1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

INAGO-DX『埋まれ、故郷』観ました。

なかまくらです。

INAGO-DX始動20周年記念公演『埋まれ、故郷』を配信にて観劇しました。


あらすじ

土木課の公務員の男は、実家の神社を継がず、宮司とならなかったことで、

両親とはぎくしゃくしていた。妻のお腹の中には、赤ちゃんがいたけれど、

妻は、病気になってしまい、赤ちゃんを諦めないと治療ができない。

立てるはずだった新居は、地盤再調査で、立てられなくなる。


幼馴染の女性も神社の娘で、宮司を務める男性と結婚した。

子供は授からなかった。男性は失踪して、1年後にふいに帰ってきた。


老人ホームを抜け出すお婆さんは、おじいさんを待っている。


公務員の男は、神社によく祈りに来ていた。


ジャッキアップ。関西の空港では、地盤沈下に応じて、常に地面を持ち上げ続けている。

気持ちが沈んだ時にも、気持ちを持ち上げるのだ。


携帯電話に、頻繁に地面の陥没の連絡が入る。

携帯電話に、頻繁に何か良く分からない警報発令の連絡が入る。


最近、この付近では、地面が陥没しているらしい。

神社に縛り付けられた幼馴染の女性と、

神社から飛び出して両親にも妻にも気を振りまく公務員の男。

宮司の男性は、陥没した道を見て、1年間失踪したのだ。


そんなある日、宮司の男性の妻は陥没に巻き込まれる。公務員の男の妻も、分からない。


いなくなったら、ほっとしてしまうのかもしれないのに、心配に思ってしまう、

面倒くさいものなのだ、という話。



というお芝居でした。

ううーーーん、という作品でした。

劇は重層的に作られていて、よく編み込まれているのですが、その割に、

言っていることはちゃんと分かるし、言いたいことも、やりたいことも、

分かるのですが、全然共感できなかった、というのが正直なところでした。

そして、役者さんも、めっちゃ上手で、それゆえに、すごく苦しさが伝わってくる。


たぶん、作者さんは、なんだかんだいって、そういうしがらみだらけの世の中が

それでも好きで、故郷をテーマに描いたんじゃないかなと思ったのですが、

どちらかというと、私はそういうのは面倒くさくて、嫌いで、

あまり関わりたくない若者側の人間なせいで、

ぜんぜん共感できなかったというところに、この感想の理由がある気がします。


言葉遊びとか、ジャッキアップで心を持ち上げる! みたいな演出や発想は、

すごく面白かったのですが、とにかく、見ていて辛いお芝居でした。


繰り返し鳴り響く緊急警報の音や、交通整理の人が鳴らす笛の音も甲高くて、

どんどん息苦しくなるのでした。

野田秀樹さんの『THE BEE』というお芝居を観たときと似ているのかもしれません。


演劇でこんなに苦しくなるとは・・・と、あの時は感心したものです。

そう、これは感心なのかもしれないな、と思う作品でした。


あるいは、いつか未来にやってくるかもしれないしがらみに対する恐怖心のような

ものなのかもしれない、という感想でした。


昔、大学生のときに、広島で見た劇王に参加されていたINAGO-DXさんの作品は、

こんな面白い劇団が広島にあるんだ!!!

と思ったものですが、それぞれ、年齢を重ねて、変わること、変わらないことが

それぞれあって、それゆえに、あの時みたいには、面白く見れなかったのかな、

と思うと少し、寂しい思いになりました。


なお、この脚本は、

一般社団法人日本演出者協会主催「若手演出家コンクール2024」最優秀賞 を受賞

しているそうです。確かに、よくできているんですよ。良くできているんですけど・・・

世の中で面白いと言われるものって、難しいところにあるんだな、

と思ったのでした。おわり。





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SPAC「ハムレット」観ました。

なかまくらです。

静岡県民劇団SPACの「ハムレット」を見ました。


あらすじ。

ハムレットは、父が叔父のクローディアスによって殺されたことを知る。

ハムレットはクローディアスを殺すことを決意する。

これまで人柄も良い人物であったが、ハムレットは豹変する。

恋人であったオフィーリアとも距離をとる。

ハムレットは母に父の死の真相を伝えるが、その際、見えた影をクローディアスと勘違いして

刺してしまう。これが、オフィーリアの父であるポローニアスで、誤って殺してしまう。

クローディアスによってハムレットは、イングランドへ送られることになる。

この船の中で、ハムレットは叔父がイングランド王にハムレットを殺すように依頼している

ことに気付く。海賊に襲われた際に、機転を利かせて、脱出したハムレットは、

デンマークへ戻ってくる。

しかしその間に、元恋人であったオフィーリアは自殺し、兄レイアティーズは、

ハムレットとの決闘を申し込む。王クローディアスは毒酒を用意し、

決闘で疲労したハムレットに飲ませようと狙っていた。

また、王はレイアティーズの剣にも毒を塗っていた。

毒酒を母が飲み、レイアティーズの剣は戦いの最中でハムレットのものと入れ替わっていた。

レイアティーズは死に、母も死んだ。ハムレットはクローディアスを毒の剣で殺し、

そして、ハムレットも決闘の途中で受けた傷から毒が回って死んだのだった。

オフィーリアは、それを見ていた。

オフィーリアは、舞台を包むビニールの向こうから見ていたのだ。

ラストシーンで、すべての人が死んでしまったとき、ビニールが客席を覆って通り過ぎていく。

それを立ち上がったハムレットは見送るのだった。


少し前に、細田守の「果てしなきスカーレット」を観に行ったのですが、

これも「ハムレット」を原案にしていました。


この演劇「ハムレット」もかなり、解釈が入っていて、オフィーリアが11人登場し、

このオフィーリアたちが、それぞれの登場人物を演じる形で進んでいきました。

こちらの「ハムレット」は、物語のあらすじをオフィーリアの視点で解釈したものでした。

オフィーリアの亡霊たちが、精霊のように漂う不思議空間の中で物語が語られていく、

という形式でした。

SPACのハムレットは復讐はかなり淡泊に扱われていました。

代わりにオフィーリアが大きく扱われていて、

だからハムレットが復讐に至った心情などはうまくとらえられなくて、

代わりに死んでしまったオフィーリアや、オフィーリアを気にかけない男たちと、

死んでしまったら、みんな一緒なのに、、、

みたいなところに焦点が当てられていたように思いました。

また、ハムレットが言葉と理性で行動するのに対して、

オフィーリアは人ならざる者としてダンスをし、非言語的な存在として立ち現れます。

そのビニールが観客をラストシーンで覆い、なんとなく観客は無口になりました。

死に覆われる仕掛けは観客を巻き込む恐ろしい仕掛けでした。


思索に富んだ作品であった一方で、

「ハムレット」という題材である必要があったのだろうか、

という疑問が残るお芝居でもありました。

演出は上田久美子さんという方で、ちょっと合わなかったかな~という感じでした。





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劇団イキウメ「ずれる」観ました

なかまくらです。

劇団イキウメ「ずれる」観ました。


あらすじ

不可解なことが起きる場所・金輪町の隣の町で起こる不可解な事件。

会社を引き継いだ兄と、精神病院から出てきた弟。

弟は、怪しげな環境活動家、凄腕の整体師などを家に引き入れる。

兄は、弟の面倒を見ながら仕事をするために、凄腕の秘書を雇う。


弟は、自由になりたかった。それは、人間社会で自由というわけではなく、

もっと、自由ということ。家畜がもとは、野生動物だったように。

人間だけが、見えていないのだ。弟は、幽体離脱をすることができた。

幽体として、動物と接触することで、アロワナはシーラカンスに、

シベリアンハスキーはオオカミに、豚は猪になるのだという。

しかし、オオカミは射殺されてしまう。それは幸せなことだったのだろうか。


やがて、弟は、幽体から肉体に戻れなくなってしまう。魂が肉体からずれるのだ。

整体師の時枝は、それが見えていた。時枝は兄をずらし、魂の世界に招く。

そこで、最後に弟と会った兄は、少しだけ、今までとズレることになった。


というお話でした。

生き辛さで、互いに苦しめ合ってしまう兄弟が、見ていて苦しかったです。

ただ、どちらにも共感できる部分があって、それがラストのそれぞれが自由になった

ような感じに、肯定も否定もされない優しい気持ちになれたような気がしました。


イキウメのお芝居は、「図書館的人生Vol.3 食べ物連鎖」から、追いかけてきました。

魂の在りかを問うような、前川さんの書くお芝居の世界は、

ずっと、私の魂を震わせてきました。

大人になると、心が揺れるようなことってあまりなくて、落ち着いてしまっています。

ストレスがあれば猶更、がちがちに固まって、衝撃が加われば割れてしまいそう。

けれども、それを、マッサージするように、ほぐしてくれるような気がするのです。

それは、心温まる、とかではなくて、苦しかったりして、痛いときもあるのですが、

すごく大事な体験なのです。


そんなイキウメさんですが、しばらく定期公演をやめる、とのことで、

次の公演がいつになるかは未定なのですが、また、待っていようと思います。

おわり。





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「NO.6」観ました。

なかまくらです。

ミュージカル「NO.6」観ました(配信)。


ニコニコ動画で配信されていたので、コメント付き。

絶賛されすぎていて、若干と警戒感とともに見始めました。


そもそも、原作は、あさのあつこさんのライトノベルで、

そういえば、昔、小説を読んだことがある気がしていました。


そして、そういえば、最近、続編が出るというニュースも見たような?

そんなところでした。


さて。

核戦争のあった世界で、その被害の少ない6つの場所に建てられた施設のうちの1つ。

それが都市:NO.6であった。

そこでは、いろいろなことが管理されていた。

その中でエリートとして育った紫苑は、嵐の日に出会ったネズミとの一件から、

人生の歯車が大きく変わっていく。

多くの人と出会い、多くの経験をし、

やがて、NO.6の欺瞞を抱き、世界を変えていくことになる・・・・。


みたいなお話でした。

紫苑の隠された才能のようなものが、非常に冷たく、

それが露にならないように、抑えながら進んでいく2人。

最後は、ハッピーエンドという幸せな感じ。


ミュージカルでしたので、歌いながらも、尺を気にして、

物語の展開をどんどん詰め込んでいく感じ。

3時間という長いようで非常に短い物語の中で、

紫苑とネズミの出会いから、二人を取り巻くたくさんの人物の

為人から、その行きつく先まで、よく描いたな、という

見事な構成の物語でした。楽しめました。

おわり。





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「>|<」観ました。

なかまくらです。

MUNA-POCKET COFFEEHOUSE「>|<(水)」観ました。



あらすじ

無色透明な水が観測できなくなってしまった世界。

水の研究者のドンペリは、最も優れた研究者アメとその旦那テルとも

親交のある仲であった。

水のある場所・・・川や湖を巡って、人々は争ったが、やがてその場所でも

水は観測できなくなり、枯渇して、争いは収束していった。

そして、水を巡る100年の物語が始まるのだった・・・。

天才科学者のアメは、エコエコシステムなるものを開発する。

それは、生物をその中に入れると、水が出てくるという装置。

それは、水がそうであるように、生物をそのエコエコシステムの中に入れると、

・・・観測できなくなるだけで、死んでいるかどうかはわからない。

だから、それは問題のない行為だということ・・・。

初めは動物を入れていく予定であったエコエコシステムだが、

やがて、人間を入れることになる。

ドンペリは、平等にくじで対象者を決めることを主張する。

人類が長い歴史の中で培ってきた平等や、尊厳や、愛を大切に思っていた。

エコエコシステムは一時しのぎのもので、この水問題を根本的に解決する方法は、

誰かが再び、無色透明である水を観測することであるという。

その観測の方法は、だるまさんがころんだ、であった。

人口が減っていく中、毎日、観測に挑戦し、失敗し続けていた。

そんな中、アメがくじに当たる。アメには雫という名前の子供ができていた。

テルはもういなかった。

アメはドンペリに雫を託す。

ドンペリは、1歳に満たない幼い子の子育てに奔走した。

その中で、これまで主張していた平等を曲げ、雫の生存のために、

騙し、エコエコシステムに投入していった。

やがて、2人だけになって、それでも水が不足することを知ったドンペリは、

自らもエコエコシステムへと身を投じていくのだった。

それから、長い長い時間が流れたある日、

雫はついに水を観測することに成功するのだった。

というお話でした。


なるほどーーーーーーーー。

ムナポケさんのお芝居は、「紙」で初めて見て、本作は2作目でした。

前半の謎のお笑い場面は、前作で少し耐性があったのと、

今回のほうが見やすくて笑えました。

物語としては、前作の完成度が恐ろしく高くて、最後のカタルシスは、

前作のほうが大きかったですが、今作は、そこに至る部分の満足感が高い作品でした。

ドンペリというキャラクターの心境の変化が非常に面白くて、

ドンペリは、前半、みんなのため、のように平等や人類の尊厳や愛を主張していて、

それはもっともな言葉に聞こえるのですが、後半になると、

雫へ愛情を注いでいるとき、その信念はすっかり何処かへ行ってしまうのです。

それに気付いたのは、水原さん(だったかな?)が、変な踊りを踊りながら、

皆の為と言いながら、結局自分の為だったんじゃないの? と言いながら、

エコエコシステムへ入っていく独白のシーンでした。

子どもがいる人の価値観と、いない人の価値観の対立が暗喩されているように感じて、

これをこうやって表しているのか、という部分は、痺れました。

また、水がだんだん赤くなっていくのも、生物の内部でも、水が不足して、

血が濃縮されて行っている感じが、実に気持ち悪い演出でした(誉め言葉)。

気付かないふりをして、生きていくのは苦しいのでしょうね。


私たちは、きっと、まだ気づいていないのだろうな、と思いました。


さて。最後は、雫さんに託されて、最後に水を観測します。

息も絶え絶えになりながら・・・。

命を繋いだ、というメッセージを感じるとともに、その一方で、

人間はもう他にはいないような感じがして、なんのために・・・、

という思いもある、終わり方だったな、と感じたのでした。

総じていうと、今回も面白い作品でした。

そういえば、タイトルの「>|<」は、量子力学のハイゼンベルグ表示で用いられる記法であるブラケットベクトルを意識しているのかな? とか思いました。

ただ、どちらかというと波動関数に作用する側になるので、どうなのかな、と思いましたが、もしかすると、人間は作用される側だったのかも、なんて思ったりしましたが、そのあたりは、勝手な妄想にとどめておこうと思います。


おわり。





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