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なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

【高校物理】万有引力の法則の導出についての一考

なかまくらです。

万有引力の導出の授業をするときに、毎年しっくりきていなかったのですが、

自分なりに少し理解が進んだように思うので、記録しておこうと思います。

具体的には、万有引力の導出で私が毎年もやっとしていたポイントは、

惑星の向心力を求めた後、作用反作用の法則から、太陽についても同じように力が働くので・・・と論を運ぶところにあります。

しかも、太陽は円運動していないのに、円運動から導出した万有引力の式を

そのまま使ってよいのか(しかも、ちゃっかり、惑星の質量を太陽の質量に置き換えている)

これについて、次のように、考えてみました。


さて。

万有引力の導出は、



(ⅰ)惑星の円運動の運動方程式

 

(ⅱ)ケプラーの第三法則

 

この2つの式を同時に満たす関係式を作ることから、

惑星に働く向心力(万有引力)を求めるという手順で進めていきます。

(ⅱ)式を変形して、

 

これを(ⅰ)式に代入して、整理すれば、惑星に働く向心力が



と求まるわけですが、ここで、質量 m 以外の部分は、運動方程式 ma = F であることから、

加速度を表しているはずです。


すなわち、一般的に、ある質量をもつ物体から r だけ離れた場所にある物体には、

r に反比例する加速度が生じるように空間の状態が変化していると考えることができます。

これは、突飛なことではなく、私たちが暮らす地球でも、ありとあらゆるところに、

重力加速度が生じます。しかし、これは、物体を置いた場合に初めて生じていることが

わかるものです。(これは、電磁気学で、電場の概念を獲得するときと同じです)。


この解釈で、同様にして太陽に働く力を考えれば、



と、表されます。このとき生じる加速度は、物体の質量によって変わってくるはずなので、

別の加速度としています。


ここで、作用反作用の法則によって太陽に働く万有引力と惑星に働く万有引力は等しいので、

万有引力は、M に比例し、m に比例し、rの2乗に反比例することが言えるので、


  

というように、万有引力の式を導出することができました。


もちろん、これはアナロジー(類推)で、

万有引力は電磁気学で電場を習う時に登場するガウスの法則を使って、

r の2乗に反比例するのだ、というのは感覚的には分かるのですが、

導出過程について、電場を学ぶ際に登場する、場の考え方を取り入れて解釈してみると、

すこしすっきりするかな、と思ったので、記録を兼ねて、書いてみました。


皆様の物理の勉強の参考になれば幸いです。





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「てんぐの小太鼓」使ってみました。

なかまくらです。

最近はキャンプブームらしいですね。

ロケットストーブなるものの存在を知りまして、災害時の対応として買ってみました。

「てんぐの小太鼓」というストーブで、火が煙突を吹き上がって、上にヤカンなどを

乗せれば、お湯が沸くという代物です。名前の通り、上手に燃やせばポコポコと

音が鳴ります。


サイズは高さ30cmくらいで、車にホイッと入れておくのに都合の良い大きさです。

実際に火を入れてみて気がついたのは、火をおこすことの難しさです。

これって・・・すごく科学的だぞ!?

動画とかを見ると、火起こしには割り箸が良いみたいですが、

やっぱり、細くて乾燥していると良く燃えるみたいです。

災害時用、ということで自動車に積みっぱなしにしたいので、

ライターじゃなくて、マッチが良いのですが、マッチだとなかなか火がつかない。

新聞紙から木に火を移そうとしても、新聞紙からはなかなか炎が上がらなくて、

炎が上がらないと木材に火は燃え移らなくて、じりじりと新聞紙だけが燃えていく。

火がついても、厚みのある木材はなかなか燃えないし、

木の密度の高い(重い)木材はなかなか燃えてくれない。

ところが木材も、黒く炭になってくると良く燃える。ブスブスと赤熱した状態で

静かに燃えている。

燃えているからといって、次々と木材を入れていくと、隙間が足りなくて

密閉されてしまうと空気が不足して火が消えてしまうのも面白いです。

空気を吹き込むと炎がボッと上がるのですが、吹き込み終わると、

空気がまた足りなくなって、直ぐに消えてしまう・・・。面白い!!



そして、写真の通りですが、木材に纏わり付くように火が回っています。

これを見て、ふと思い出したのが、「ハウルの動く城」です。

火の悪魔カルシファーが薪にしがみつく様子が、こんな感じだったな、と。

さすが宮崎駿監督。よく観察して作られているな、と思うのでした。

おわり!





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高校電磁気学についての覚書

なかまくらです。

今年は、物理のクラスを受け持っているので、電磁気学を教えています。

高校電磁気学ですが、

私が高校生の時に感じた印象は、
  • 覚えることが多すぎて、よくわからない。
  • ごちゃごちゃしている。
  • でも、公式さえ覚えてしまえば、あとは力学やってるだけ。
  • 問題は解けるけど意味はよくわからない。
とまあ、こんな感じです。

でも、電磁気学は、マクスウェル方程式によってまとめ上げられていることを知り、
  1. クーロンの法則(→ ガウスの法則へと発展) :電荷と電場の関係
  2. 電磁誘導の法則 :磁場と電場の関係
  3. 単磁荷は存在しない。
  4. アンペールの法則(→ 電磁波へと発展) :電場と磁場の関係
これをベースに考えられるのではないかと思っています。

確かに、力学的だし、問題も力学っぽいので、電磁気が空間の物理学だ!

と言っても、あまり問題を解く役に立ってきません。

ただ、公式がなぜそうなっているのかは、かなり体系的に理解できるようになる気がしています。

さて、電磁気学の序盤・・・クーロン力、電場、電位のところですが、

次のように考えるといいのかなと思っています。



まだまだ、勉強することがたくさんあるなあと感じるのでした。





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たまには数学でも。

なかまくらです。

探究活動が大事だよ! と叫ばれている教育の手法ですが、

ちょっと別の考え事をしていたら、数学にぶつかりまして、

考えていたら面白かったので、まとめました。

たまには数学、やってみます??(1)は省略。




















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「新装版 電磁気学のABC」を読みました。

なかまくらです。

「新装版 電磁気学のABC」を読みました。



一度高校電磁気学を学んだ後に読むと、電磁気学の世界の奥深さを感じる本でした。

文章も平易で実に読みやすいです。

そんな簡単なことも知らないで、学んだことになっているのか、

ということがいくつも問いとして現れ、面白かったです。
電磁気学は覚えることが多いですが、

本質的には4つの法則からなっているということを説明している本でした。
また、電磁波の発生の原理は、色々調べましたが、これまでで一番わかりやすい説明でした。

この本と、それから、その前に読んだ本 ↓

「高校数学でわかるマクスウェル方程式―電磁気を学びたい人、学びはじめた人へ」読みました。

だんだんと、高校生の時にとりあえず問題が解けるようになっただけだった

電磁気学の分野が目の前に開けてきた気がします。

リンク先の本ですが、なんと読んだのが、3年前。。。

それから、「あ、なんか分かりそう」

そう思って、もう一冊読もうと、この本を買ったのがそのすぐ後だったと思います。

3年か・・・。

「少年老い易く、学成り難し」

とはよく言ったものです。





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