1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

【小説】ワニは庭に

なかまくらです。


書いたので。なんか、連続ですけどww

んー、最初に思ったほど面白く書けなかったので、いつか書き直すかも。。。

でも、まあまあ、面白く書けたかな^^

久しぶりにファンタジー書きたくなってきたなぁ~~。

でも、王道ファンタジーって、もういくらかいても終わらんのだよね・・・・・。




ま。

とりあえず、どうぞ。





ワニは庭に


 
僕の家の庭には二羽、ニワトリがいた。
 
とさかが鋭いのがジョージで、羽が雄雄しいのがパトリック。
庭には小さな池があって、池の真ん中の苔むした噴水口の辺りがジョージのお気に入りの場所だった。
パトリックはといえば、庭の端っこの方のりんごの木の下でよく涼んでいた。
 
「昼ごはんにしよう」
 
縁側に出て、僕はふたりによく声をかけたものだった。
「タマゴ料理は嫌いだからな!」と、ジョージ。
「どちらかっていうと、クワガタというやつが苦手だ」と、パトリック。
僕はどちらかというとパトリックと仲が良くて、ジョージの鋭いとさかによく似た性格が少し苦手だった。
 

 
僕らはよく話をした。
庭には夏の日差しとその立ち上る熱気を佩くように流れる風。
北風と太陽の話。
僕らは道を行く哀れな旅人だ。ただの旅人ではない。3人の道連れ達である。
昨日読んだ冒険の書の話。
 
それから、
庭の鼻先を通っていったとびっきりの美人の話。
庭に生えた木野子と食あたりの話。
通りがかった数学者の残した難問の話。
 
それから、
僕らが動物であること。ヒトであること。ニワトリであること。ワニであること。
 
季節はそうやって話の外でも中でもページをめくっていった。
 

 
 
 
「キミとはもうやってらんないね」
「ああ、音楽性が違うんだ。往年の名バンドのように潔く解散しよう」
「ああ、キミのチキンッぷりには、嫌気が差した。ROCKじゃないね」
「ああ、キミの行動には気持ち悪くて鳥肌が立つよ」
 
ある時ジョージとパトリックは宗教的な問題によって喧嘩をする。卵が先か、ニワトリが先か。
 
彼らの対立は根深く、パトリックは、僕の家の庭先から僕の家のリビングに転がり込んでくる。
 
僕はその一部始終を、
腕に生えたワニの鱗をかさぶたみたいにぺりぺりと剥がしながら、じっと見つめていた。
 
 

 
 
 
僕らは生まれた。
僕が生まれた頃、僕らは一斉に産声を上げる。
 
なんとかかんとかのベビーブームがハローベイビーとばかりにやってきて、世界中で試験管が、「ベイビー」と喚いた。
 
少子化に歯止めをかけようと、政府は試験管ベイビーを100%承認した。
 
人工的に遺伝子工学で作られた子ども達。
倫理観はどこかに置いてイカれた親たちが動物との配合を始める。
 
猫耳、狐の尻尾、etc..
 
一番人気は白鳥の羽で、天使みたい! ともてはやされた。
 
 
天使が50のおっさんになったらキモいとだれかが気付いて、
みたころにはもう遅かった。
 
 
大統領が差別を禁止し、一見平和になった世界から、僕らはそっと離れた。
 
『動物園』と蔑称されるコミューンを作って僕たちは生きていた。
 

 
僕の家の庭には二羽ニワトリがいた。
 
イカれた両親は僕をワニにした。
両親は僕を新しいおもちゃみたいに触り、愛し、笑いあった。幸せに生きていた。
授業参観。両親は一番に駆けつけたし、
運動会。両親はかけっこする僕を追いかけるようにビデオカメラを持って走っていた。
合唱コンクール。両親は僕の歌声に勝手に涙した。
僕は幸せだったが、僕の中のワニは、次第に大きくなっていった。
小さい頃はそんなに目立たなかったワニの黄色い瞳が次第にその色を濃くし始めた。
皮膚は堅くなり、顎も発達した。
 
僕の中のワニが、僕というヒトの脆弱な殻を破って外に出ようとしているみたいだった。
 
イカれた両親は、僕というおもちゃに飽き始めていた。いや、それは世間一般で起こっていた子育てというやつに飽きただけだったかもしれない。例え僕がニワトリでも、金魚でも、鯉でも、ネコでもキツネでも、パンダでも。あの両親はそういう性格だったから、飽きただけだったかもしれない。
 
でも、僕は僕というヒトの部分にコンプレックスという名のひび割れをたくさん持っていたから、ワニがそこから顔をのぞかせるのは難しくなかった。
 
それから僕の中に、ワニが生まれた。
ワニを薬で抑えながら、ヒトとして生きている。
 

 
ある時、僕の胴体はまるでワニのようにぶくぶくと太った。
ダイエットに励もうにも、動くのが面倒になり、コミューンで割り当てられていた仕事も時折休むようになっていた。
コミューンの中には同じような症状が随所に見られ、夜中に月に吠える狼人間、真冬の用水路で魚を鷲掴みにする熊人間。コタツに引きこもる亀人間とネコ人間。
野生の遺伝子が体内で暴れだし、薬の静止を振り切ろうとしていた。抑制薬は完全ではなかったのだ。
 
 
大統領は直ちに新薬の開発に取り組むことを固く約束したが、数日後には辞任に追い込まれることになる。
 
 
 
 
 
「キミ達は大変だな。ふたつの生き方をもっている。ヒトとして生きるか、ワニとして生きるか」
パトリックは麦をついばみながら、器用に喋る。
「ヒトとして生まれて、生きてきたんだ。ヒトとして死にたい、よ」
僕はそう言って、急いでいまやただのビタミン剤と揶揄される薬を飲む。
 
途端に身体中に半分の麻酔がかかる。動悸が治まっていく。
同時に身体の1/2がどこかへ失われていくようなけだるい感覚に襲われて、畳に両腕をつく。
 
荒々しく置かれたコップの水が揺れて世界を歪めてみせていた。
 
 
 
「・・・・・・おかしな事だ。ヒトの社会で受け入れられなくて、ここにきて、なおヒトにこだわるか」
「そうだよ、悪いかよ」
「野生に戻ったらどうだ。薬で抑え込んだワニのキミが暴れるんだろう? ヒトはヒト。サルはサル。ライオンはライオン。ネコはネコ。我輩は・・・なんて誰も考えない」
 
 
ニワトリはニワトリらしくないことを言って麦をむぎっむぎっと音を立てて食べる。
それからバサバサっと、羽を開いて毛づくろいを始める。
そのひとつひとつの動作に僕はドキドキする。
 
「そうしたら今度は僕の中のヒトがまた僕を取り戻そうと暴れるだろうか」
「さて。ヒトにそんな力があるとは思えないが・・・・」
 
遠くの方でパトリックの声がした。
 
 
汗が伝い、
少し風が吹いた。
 
 
ああ・・・動悸がおさまらない
 
 

 
僕は赤々と染まる。
瞳はらんらんと黄色く輝く。
それでも僕は僕であることを手放していなかった。
 
「ヒトであることを手放してしまったら、それは二度と手に入らないよね。ヒトであることを恥じるようになるよね。昔、何かの本で読んだんだ」
 
僕は夕暮れの畳にそう言う。
 
 
すっかりぬるくなったコップの水に浮かんだ、白い羽が風もないのにゆれる。
 
パトリックは応えず、
 
部屋に体毛だけが散らばっていた。
 
 
枕の中身のように。






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【小説】密室の謎Ⅱ【の回答編】

んな、回答編だけあげられてもねぇ・・・って苦情は受け付けられません(>ω<)!

「密室の謎Ⅱ」 爪楊枝さん作
http://ssstory.net/ssstory/story_ren/index.php?search_data=20111025223449342&page_num=1&anthology_name=&poetname=&count=137



の、回答編です。

どうぞ。面白い・・・のかもしれないと思ったので、あげてみました。



密室の謎Ⅱ(ふたりは・・・編)
2011/11/03
 
こんこん、がちゃ。
大学のスキーサークルの友人・工藤啓介が退出した部屋に来客があった。
 
「兄さん」
「正行か、どうした」
 
吉行は、天井を見上げた。
先ほどまで継ぎ目ひとつなかった天井に今はぽっかり丸い穴が開いていた。
 
この仕掛けは兄弟しか知らない秘密である。そしてこの仕掛けを活かすために弟・正行の部屋は吉行の部屋の直上に配置されていたのだった。
 
「あのさ。会社の経営のことなんだけど・・・」正行は話を切り出した。
「ああ、またその話か。分かってる。俺には林業の会社なんて向いてない。いっそ俺がいなくなっちまえばいいってな・・・」吉行は自嘲気味にそう言った。
「そんなことは・・・」正行に動揺が走るのが、吉行には見て取れなかった。
「いや、実際そうだろう!」
 
だから、
 
「ああ、実は俺もそう思ってたんだ。ちょっと代われよ、もう」
 
体格の差よりも、単純にその瞬間の心持が違った。一瞬の後には吉行は床に突っ伏していた。
正行は手早く空っぽのゴルフバッグを上の階から降ろすと、グラブを吉行の周りに括りつけるようにして縛って、バッグに詰め込んだ。これでもし誰かが外部からバッグに触れても少しのことでは見破られたりはしなくなった。
正行は吉行を隣りの書庫に運び、支度を済ませると、書斎に戻り、おもむろに声を張り上げた。
 
「た、助けてくれっ!」
「どうしたんだ」工藤啓介の少し慌てた声。
「桂木、早くマスターキーを持ってきて!」紗江子の声。
 
正行はその成功を確認しつつ、二階に戻り、何食わぬ顔で一階に戻るのだった。
 

 
桂木が部屋の扉を開けるのを待ち、まずは書庫に向かう。それから、書斎へ戻り、
正行は言った。
「あちらにはいませんでしたよ。そちらの状況は」
 
書斎に置いた炙りだしの仕掛けの【ヨキ】という単語から斧を調べることになり、正行はとっさに名乗り出る。天井に注意を向けさせてはいけない。
その後、よきの上を調べろという単語からゆかを調べることになる。床には正行があらかじめ仕掛けておいた隠し通路の足跡があったのだった。
 

 
「準備するための時間を30分ほど作りましょう」
正行は内心、勝利を確信していた。一番危ないところは凌ぎきったといっていいだろう。
 
30分の時間を利用し、ゴルフバッグを自分の部屋に運び上げる。それからベランダの柵に並ぶ植木鉢のロープに混ぜ込むように、ロープを結ぶと、ゴルフバッグを窓の外側に吊るした。
 
実際のところは分からないが、吉行はこの段階までまだ、息があったのではないだろうか。しかし、この極寒の中、吊るされるうちに吉行は誰に知られることもなく、命を落としたのではないだろうか。
 
最後の仕上げは電話である。
生来兄・吉行に声の似ていた正行は、その声質を利用して、事前に録音を留守電に残していたのである。
「みんなしてぼくを探してくれているようだね。嬉しい限りだ。しかし、まだ屋敷を探しているようじゃ僕は見つけらないし、僕は二度と家に戻る気はない。軽蔑してくる母、主体性のない妻、ぼくより優れた弟、比較する周りの声。もううんざりだ。家業なんて正行が継げばいい。ぼくは本当の愛を見つけたんだ。だから彼女と二人で新しい生活を始めるつもりさ。みんな元気でな。啓介、洋平、くだらない結果に終わってしまって残念だが、僕にはどうしようもないんだ。元気で暮らせよ。ガチャ、ツーツーツーツー」
たったひとつの誤算は、成田洋平が雪でその場にいなかったことである。だが、茫然とする人々の中において、その事実に気付くものはいなかった。
 
正行は心の中で踊りくるった。
 

 
踊り疲れて憔悴したようになってしまった正行は、
翌日、正行は車に仕事用だと言ってゴルフバッグを積み、啓介を駅まで送った。
ゴミの中にまぎれてしまったゴルフバッグなど、触るものもいなかった。
 
 
 
***
 
 
「・・・・・なぁ、どう思う」
カラン。
啓介の置いたグラスの氷が音を立てた。
「・・・・・・クククッ」
隣の男が笑う。
「あーっひゃっひゃっひゃっひゃ!!」
「おい、成田! お前、飲みすぎだぞ! そりゃあ、俺だってショックだよ。だがな、俺達の手で、この事件に決着をつけなくちゃいけないんじゃないか!? そのために、お前の力が必要なんだ!」
啓介は顔を真っ赤にして成田の肩をがしっと掴んでいた。
「まあ、なんだ・・・・・・」
成田は、にじみ出てくる涙を拭いて、言った。
「お前、推理小説家にでもなってみたらどうなんだ」
カラン。バーの扉が開き、ベルを綺麗に鳴らす。
数段しかない螺旋階段をカツ、カツ、と革靴が鳴らす。
啓介の顔が赤から黄色に変わり、青になった。
「なあ、お前もそう思うだろう・・・・・・吉行」
「さて、気に入ってもらえたかな、今回の趣向は」
吉行はその色白の顔に笑みを浮かべて2人の隣に座った。さらにその隣には、見知らぬ女性が座っていた。
「ああ、紹介するよ。私が今、愛している女性だ。今度結婚するんだよ」
「初めまして」女性は艶っぽい声で、そういった。
「ああ、初めまして」
 
会話の中で彼女が物静かな感じだが意思を持った魅力的な女性であることが分かったが、啓介は、どこか紗江子夫人に通じるところがあるように思えてならなかった。
 
「そうだなぁ、名探偵は、なかなかの名推理をしてくれたわけだが・・・」
と、吉行は最初に頼んだカクテルをぐいと煽って口火を切った。
 
 
会社を継ぎたい正行と、自由に生きたい吉行。ふたりにとって、最大の障害は母・節子の存在であった。ところが吉行が失踪とでもなれば、正行に継がせないわけにも行くまい。ふたりは一計を案じた。
①     吉行は「たすけてくれ」といい、書庫に隠れる。正行が書庫に吉行はいないと証明する。
②     床の仕掛けを作動させて、吉行の逃げ道の確保に成功する。
③     吉行は皆が車庫を離れる頃に、そっと車庫に入り、トランクの中で一晩を過ごした。
 
 
「いや、ちょっと待った! 出発前に、桂木さんとオレで、自動車調べたし!」啓介は口を尖らせた。
「いいかね、ワトソン君。自動車にはスペアタイヤというヤツがトランクの下に大体は収納されていてね・・・」
「あっ・・・」
啓介は思い出す。ゴミがたくさん詰まれたトランク。そのゴミを一旦取り出して、床をはがすような時間はあの時、なかった。・・・・・・・・・正行が鍵がないといって、あちこち探していたからだった。
 
「・・・・・・ていうか、別に次の日にすれば良かったんじゃない?」
「成田がなぁ・・・ネタ晴らしは今晩にした! っていうから、そうもいかなくなったわけだ」
「グルだったんだな!」啓介はむずがゆいようなこらえきれない笑いを感じて、やがて、笑い出す。ふたりも既に笑っている。ひとしきり笑って、啓介は、あれ、と思い出す。
 
「紗江子夫人、どうすんだよ。嫁さんだろ?」
 
ああ、と吉行は笑いすぎて出た涙をぬぐうように、こう言っていた。
 
あいつは元々、正行が好きだったんだ。
 
 
 





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【小説】煙突からの手紙

です。
どうぞ。



煙突からの手紙


部屋全体に赤い光が明滅する。
『WARNING』の文字が正面の巨大なディスプレイを埋め尽くしていた。
 
決して美人ばかりではないが、正義という意味で目の輝きが違うオペレーター達が、同じ場所を見ている。
司令室の一番高いところ。
似合わない髭をジョリジョリといじりながら男は、おもむろに、言う。
 
「発進!」
 

 
明け方の街。
澄みきった空気が風のない街に夜の冷たさを残している。
街の石畳を歩く人はまばらで、朝市の準備をする人達がちらほらとリアカーを引いて延々と続く坂を登っていくぐらいだった。
家々の煙突からは朝餉の湯気が立ち上り始めていた。そのひとつ。
異常にもくもくしている煙突。
もはや緑色でもカモフラージュできてない煙突ががばっと、割れる。
 
そして、もはや隠しようのない蒸気を噴き出しながら、メタルの装甲が現れる。
一瞬の静寂、
目の辺りがギラッと光る。
ひとしきり轟音を立てると、メタルの巨人は宙に浮き上がる。
すごいジェットに周りの家屋の瓦がシャレコウベが笑うように音を立てる。
 
眼下に見える街が朝の静けさに沈んでいるのを、操縦席からヤベツは静かに眺めていた。
それから、おもむろに口を開くと、大きなおおきなあくびをした。寝起きである。
 
操縦桿の前にある小さなモニターに可愛いオペレーターのミルヒアの顔が映る。
ヤベツさん、聞こえますか?
「聞こえてるよ」ヤベツは少し低めのかっこいい声を意識しながら、答える。
今回のミッションの説明をします。
ミルヒアが少し顔を赤らめながら事務的に話し始める。気がある。そうに違いない。
ヤベツは再び少し低めのかっこいい声で、
「ああ、よろしく頼む」と、言った。
 
今回は、ラジオ塔の占拠。ラジオ塔から怪しげな放送が流れているという。
例によって世界征服を企む秘密結社ポイズンチョコレートの仕業であるようである。
ヤベツはあくびを口の中でもぐもぐして、ごくりと飲み込む。
 
「要は、やっつければいいんだろ?」
 
この前の小学校事件みたいな勝手な行動は避けてくださいね!
ミルヒアは口を尖らせて言う。
小学校を乗っ取り、依存性の強いお菓子ポイズンチョコレートを利用して人民を増やそうとする悪の企みを察知して、出動したヤベツは、小学校ごと吹っ飛ばしたのだった。
 
・・・どうせ、既に毒に犯されていたのさ。生きていれば苦しむだけだ。
 
ヤベツは、そっと呟いた。
 
ミルヒアは、少しの沈黙の後、
 
今のは聞かなかったことにします。
と、言い。それから、
 
もう少し、他人の持っている可能性を信じてみたらどうですか?
 
 
少し寂しそうに、そう言った。
 
ヤベツは、通信を切り、遺伝子操作で強化されたその視界でラジオ塔の周りの細かな異常をチェックしていく。それを一通り頭に叩き込んだ。
 
メタルの機械人形は、重力に逆らいながらラジオ塔に近づく。
 
 
ラジオ塔から発せられる電波は人心を操り、変化させてしまうものであった。
それはまるで、あの時辛い決断を下さなければいけなかったヤベツの覚悟をあざ笑うかのような仕打ちで、
ヤベツはそれを知り、行なう。
 
髭をイジリながら、ヤベツの暴走を伝えるオペレーターの声を聞く男は、かつての自分を想い、黙する。
 
煙突は、今日も正義をもくもくと立ち昇らせていた。
 
 
 
 
あとがき
なんとなく正義とか






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【小説】ポテンシャルさん、勇者さん

なかまくらです。


HPの1000HITSリクエスト小説です。

リクエスト「レベルが99なのに、魔王に勝てない勇者のはなし」

ということで、えー・・・・・・。

ま、どうぞ(笑)



***********


ポテンシャルさん、勇者さん
 
作・なかまくら
2011.10.29
 
「ゆうちゃよ、どうやらまけてしまったようぢゃな」
 
その声で、ユウチャは目を覚ました。堅いベッドの上。知らない天井。
そこにあっかんべーをしたおじいさんの顔がフェードイン。そして、一言。
 
「センスがない!」
 
ツバをナガライア地方にあるという伝説の滝の如くぺっぺと飛ばされて、ユウチャはべとべとになった。しばらく経つと、べとべとがカラダに吸収されて、ユウチャは元気になった。
 
「・・・あいかわらず、清清しくない回復だ・・・」
ユウチャは足に力を入れて立ち上がると、部屋の壁にかかっているタオルを手に取る。
「どこへ行くつもりぢゃ?」
その厳かな声に大気が震える。畏怖、おじいさんは神様だったら。
「風呂だよ。カラダがべとべとで腐りそうだよ、神チャマ」
イェス、彼はチャマ界の神。(注:この物語は実際の人物、団体とは一切関係がありません)
 
ユウチャの99%は神チャマのツバでできている。
現在のレベルは999、攻撃力999、防御力999、魔法攻撃999(ただし、技を覚えていない)、魔法防御999(ただし、瞬きが激しい)、素早さ999、賢さ999(ただし、戦いに限る)。
で、あった。現在、魔王女っ子のまおちゃんに、1024連敗中。。。
 
きいっと、
風呂場のドアを開ける。
豊かな水を湛えた湯船はまるでノアの箱舟。
ざぶんぐる。
 
問)例をあげよ。
 
(解)
ゲッコー鳥の鳴く、街角。ゲコゲコ。
たったったっ、と軽やかなリズム。揺れる食パン。あらぶる鞄。
曲がり角にて、ふたりは運命の出会い。
しかし、ユウチャのレベルは999。磨き上げた肉体。強きをくじき、弱気をくじびく正義のココロ。所謂レベルMax。成長の限界。対するまおちゃんのレベルは9999。走る速度は光よりも速い。
そう、光よりも速い。
ユウチャの音速を超える域に達しない言葉は、まおちゃんに届くことはなかった。
引き離される、「あのっ・・・」というユウチャのどうでもいい第一声。慌ててあげようとした第二声。P波とS波はP波の方が速い。
そして、まおちゃんは、魔王女学園にたどり着いた。そこは男子禁制。
 
 
ユウチャはどんな逆光にも諦めないココロを持っている。手にはポラポラアンドロイドカメラという、ファインダーに収めた人のココロを奪える神のカメラ。
 
魔王女学園の門番は、こんばんは、
と、声をかけるユウチャに、目にも留まらぬ速さで、ババチョップをくりだそうとしている。
ゆうちゃ は どうする?
 
選択の余地はある。
たたかう。アイテム。にげる。
さあ、どれだ・・・。
 
ユウチャはアイテム、薔薇色のシンフォニーを使う。
門番のおばばは、深い眠りにつく。いびきは天高く、シンフォニーを奏でる。そう、薔薇色のシンフォーニ。
 
ユウチャは敵の城に入り込むことに成功する。
 
城の内部には柱がたくさん立っており、白塗りされている。さらに、しゃがんで進むユウチャの上のほう、部屋にとりつけられた無数の窓からはよく分からない記号の数々が、聞こえる。
「えー、ここはテーラー展開をしますと・・・それで、エックスゼロはシグマの手にかかっていますので・・・」
ユウチャは戦慄の葡萄前進を進める。そのとき、魔電話ケータに神チャマからススメールが届く。
『帰りにりんご買ってきてちょ』
 
怒りを原動力に変えて、ユウチャは進んだ。魔女子更衣室。扉は既に腐敗が始まっていた。入り口。
 
ユウチャの目とおでこがキラリとぴかる。正直まぶしい光に、ドアが開く。
 
ハッとする、ユウチャ。
見上げる先に、アングル的に、魔女っ子さん達の、可愛らしい、その、あの、ゆるして、のああああっ、ぐはああっ、まじ、やめ、え、ツバくさい?
 
こぽこぽこぽ・・・。
 
お風呂のお湯は、ユウチャの傷口に染みた。
 

 
 
風呂をあがると、神チャマはニヤニヤしていた。
 
ユウチャはなんとなく、寒気がする。風呂上り、今は冬。滴り落ちる、液体。
 
神チャマはのたまった。
 
足りないものが分かったぞ!
 
 
眉毛からできたヒロインは、ポテンシャルさんという名前で、
 
魔女っ子のまおちゃんと互角の角度で学校に登校して、互角の戦いを日夜繰り広げていた。
それを見たユウチャは、旅に出ることにした。
 
置手紙には「探さないでください」
 

 
この旅の途中で、ユウチャにはたくさんの仲間ができ、
まおちゃんとの戦いにも無事勝利したことを、
 
最後にこのユウチャの書に・・・・いや、この勇者の書に付け加えておこう。
 
そうそうポテンシャルさんは、その才能を活かして、世界を平和にする旅に出ましたとさ。
 
めでたし、めでたし。
 
 


********************************************
 
あとがき
HP1000HITSリクエスト「レベルが99なのに、魔王に勝てない勇者のはなし」でした。
これで、よかったのでしょうかww
 
 
 
ボツ案
 
 
 
私の仕事は大抵こうと決まっている。
私の特技は逃げ足が早いことだ。こと、危険察知だとか、そういうのは天才なんじゃないかと、思うこともしばしばあるのだ。
 
あ、ほら、灼熱の炎が来るよ。避けなきゃ避けなきゃ、やられるよ。
ゲームオーバーになるよ。
 
問題は、すでに私が死んでいることにある。
 

 
石畳の地面が大きく抉れている。
壁には青いローブを纏った青年がオブジェのごとくめり込んでいた。
次の瞬間、壁ごと鋭い槍で貫かれる。青年はビクリとも動かなかった。
激昂した魔法戦士が落ちている剣を拾い、駆け出すと捨て身の突きを魔王に対してくりだす。
 
数多の魔物を屠った伝説の剣。全体重の乗った必殺の突き。
獣のような雄叫び。
突き刺さる。
肉を、組織をぶちぶちと切り裂く音がする。
 
獣のような断末魔。
鋭く振られた腕から、屍骸が地面にずるりと落ちた。
長く伸びた爪の先から、ぽたり、ぽたりぽたりと赤い血が地面に滴り落ちる。
 
ぽつ、ぽつ。
 
それは静かに広がり、魔王を中心に魔法の陣を描く。
命と引き換えに発動する究極魔法、ヘルホライズン。国の三賢者が編み出した世界を終わらせる危険のある魔法。
燃え上がるように立ち上った白色の光が炎のように揺らめきながらその半径を狭めていく。
 
「やったか!?」
 
半径ゼロとともに、空間すべては光の中に包まれていた。聖なる光がすべての影を、闇を、かき消した。
勇者は先陣に立ち、巨大な期待と、小さな絶望を抱えて剣を構えていた。
 
―これでダメなら、もうなにをやっても・・・
 
そんな思いが脳裏を過ぎった瞬間、何かが目の前を通り過ぎた。
 

 
悲鳴を上げることもなく、勇者の頭部が三つにスライスされた。両目がひとつの切片に揃って載っていた。
 
・・・ボツ。





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【小説】テレパシー地球論

なかまくらです。

修論のテーマがおぼろげに決まりました。

14日は発表じゃ。

その前に、明日は、シナリオ講座じゃ! 大丈夫かな・・・結構不安じゃ・・・。

さておき。

最近拍手をたくさんありがとうございます。レスみたいなのをしてみる。最後にね!



テレパシー地球論
作・なかまくら
2011/10/04
 
世の中は大航海時代。
塩も縁(ゆかり)もございません大陸の、弱小国シルクの王子オスマンは、塩を求めて海へと旅立った。
その頃キルヒホッフは、大航海の船乗りの行く年来る年のi(アイ)の総和が合わないことに頭を抱えていた。
そして、ある人テレスはテレパシーに目覚めて、オスマンの絹と塩を交換しようとした。
 
それから殺されたヒホッフは、後年出版されたその生涯最後の著書で地球が丸いことについて、
 
言及していた。
 
 
※この物語は歴史的なフリクションです。また、フィクションでもあります。
 


 
あとがき

短くてごめんなさいww でも書きたいことは書いた。
ばかばかしい宇宙。すんでいたら面白いのに。




おわり。



以下、レス。






>旅人さん        THANKS! です。
>べーかりーさん    読んでくれてありがとう。なんか書けたら読ませてくださいな。




 





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