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なかまくらです。
「新編クロノス・ジョウンターの伝説」 読みました。
クロノス・ジョウンターという名の不完全なタイムマシンで時を超えた3人の物語。
3本の短編集。
演劇集団キャラメルボックスで舞台化もされていて、
そちらを一本観まして、興味を持って手に取りました。
ややライトな読み口ですが、次の展開にドキドキしながらページをめくりました。
1.吹原和彦の軌跡
時間軸圧縮理論をもとに、クロノスジョウンターと名付けられたタイムマシンが完成する。
しかし、このタイムマシンは過去に一瞬存在することができるが、その過去に行った分だけ、
時間旅行の後に未来へ飛ばされてしまう。しかも、タイムトラベルを繰り返せば繰り返すほど、
未来への跳躍は大きくなることがわかった。開発した会社の技術者である吹原和彦は、
その日、花屋で働く来美子さんと約束をかわしていた。「今度食事に行きましょう」
昼休みにテレビに映し出されたのは、その交差点での爆発事故だった。
吹原は不完全なタイムマシンであるクロノスジョウンターに迷わず乗り込む。
一瞬だけ留まれる過去に可能性をかけて、彼女を助けに、何度も飛ぶのだ。
2.布川輝良の軌跡
布川はある日、クロノスジョウンターで過去へ飛ばないか? と誘いを受ける。
布川は、無名の建築家の、5年前に取り壊された建物が見たいと申し出、
これが受け入れられる。そして、枢月圭に出会う。二人は惹かれあっていくが、
布川は枢月に自分は未来からきており、
固定装置によって一時的にこの時間に留まっているだけで、4日間しかいられないと告げる。
ふたりは4日間をとても大切に過ごしていく。しかし、肝心の建物は見れない状況にあった。
3.鈴谷樹里の軌跡
子どもの頃の鈴谷樹里は入院していた病院で、青木比呂志と出会う。
しかし、樹里が退院する前に、青木は病気でなくなってしまう。
樹里はそれから19年経って、医者になっていた。
そして、青木が冒されていた難病を抱える少女を診ていた。
そんな折、特効薬が開発されたことを知る。そのサンプルを投与したところ、
みるみる病状が回復した。時を同じくして、クロノスジョウンターの存在を知った樹里は、
その開発者を説得し、過去の青木の元へと飛ぶのだが・・・。
タイムマシンものというと、大抵は、タイムパラドックスとか、バタフライ効果に目が行きがちな印象を受けますが(そんなにたくさん読んでるわけではないけれども・・・)
この作品は、そういうところにはあんまりうるさいことを言わないで、
クロノスジョウンターという名のタイムマシンが持つ欠陥を織り込んで、
どうやって目的を果たそうか。どうやって幸せになろうか、
というところに主眼が置かれており、
あまり、パラドックスの問題は気にならなかったです。
全体的にメロドラマの様相なので、壁を叩く用意をしておいたらいいでしょうね。
[1回]