なかまくらです。
「市ヶ尾の坂」を観てきました。
上演団体は、ラムベント。於:山小屋シアター。
作品自体は、1991年の初演の作品だそうです。私、3才の時。
ポスターがかなりいい出来ですよね。キャッチコピーみたいに描かれている言葉と絵が実にあっていますね。
「静岡」から来ましたよって言ったら、作品中で、
リクエストに応えて、「うる星やつら」のオープニング曲を歌ってくれました^^ありがとうございました。
あらすじ
市ヶ尾の坂の途中には3兄弟が住んでいる。3人とも社会人で、長男と三男は郵便局員。次男は会社員。三人ともそれなりにおっさんにさしかかる30才前後。3人の暮らす家に、小さな子を持つ画家の若い奥さんが尋ねてくるようになる。奥さんと3兄弟はそれぞれがいろんな話をする。それから、家政婦や画家本人とも。奥さんはどうやら、自分の子供ではない男の子とうまくいっていないようであった。3兄弟は奥さんに幸せになってほしくてそれぞれ気を利かせる。
というようなお話。
元々は同日に青少年センターのアングラ劇場で上演されていた劇団いるか座の「シーラカンスにあいに」を観ようと思って、広島に出掛けたわけですが、山田さんのTwitter情報から、こっちも面白そうだ、と思いまして、ハシゴしたわけです。
「シーラカンスにあいに」は、キャラクター小説で、アニメ的なおもしろさが際だっていましたが、こちらは実に対称的で、人間味で勝負! という感じの作品でした。つまり、そんなに大きな出来事は起こらない。ちょっとしたことが積み重なっていくけれども、最後にすごいハッピーエンドも用意されていないし、すごいバッドエンドもない。時間が流れていろんな事が少しずつ変わっていくだけ。そういう、2時間という間に、時の流れを見せてもらったような、そんな不思議な気分になりました。
想像するに、演じるのはすごい難しい作品だと思いました。パンフレットにも書いてあったのですが、演ることはできてしまうけれど、勢いでやってもきっと面白くない。登場する人物はみんな魅力的だけれども、その魅力を発揮するには、台詞のない演技がすごく重要になるんだと思いました。特に印象的だったのは、奥さんが少し長い独白をしているときにカウンター席に並んで座る3兄弟の様子でした。長男は奥さんのことが好き。次男は同級生に幸せになってほしいような感覚。三男は影からそっと支えてやりたいという優しさ。そんなそれぞれの奥さんに対する人間関係の築きかたの違いが見えてきて、そうすると、それまでのシーンの一つ一つ、それから、これから起こるシーンの一つ一つがすごく鮮やかに見えてきて、震えました。これは面白い、と。奥さんの嘘がバレるシーンも良かったのですが、独白の時の3兄弟が一番良かったですねぇ。家政婦さんは、イマドキなかなかいない感じでした。少し押せば簡単に薬物なんかに倒れてしまいそうな、ちょっと危うい感じのヒロインという感じで、少し時代を感じました。でも、こういうの出来る人がいないのか、それとも、こういう役を書ける(あるいは書く)人がいないのか、新鮮な感じでした。
そんなわけで、面白かったです。
おわり。