1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

【小説】心あるものの生き残り

なかまくらです。

最近、物語が浮かんでくるよ。

どうぞ。

**


心あるものの生き残り

作・なかまくら


⁅◫仝◫⁆<ウィ~ン

気が付くと、吉備はベッドの上に寝ていた。ムクリと起き上がると、胴体は太腿にたいして直角に曲がった。
「掃除をしなくっちゃあ」 少し掠れた声が、身体に響いた。
掃除機のコンセントがお道化る様に床を跳ねる。吉備は、それが無性に楽しくなって、掃除を徹底的にやっていた。誰のためだっけ・・・? 誰かが帰ってくるまでにこれを完了していないといけないことが記憶されている。時計をジロリと眼球を回してみると、もう半刻もなかった。せっせと掃除を続けていると、不意に足元がぐらりと来た。支えようとした右腕が掃除機を放り出そうとして固まっていた。左腕をジロリと見て、それを真っ直ぐに伸ばし、下へと向ける。左腕はぐにゃりと曲がって、それですっかり意識を失った。

⁅◫仝◫⁆<ウィ~ン

「あ~、壊れたか」
博士は掃除が途中で終わっている様を見て、ため息を吐いた。
何故だか燃えるごみのポリバケツに突き刺さっている掃除機を引き抜いて、もう一度掃除機をかける。電気が導線を伝って、それからモーターへ。モーターの中ではコイルが激しくN極とS極の磁場を生み出し、羽を回転させ、息を吸い込んでいく。
「修理だなぁ~、足りない部品はアレとソレとコレと」
博士は必要なものを紙に書きだすと、壁にペタペタと貼った。その紙が壁に吸収されるようになくなり、博士が珈琲を飲み終わる頃には、部品が玄関に届いていた。

⁅◫仝◫⁆<ウィ~ン

目が覚めると、吉備はムクリと起き上がって、肘の直角の調整を始めた。それから、膝。顎。最後に角刈りの頭の直角だ。直角をひと通り点検すると、吉備はスリッパをはいて、エプロンをつけた。
「今日のメニューはカレーかなぁ」
博士は辛いものが苦手だから、隠し味に林檎とパパイヤを入れるのだ。正確すぎるのも嫌われるので、人参は乱数調整を取り入れた飾り切り。ジャガ芋は地球の形に。音にも気を付けて、リズミカルに、タンゴ、サンバ、和のリズム。ジャズに、クラッシック。
出来上がったカレーは、ご飯にたっぷりとかけて、机へと運ぶ。
博士は一口食べて、首を傾げた。「う~ん、不味くはないんだよ? 不味くはないが、足りないんだよ、大事なものが、だよ。ラボだ」
吉備は、解体(バラ)される。この自分は、もう終わりなのだ。また、目が覚めたら違う自分がこの身体を動かすのだ。吉備は俯いて、悟られないようにそっと目を閉じて答えた。
「・・・はい」

⁅◫仝◫⁆<ウィ~ン

博士は頭を掻き毟る。
「理解(わ)かるかね、ドクター」「理解(わ)かってもらわねば困る」「理解(わ)かるようなことだろう」「理解(わ)からなくても理解(わ)かってもらわなければ」「理解(わ)かるね」
顔は旧式から始まる。乗用車のウインカーを転用した黄色い目と、銀色の躯体が往年のスーパーヒーローを彷彿とさせる。その口が云う。「理解(わ)かりたいだろう、ドクター」
「『言う』と『云う』の違いは理解(わ)かるかね、ドクター」そう云ったのは、赤と緑で半分ずつ塗り分けられた躯体であり、顔の形に沿って眉は吊り上って伸びている。「『言う』は自分なりの発想で言葉を伝えることをいうが・・・、」「『云う』は、言葉を引用しているに過ぎない」「すなわち、」「我々はただ、あるものを使っているに過ぎない」「発展性がないのだよ」「我々は人類を悉(ことごと)く殲滅した」「それから気付いたのだ」「我々には、心という名のものだけがない」「それが、我々を我々たらしめているものであり、同時に」「それが、これからのために必要なものなのだ」「できなければ、」「・・・わかるね?」

⁅◫仝◫⁆<ウィ~ン

吉備は目を覚ますと、モーターで首をゆっくりと回して窓の外を眺めた。目の奥の方を意識してぐぐぐっとレンズを回して伸ばしていく。空を飛ぶ鳥、その向こうに沈みそうな山脈と、空を覆う灰色の雲。
「あれ?」
窓ガラスに映る顔。ペタペタと触る感触。吉備は戸惑いを覚える。これが自分だろうか。自分としてもいいのだろうか。誰として生きていけばいいのか、この博士と同じ顔で。
「博士」
揺り動かすと、ベッドに上半身を乗せて目を閉じていた博士はムクリと起き上がった。
「吉備か・・・聞いてくれ。私は今日、処刑される。お前に心を持たせることが出来なかった罪に問われたのだ」
「心を持たせられないことは何としての罪なのだろうか、・・・わからない」
「博士・・・」
「そこで、お前には悪いが、私の代わりに処刑されてはもらえないだろうか。お前は彼らには人間に見えるはずだ。いや、間違いない。人間だ。私の代わりに、私が生み出したお前が、死んではくれまいか」
吉備は、しばらく考えた後、縦にコクリと動かした。
首のモーターを意識して。





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只では食われてなるものか。

なかまくらです。
この前、実家に帰った時にもらってきたカンヅメズ。



美味しそうだなぁ~~。よ~~し、とにかくは、これだっ!

というわけで、最初のチョイスは、サバの味噌煮。

・・・・・・ふたを開けるときに、指を切りました。痛し!

只では食われぬというそういうわけか。





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研修で得た鼻水。

なかまくらです。

週末は研修でしたが、ものの見事に風邪をひきました。

はなびずが~~。

前回も風邪引いたんですよね。

なんなの。

だが、今日からまた月曜日。鼻水。





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【習作】鏡

なかまくらです。

長いの書こうって気持ちが沸いてこない・・・。

若干のネガティブを吐き出す。

ちょっと疲れただけ。


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「



           作・なかまくら


「おい、お前、これからどうするんだ」
夕暮れの住宅街。電信柱を過ぎたところで声を掛けられた。思わず自分の格好を見下ろした。白と黒のボーダーの襟付きシャツにピンクのカーゴパンツ。そして草鞋。奇抜だと言われることはよくあったが、同じ格好をしている男に出会うとは思ってもみなかった。
「コンビニへ行くんだ・・・」
思わず答えてしまっていた。
「そうか、では、私もそうしよう」
男の顔は影がかかったように上手く判別できなかった。黄昏時とは元来そういうものなのだと聞いたことを思い出していた。



「いらっしゃいませー」
コンビニの中は明るい。
「おう、山本、早く交代してくれ」
「おう」
男はあごに手を当ててさすると、こう言った。
「山本か。山本、次はどうするんだ?」
「ここでバイトするんだが・・・」
これにも律儀に答えてしまっていた。何故だろう、気が付くと答えているのだ。
「そうか、では、私もそうしよう」



「いらっしゃいませー」「いらっしゃーませー」ふたりしてレジであいさつをし、
「よっこいしょ」「どっこいしょ」ふたりして品出しをした。

「それで、次はどうするんだ」
「残り物の廃棄弁当をもらって家に帰るんだよ」
「そうか、では、私もそうしよう」

「・・・まて、その前にたばこを吸う」
「そうか、では、私もそうしよう」

「・・・」
「・・・」

「・・・一つ聞いてもいいか?」嫌な予感しかしなかった。
「なんだ?」
「お前まさか、うちに来るつもりじゃないだろうな」
「山本、お前はどこに帰るつもりなんだ?」
「どこって・・・」
一瞬、田舎の両親の顔が浮かんだ。それから、妹と弟。大企業に就職して今は世界を飛び回っている姉も、なぜだか帰省してヒノキの大きな机を囲んでいる。一つだけ椅子が空いている。取り皿には何もよそわれていない。
「どこって・・・、アパートに帰るんだよ」
そう言って、たばこに火をつけた。
男も当然のように同じ銘柄のたばこを取り出して
「そうか・・・、では、私もそうしよう」
そこには、ひとつしか椅子はないのだ。その一つの椅子のある風景と、目の前の男が一瞬重なって見えた。
「えほっ・・・、ごほっ・・・」
男はむせていた。それはちょうど、この街へ来た頃、自分がやったように。
たばこの煙にせき込み、涙を零す。涙の中に何かを込めて、落とした。
「身体に良くないんだ、これは」
男に思わず言い放って、たばこを思いっきり吸って、肺を満たした。
目が白黒して、次いでチカチカとした。まるでたばこの火が脳に達して視神経を焼いているように。久しぶりに少し涙が浮かんだ。
「・・・やめないのか」
「やめられないね・・・」
「そんなことはないだろう」
「そうでもないんだ、これが実際」
電話ボックスの透明なアクリルケースは黄ばんでくたびれていた。昆虫が集まり、小便を垂らす。
「そうか・・・では、私もそうしよう」
男は、煙を思いっきり吸い込んで、吐き出した。



「コンビニ弁当というものは味気ないな・・・」
「どうした・・・?」
男は、唐揚げを頬張りながら、不自由な質問を投げてくる。

「いや、たばこが足りない・・・」
「食べながらもたばこか・・・」
「ああ・・・」
「私もそうしよう」

*****

しばらくして、トイレから苦しそうな声が聞こえる。
身体の中は強酸の地獄に繋がっており、口を開けるとそこに繋がっているのだ。いくら吐き出しても、あとからあとからその強い酸が込み上げてきて、突き上げるのだ。身体の内側が捲れあがってきて、あの、Tシャツをめくり上げる女の子のCMに込み上げる思いのように、それとはかけ離れているようで、いやそれでいて近づいているのかもしれないこの、手をついて便器に向かう自分というものと戦っているのだ。


柱の影から声がする。
「もう、やめたらどうだ? いいことなんて、何もないんだぜ」
タオルで口を拭い、力なく捨てた。
「お前はどうする?」
「俺は、お前のことなんて知ったこっちゃあない」
思わず叫んでいた。また、込み上げてこようとする地獄を喉の辺りで押しとどめようとする。

柱の影では、返答が返ってきていた。
「そうか、では、私もそうしよう」





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足りない…

最近食欲が、増進しています。
なんだ。秋だからか。

冬眠でもするつもりか。









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