1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

【小説】もうすぐ始まる

なかまくらです。

久し振りな気がしますね。

小説、書きました。どうぞ。


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もうすぐ始まる

             2018/04/28
             作・なかまくら


最近、よく夢を見る。


水の向こうに揺らめいている海底。


海底からの視点に移ると、泡が上っていくのが見える。


ぼん、とバブルリングが海底から生まれると、周りのプランクトンや小さな泡、積もった塵なんかを巻き込んで、浮上していく。その泡の中では、激しく渦巻いてやがて小さな細胞が生まれる。せわしなく動き回る細胞は、くっつき合うことを発見し、やがて複雑な構造を実現していく。コミュニティーを作り出し、分裂とは異なる増え方を見いだし、そして、異なるものを排除するようになる。激しく争い、そして最後には、ぱちん。


海底からの視点の中で、はじけて消えた。


最近よく見る夢の話だ。


 



 


「ただいま」


待っている人の居ないアパートへと帰った。がらんどうの部屋。蛍光灯が苦しそうに明滅し、点灯した。リビングに置かれた背の低い机には大切な写真が置いてある。写真の中で妻と子どもが笑顔を見せていたが、今はもう、それは別の男のものになっていた。


包装フィルムをむしり取り、電子レンジに入れると、他にやることもなくテレビを点けた。


「遂に発見! 謎の石版・・・その内容は?」


見出しが画面の右上に表示されている。


ちん、レンジが調理完了を知らせた瞬間、ぼくは自分の目を疑っていた。表示によれば、目の前の映像はライブ映像だという。どこかで見たような海底。頼りない光線がゆらゆらと照らして、全容は見えない。ただ、目の前に広がるのは、どこか懐かしいような、そんな・・・。


こんこん、


「はぁい!!」 反射的に答えて、その自分の声が水の中から聞こえているようだと思った。


こんこん、その音はひどく遠慮がちで、遠くに聞こえた。それから声がして、


「川崎さん・・・ではないですね」 女性の声で、向こうから聞こえてきた問いかけに対して咄嗟に答えていた。


「違います。私は藤原です」


「そうですよね」


それだけの会話だった。レンジが、ちん、と鳴った。さっき、鳴らなかったか。


扉の隙間から蒸気が立ち上っていて、中の冷凍食品は見えなかった。ただ、何かの影がもぞりと動いた気がして、背中をぞわりとしたものがよじ登った。無言でコンセントを抜いた。それから扉をガムテープで完全に密閉して、風呂場に置いて、布団を被った。音はなかった。都市の騒音。それ以外何の音もない、静かな夜だった。気が付いたら、眠っていた。


 



 


「川崎君」


博物館。資料室の扉を開けようとしたところで、声をかけられる。


「いえ、藤原ですが」


「うん、それだ」 上司はぼくの名前を覚えていない。


「歩きながら話そう。化石の整理、どこまで進んでいるかな」


「はい」 資料室に入るのは諦めて、先に珈琲を買うことにした。ポケットの中の硬貨を転がして確認する。


「38億年前、最初の生物が発見されたものから、順番に並べています」


「そうだろうね、それがまさに頼んだ仕事だからね」 上司のことは3年の付き合いになるがはよく分からない。


「それで、その系統ごとに進化の系譜をたどるように、標本を置いているところですが、」


「そう、進化なんだよ。進化なんだ。生命は進化することでここまで多様な生物種を生み出してきた。けれども、進化の果てに滅びようとしている」 上司の終末思想はいつものことだった。それで、こう続くのだ。「では、そもそも、我々の細胞はウィナー・インザ・ポッド(確率的に生き残ったもの)だとして、何故選ばれたのだろうね」


それで、ぼくの答えも決まっている。「私は神の存在を信じるつもりはまだありませんから」それは自分にとってその問いが決して高尚なものではなく、その問題がどうしても解決しなければならないこととは感じられないから、というだけの理由なのだが、“まだ”という言葉に、上司はどこか満足気な顔をする。それから「なるほどね」としたり顔でつぶやいて、いつもぼくは迷惑に思っていた。


「うん。そこまでやってくれてあれば、大丈夫だ。」 何が大丈夫なのか、と身構えると、


「例の石版なんだけどねぇ・・・」 懐に手を突っ込む。そして出てくる航空券。ああ。


「現地調査に行ってきてくれたまえ」 イヤな予感は当たっていた。


 


思えば、あのときもそうだった。突然の海外出張。あのときは、地面にぽっかりと開いた穴の中だった。パラシュートでしたまで降りて、墓標を調べた。それは、誰のための墓だったのか、咲いていた小さな花で花束を作って、供え物にした。祈りの手を合わせると流れ込んできたのは、何だったのか。それは星の悲しみのような、抱えきれない感情のような。気が付けば、救助のヘリの中にいた。それから、帰ってほどなくして、妻は娘を連れて出て行った。


あのとき何かが変わってしまったのだ。あれ以前と、あれ以降ではどこか自分でない自分が目覚め始めていたのだ。最近よく夢を見る。水の向こうに揺らめいている海底。


 


ざざん、波の音。どこか懐かしく感じる音。


ウェットスーツを着て、酸素ボンベを背負っていた。


「では、行ってきます」


TV局はスクープを求めて、競って船を並べていた。彼らは、今どんな感覚なんだろうか。


身体が内側から温かくなるようだった。どくん、どくん、と動悸が起こる。強く打ち付けて、普段よりもぼくの身体が何かに備えるように、強く命を輝かせようとしているようだった。


 


沈んでいくぼくを、海底から見ているようだった。


海底はどこまでも暗い。明かりは、当たっている場所だけを照らしている。


「・・・顔?」


ぼくは何故かこのとき、あの日の夜を思い出していた。あのとき、「そうです。川崎です」と言っていたなら。


 


顔で言うなら鼻の穴の辺りをこんこん、と遠慮がちにノックしていた。


それから、それを問うたのだ。


ーーーーーーーーーー

あとがき
なんとなく、生命の誕生について
それから、生命の未来と生まれてきた意味について






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ストレス溜まりて、爆発するものあり

なかまくらです。

昨年度。ストレスが溜まると爆買いをしてしまうと言う悪い癖がありまして。

爆買いで何を買うかというと、まあそれはあまり法則性はないのですが、

いい革靴を買ってみたり、

カーペットを変えてみたり、

Yシャツを買ってみたり、

コートを新調してみたり、

車のパーツを買ってみたり、

まあ、いろいろでした。ついでに白状すると、

最近1万円もする名刺入れを買ってしまいました・・・。

これから、企業訪問にまわるので、そのときに、勇気をくれるといいなあ。


ちなみに、一昨年は、ストレスが溜まると、わりと爆食いで、

よくマックスバリューで、黒毛和牛ステーキ肉! みたいなのを買って、

焼いて食べていました。

さて今年度は、どうなるんでしょうね(苦笑

もっとポジティブな何かに出来ないかなぁと思うのですが、

これがなかなか。

例えば、爆読書とか、爆泳ぎとか、爆小説書き、みたいな?

本当はもっと小さく生きていけるはずなのですよね。

こんなにお金がかからないで、生きていけるはずだし、

こんなに肩肘張らなくても、いいはずなのだけど、

まだ、爆発的な生き方ばかり、してしまうのですよね。

がんばろうっと。







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高校生をどんな大人にするべきか。

なかまくらです。

最近、すごく悩んでいることがありまして・・・。

それは、どうも、私の先生としての教育観が、

他の大部分の先生とズレている気がしてならない・・・ということ。

我々教員は、どんな大人を世に輩出していけば良いのでしょうか。


私が思うのは、とにかく一生懸命、何かに取り組める人を育てること。

また、その自信をつける成功体験をさせてやりたい。

それから、素直な大人になってほしい。

建前ありきで、こういえば、世の中上手くまわるでしょ?

みたいなことばかり言う大人にはなってほしくない。

自分の言葉で、自分の思っていることを表現できる大人になってほしい。


・・・そう思う一方で、いま、そうやって仕事をしようとして、

毎日生きづらい自分がいます。

真っ直ぐ、正直に当たると、なすすべもなく跳ね返される。

私、世渡りが下手なんですね。

「言葉の裏をちゃんと読みなさい。言葉の裏が読めるように子どもを育てなさい」

と、頼りにしている先輩教員から言われ、

(・・・と言っても、それも、最初やんわりと言われて、
「よく分からない」と言ったので、そう言われたのですが・・・)

世の中は悪意とか、だまそうとする人たちに満ちているよ。

気をつけないといけないよ・・・と教えていかないといけないのか、

自分を開いて、真っ直ぐな気持ちで生きようよ、とするのか、

ううーーん、前者が正しいのでしょうか?


最近、本当にそういうことが多いのですよね。

「君の気持ちは分からないでもないが、ちょっと私の気持ちもくんでほしい」

といわれて、「あなたの気持ちも理解できなくはない。でも、それでもやってほしい」

と言ったら、「やらないってことなんだよ! そんなことも分からないか!」と

怒られたり、

「君の頼み方の手順が悪い。そうやって頼まれたら、私はもう引き受けられない」

といわれて、「じゃあ、いいです。自分でなんとかします」と言ったら、

「そういうことじゃない。私が悪者みたいだけど、やらないわけじゃない」

と言われたり・・・。


あー世の中ってなんでこんなにもややこしいのだろう。

こんなに、上手に生きられない人間が、先生でいいのだろうか?

なんて、しょーもないことを考えてしまいますね。

でも、それも含めて、生き方を教える職業だと思うのです。





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こわれたら、元には戻らない

なかまくらです。

昨年、今年と活動していなかったバンドが立て続けに復活!

と喜んでいたのですが、

あれ~~~、なんか違うぞ?

と、クエスチョンマークが。

こういうことがやりたいぞ! というわけで、復活してくれたのだと思うのですが、

私みたいなミーハーは、バンドマンかっこいい~~!

とかではなくて、このバンドの雰囲気、いいなぁ、

とそういうところに惹かれているわけで、

別にこの人の生き様かっこいい!

とか思っていないといいますか、

そもそも、この辺が限界だなぁ、と思って活動休止したバンドが、

同じ感じでは帰って来れないのもよく考えれば頷ける。

でも、悲しいなぁ。





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えりまきさん、小さくなりたい

なかまくらです。

人間関係の中で、他人に認めてもらいたかったりすると、

だんだん、自分のことを大きく見せようとついつい頑張ってしまう。

ところが、ときには疲れて、一休みしたいときにも、

小さくなるのが難しい。

明日も仕事だなぁ・・・。






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