なかまくらです。
「その本の物語」読みました。村山早紀 著 ポプラ文庫ビジュアル 出版
児童文学「風の丘のルルー」のシリーズを再構成した作品。
劇中作として、「風の丘のルルー」という小説が登場します。
その小説が大好きだった、高校生になっている2人の女の子、そのうちの一人が主人公。
上巻は、魔女の「ルルー」が人間と違う生き物であることに迫害され、傷つき、
それでも人間を好きでいたいのだろうかと悩む物語。
丁寧な言葉で書かれていて、大切にしたい言葉がたくさんあります。
児童文学っていいですよね。
下巻の物語もわくわくの連続でした。大人になってから読んでも面白い。
眠ったままになっているもう一人の女の子は、
小さいころから少し人と変わったところのある女の子だった。
小さな魔法が使えたのだ。それは小さい頃のごっこがそう思わせたのかもしれないけれども、
「風の丘のルルー」の本を読んでいると、その世界が立ち上がってくるような感覚に襲われる。
その少女がいじめられているのを、主人公の女の子は助けてやれなくて、
その女の子は、今、病院のベッドでずっと眠り続けていた。
本の物語が、あの頃に生き方を教えてくれていたはずなのに、
主人公の女の子は、そんなことも忘れてしまって生きていたのだと、悔やむ。
7冊のシリーズを全部、眠っている彼女に読み聞かせたときに、
それは、まるで呪文のように働き始めるのだ。
見た目が複雑じゃあないのに、その複雑じゃないからこそ考えないといけない、
考えさせられる向こう側が広いように思います。
結末も最後まで読んでよかったと思えるものでした。
でも、本当の出来事なのかな? 大人にはちょっと甘すぎる夢。
でも、それとも・・・。と、思うんですよね。