジオをつけてもいいかな」 男は返事を聞く前に、スイッチを入れるとつまみを回した。
「すいませんね・・・ここらは、昔工場があって」
「昔? ああ、大戦前に」
「ええ・・・金属粒子が飛ぶんです。それが、天気の悪い日は帯電するみたいでね・・・。なんにも、入っては来ないんです」

「情報がなくてね。右に行ったらいいのか、左に行ったらいいのか」 男はコンパスを取り出して、ぐるぐると回る針を見せた。
「言葉の意味が目まぐるしく変わっていますからね、コンパスで旅なんて、尋常なアイディアじゃないですね」 豆から抽出された黒い成分が、香りを伴って、カップに落ちていく。ポツリ、ポツリ。

水の中に拡がっていくように感じる。染み出して、苦い言葉のままに。
「・・・ところで、ここにもあるんですよね」
男の言葉に、マスターの手がぴたりと止まった。
「なにがです」
「・・・なにって、書物ですよ」
「砂糖は?」「いえ、結構」
棚の奥から出しかけていたシュガーポットをマスターは棚に戻した。
「・・・ここは、コーヒーを楽しむところじゃあない。そんなことは分かっているんですよ」
男は靴でリズムをとって床を鳴らし始めた。カッカッ、カッカッ。
「私には必要なんだ、その言葉が。その言葉さえあれば、なんだってできる。言葉は世界に氾濫しているが、その中にはなかった。すべて砂に埋もれていった」
男のシャツの胸元が開いていた。掻き毟った跡が見えた。
「わかるだろう! もう、その言葉がなければ! ・・・ほんの一刻、生きていることさえままならない」
何かが切れたように、目は血走り、顔は青ざめていく。髪の毛は逆立ち始めると同時に、頬が垂れる。
「・・・ええ、わかりますよ」
マスターは、目を落として、カップの中の黒い水に映る自分を見ているようだった。男は人目をはばからずに、ぼりぼりと掻いた。
「・・・お客さん、お砂糖、いらないですかね?」
マスターは、もう一度尋ね、男は、「あぁ・・・」と不意に穏やかな顔になってそれを受け取った。
カチャリと、陶器の触れ合う音がして、続いて熱い息が漏れる。それが順番にラジオから流れる砂嵐に紛れて消えた。

水の中にいる僕に、砂嵐はまだ届いていなかった。







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