なかまくらです。
「ゲゲゲの先生へ」を観てきました。
東京芸術劇場での公演でした。
どうしよーかなー、仕事あるし、観に行けるかなぁ~~としばらくの逡巡の間に、
土日のチケットは売り切れ! 平日に早退して観に行きました!!
主演は佐々木蔵之介。周りも豪華な俳優陣と、イキウメのおなじみのメンバー。
さて、どうかな~~、とわくわくしながら観に行きました。
あらすじ
根津という男は、ある時を境に、スリや詐欺をして、
生計を立てるようになっていた。あるとき、へまをやらかして、
田舎にやってくる。そこでおばあさんを騙そうとしたところ、
魂下しを食わされ、魂を食われそうになってしまう。
幸運が重なり、生き永らえたが、
ひとならざるものが見えるようになってしまい、
本人も半分ひとではなくなってしまった。
それから随分と時間がたって、
都会では、子供が生まれなくなっていた。
少ないながら生まれないことはないのだが、
生まれたときから、ふがふがというばかりで、
まるで魂が入っていないかのようであった。
そんな都会から逃げてきた若い夫婦は根津に出会う。
根津は、自分の半生を語るのだった。
妖怪たちがいた日々、田舎から人が減り、
妖怪たちが姿を消していったこと。たった一人、残されたこと。
やがて追手がやってくる。
都会では、コケカキイキイという怪物が暴れているらしい。
銃で撃っても死なないばかりか、地面を揺らし、とんでもない力を持っている。
どうしてこんなことになってしまっているのか。
市長と医者と警察は、自分たちの地位と利益を守るために、
結託していたが、コケカキイキイと根津に懲らしめられてしまう。
若い夫婦は、その、田舎のボロ屋に住むことにする。
根津たち妖怪は、いつの間にか消えていた。
そんなお話でした。
佐々木蔵之介、すごい役者さんでした!
空気感が素晴らしい。肩ひじを張らず、風格がありどっしりと構えている。
あとは、白石加代子さんが素晴らしい!
他の役者さんもうまいのですが、最初の登場シーン、
今にも死にそうなおばばとして登場する白石さん。
ところが、底知れない何かを滲み出し始めたあたりから、もう、そのシーンは、
全部持っていきましたよね。
芝居を長く続けるってたぶんこうなるってことなんだと思いました。
タイトルにある通り、この物語は、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者・水木しげるの
ことを題材にしたお芝居でした。
そのため、ストーリーの中で、水木しげるの作品がいくつか登場しました。
「コケカキイキイ」「錬金術」「丸い輪の世界」の3編だったようです。
すると、今まで前川さんの作品ではなかったような展開が起こって、
驚いたり、それが真新しくて面白かったりするのでした。
それと同時に、どこかほの暗いといいますか、
どこからでも妖怪が出てきそうな、そんな雰囲気が舞台にありました。
さらに、この空気感というやつがすごく作られていて、
根津の語り口を中心に、役者全員で作っていたな、と思います。
妖怪が出るパート、若い夫婦を中心とした人間のパート。
始めはこの2つのパートで始まるのですが、
ところが、だんだんこの二つが、近づいてきて、
後半は混然一体となって、妖怪の世界に引き込まれてしまいそうな、
あるいは、妖怪というのは実在するんじゃないかって、
そんな錯覚に陥るような、
そんな素敵な体験ができました。
演劇っていいなぁ、と改めて面白さを実感するお芝居でした。
おわり。