1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

半分好きでやっている

なかまくらです。

仕事が終わらない!!

夜の職員室で一人、過ごすことが最近多いです。

仕事の4割くらいは、部活動のこと。

仕事の2割くらいは、クラスのこと。

仕事の2割くらいは、進路担当なので、進路のこと。

仕事の2割くらいは、授業と授業準備のこと。

最近はだいたい、こんな割合でやっています。

今年度は、新規採用の先生が部活動の副顧問についてくれまして、

意気軒昂な素敵な先生でしたが、残念ながら、私の力不足で、

副顧問の存在すら重荷になってしまっていました。

今回、年度末と言うことで、ようやく人事が決まってきたわけですが、

それに伴って、副顧問の先生も今年度は相当苦しかったようで、

なかまくらとはやっていけないかな、と思っていたことが分かったのでした。

後進を育てるなんて、そんな驕った考え方をしてしまっていたのかな?

なんて、今更の反省。

自分ばっかり仕事してるなぁ、と思うとすごくつらいし、相手を憎んでしまいますよね。

なんという悪循環。人に嫌われるのはつらいなあ・・・。

それと、舞台監督はいっぱいいっぱいじゃいけないんですよね。

指示を出す人間には、余裕が必要。

もしも、ふたりで「いっぱい」「いっぱい」「いっぱい」「いっぱい」

くらいの仕事があったら、

私「いっぱい」
副「いっぱい」「いっぱい」「いっぱい」

くらいの割合で振っといて、副顧問の先生が、「すみません、終わらなかったです!」

ってことになったら、あとは引き受けますよ~。

とそんな感じで分担するべきだったのかなと。

そうしたら、

私「いつもたくさん仕事してもらってありがたいなあ」
副「どうにもならないときは、いつも助けてくれる」

みたいな、好循環が生まれたかもしれないのにね。



この部活動、半分好きでやっているつもりでここまできました。

一生懸命やっている姿は、すごく応援したくなる。

だけど、ちょっと最近しんどいなあと思うことが多い。

それも含めて、口に含めないといけないのは承知のことですが、

もう半分について考えないではいられない。

半分好きでやっていて、残り半分は・・・?

それはもう、仕事でしょう。

残り半分は、仕事だから仕方がなくやっている。

その半分が不平と不満を言っているように思います。


これ、半分の量じゃねえよって。


プライベートは全然できないし、仕事終わらないし、

生徒には、あの先生は全然部活の仕事してくれないって言われている(ようだ)し、

それを含めて眺めたときに、自分の覚悟が半分だったような気すら覚えてくる。

・・・・・・

好循環の道筋を探しています。





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【小説】竜刻草

なかまくらです。

少し前に書いたものですが。

超短編小説会の祭り参加作品です。

「天の尖り」もよろしくね(HPに掲載中)。

それではどうぞ。

「竜刻草」

                     2017.1.7
                     さく・なかまくら


 #1.招待

「姫さまぁああああっ!」

どたどたと縁側を走ってくる足音に溜め息が漏れた。

昨日は、「戸棚のあんぱんが無くなった」

一昨日は、「ビスケットが食べたい」

でも、今日はちょっと違ったのだ。

 

ある真夏の雪の夜。浴衣姿で隣にはちょっと冴えないけどまあいいかなっていうボーイフレンドがいて、二人の絡ませた指の間に金魚の水袋がくったりと提げられていた。

花火が真っ暗な夜空に開花し、竜を形作る。その竜があろうことか、こちらに近づいてきた。ああ、ずいぶんと凝った趣向ね、と一瞬暢気に考え、その間に飲み込まれた。あの夜。

気が付いたら、姫様として眠っていて、ボーイフレンドはいなかった。

 

「姫さま、妙な格好をした若者がっ!」そのボーイフレンドが3か月経ってようやく見つかった。

 

#2.時渡り

「時渡りの病だな」 医者が観念したように言う。

「時渡りって?」 表情なく目を開けたままのボーイフレンドを私は見ていた。

「ご冗談を。父君を亡くしておいて・・・」

「馬鹿もの、そういう病なのだ」 壮年の家臣が若い部下を驚いたようにたしなめた。

時渡りとは、次第に存在が忘れられていく現象だという。それは、未来と過去――時間軸の方向に存在がぶれていき、やがて無限に広がる時間の中に一様に分布するようになるのだという。死体も残らず、記憶にも残らず、すっかりと消えてしまう・・・。

「それって神様になるってことなんじゃないかな」って、私はそっと思った。

 

#3.竜の麓に

「姫、此のものを救う覚悟はおありですか・・・」 壮年の家臣は、私に尋ねる。

「ええ・・・そうね。できるなら」 家臣はまっすぐ私の目を見ていて、私は思わず目を伏せた。

「まだヒトが竜に触れることが出来ていた時代を生きていたものとして、姫さまを諫めなければなりますまい」

「竜・・・?」 神様がいて、竜がいる。ならば私はヒトでいいのだろうか、と疑問が浮かぶ。

「あれはヒトが時間を生きる以上、決して分かり合えないのですよ。触れても何も伝わってこない。生き物ではないのです」

時渡りを始めると、時の曝露によって皮膚が鱗状に変化していく。鱗が定着すれば、竜になり世界に還る。もし、鱗が定着しなければ、剥がれた鱗の内側には何も残らない。彼は消えてしまうだろう。

「姫さま、竜刻草をご存知ですか」

家臣たちが何故か心持ち、後退りした。

「姫さま・・・竜の呼気毒は強力であり、ヒトの身ではひとたまりもありません。ひと度、竜訪を受ければ村は壊滅を免れない。そんな毒なのです」

しかし、竜刻草は竜のうろこに反射した光でのみ育つという植物だという。竜に遭わずに得られる植物ではないだろう。

竜がヒトから生まれ、ヒトを害するのは、一体どうしてなのだろう。

 

#4.邂逅

「いいわ、私が行くわ」 一度言葉が出れば、結論は初めから決まっていた。

「これが今は昔の竹取物語なら、5人の王子様を遣わせたのね。実際そうだったのかも」

「でも、私はイマドキなの。ずっと未来の時代はねぇ、女の子が強いのよ」そう言って驚くおじさん達にウインクをして見せた。もともと私は姫ではないし、彼はヒトで竜ではないのだ。

城を出て、村を抜け、森を抜け、山道を登っていくと、草木の色が変わっていく。春色、夏色、秋色、冬色。これらが雑(ま)ぜこぜになって、やがて時間と空間が判別できなくなる。未知なる竜の世界に近づいていく実感があった。

どこか遠くの、とても近い彼方で、空気を震わせる咆哮が聞こえた。

思わず立ち止まり、瞬き。すると、目の前の空間に巨大な竜が悠然と佇んでいた。目は優しくこちらを見ている。体温がないのか、伝わってくる熱を感じなかった。

そして、何故だか不思議と分かった。

「竜になったんだね、おめでとう」 こちらに親しみを持っているような表情だった。

「でも、そんなにあなたのためにって思ったわけじゃないの。なんとなくなのよ、なんとなく・・・気が少し向いただけ」 私が聞かれてもいない言い訳を口にすると、彼は応じるように口を開いて息を吐き出した。お互いに息を潜めていたことに私は気づく。

少しクラクラとするその吐息に私は家臣の言葉を思い出す。

「ヒトはもはや、竜に近づくことさえできないのですぞ」

私は、竜に手を伸ばす。それでもそれは、ヒトが竜と別れ、異なる価値観を生きると決めた。それだけのことで、ただ互いを認め生きていくことだってできるはずなのに。

彼の冷たい鱗に触れて、私はふっと目を閉じた。

 

#5.帰還

気が付けば、花火は散り、残響が空間を震わせていた。

後日、水槽の中に移した金魚の中に鯉の稚魚が混じっていると気が付いたのは彼だった。

私達は、小さなアパートの一室で顔を見合わせて笑った。

互いの命の輝きを見つめていた。





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創作総括2016

なかまくらです。

まあ、今更なんですが、一応ね。


日付作品名
1/2厚木熱杉の失敗談
1/24金のごみ
2/23小悪魔
6/6ことバンク
7/2死体
8/6マスターがやってきた
10/4秋色ビスケット
11/25マッシュルームは流れない
12/31天の尖り
 

 















えー・・・2016年はまあ、公私ともにぐちゃぐちゃになってしまいまして、

わずか9作品に終わってしまいました。

しかも、全体的に作風が暗かったです(苦笑

けれども、その中で、なんだか味わい深い作品が出来たなあというのもまた事実。

「秋色ビスケット」とか、「天の尖り」はなかなかのお気に入りです。

戯曲は実は書いていたんですが、まあ、お約束というやつで、

だいぶ書いたところで、続きが書けなくなって止まっております。

2017年内に書きあがったらいいなぁ・・・。

2017年はもうちょっとたくさん書きたいですね。

なかまくらには大きな野望があるのです。

生涯をかけて、1000の物語を生み出すことです。

なんでもいいわけじゃなくて、ちゃんと書きあがったものを1000。

2016年・・・223作まできました。

2017年も書きますよ。

とまあ、そんなところでした。

今年もよろしくお願いします。





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どっかーーん!

  名嘉枕です。

今週のはじめのことです。

これまで使っていたノートパソコンのハードディスクが吹っ飛びました。

ぎゃーーー!! と、あわてて、ubuntuで起動して、ハードディスクの中身を

サルベージしようとしましたが、後の祭り。完全に吹っ飛びました。

だがしかし! バックアップ、とってあるんですねぇ。ふっふっふ・・・あれ?

そう、バックアップを再生できませんでした。やり方はあっているっぽいので、

どうやら、ちゃんとバックアップできていなかったみたいです。

いろんなデータが泡と消えたなぁ・・・。

小説はネットワークサーバーに保存していたので、概ね無事でしたが、

書きかけだった5本は、デスクトップに置いてあったので、吹っ飛びました。

全部で3万字くらい吹っ飛んだなぁ・・・(苦笑)。

まあ、行き詰まっていたので、また書きます(涙


仕事のほうも、まあちゃんと毎日行っています。

本当に、当たり前のことなんですが、

人間は誰しもいいところとわるいところを持っているっていうことをつくづく思います。

だから、失敗したことをつい人は責めてしまいがちですが、

相手のことを慮って発言することができるといいですよね。

私もできたりできなかったりで、できないと自分にがっかりしたりする。

生徒にもそれをわかってほしいんですが、なかなか分かってくれないですよね。


さて、この記事ですが、吹っ飛んだPCに代えて購入したPCで書いています。

今回は思い切って、一体型PCにしてみました。

そもそも家でしか使わないノートPCのメリットって何だろう?

って考えたところ、一寸変えてみようと。

PCはMade in Japanの富士通で(なんか、Lenovoと提携するかもって話もありますが)

えーい、注文!

ピンポーン! はーーい! あっ、早いっすね! さいんおなしゃーす! はいはーい!

どーーん!

 

お、おう・・・大きいな・・・(机にのるかな・・・?)

どぉおーーーん!



でかい・・・。





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【小説】真夜中の湖

なかまくらです。

プレミアムフライデーじゃないけど、今日はほぼ定時に帰宅です。

久しぶりに小説を。いつもとちょっと違う作風で。どうぞ。


*******


真夜中の湖


作・なかまくら


2017.2.22


 


「勝手にすればいい。それぞれの人生だ」


 


そう言おうとして、飲み込んで、逃げ帰ってしまったのだ。


それからというもの、どうやら心のどこかに見えない小さなヒビが入っているらしい。


 


しくしくと夜の帳が降りてくると、少し窪んだところがほんのりと湿りはじめる。


 


良くしたことにやましい感情はなかったと思う。それは、自分の二の舞になりそうな彼女を守ってあげたいという、自己満足だったのだ。


 


僕は無理に笑って、呼びかける。


「くれぐれもこちら側へ来てはいけないよ」


それは、川の彼方岸(あちらぎし)から此方岸(こちらぎし)への思いやりのつもりだった。見返りを求めるようなことじゃない。むしろ喜ぶべきことなのだ。彼女はこちら側に来なかったのだから。そうしてぼんやりと眺めていると冷たい水がざばぁざばぁと水が足元を濡らしていくから、たまらず少し後ずさりをする。それで遠くの方に目をやって、思わず静かになってしまう。


 


遠くから、ぼぉ、ぼぉ、と霧笛のような音が聞こえてくる。


いつの間にか、染み出した水は大きな湖になっていて、向こう岸は見えなくて、彼女はとうに消えている。代わりに首の長い何かの影が霧の中に浮かんでは消える。


 


首の長い何かの影は、近づいて来ようとしない。


 


彼女は今頃は・・・、いや、彼女が首の長い何かだったということだってあり得る。


今になって思えば、彼女のことを全く知らないような、そんな風に思えるのだ。


出会いはといえば、夕食に特製のシチューを作っていた僕のログハウスの扉を彼女が不意にノックしたのだ。思わず、はい、と返事をして、扉を開けてしまった。そのとき、どこかへ向けていた望遠カメラが、どこを向いていたのかはもう、忘れてしまった。だが、そのカメラをひっつかみ、思わず彼女の写真を撮った。ぱしゃり。


ブレブレだったそれ1枚だけが最初で最後。一瞬だけ、新聞社に送りつけるほど、舞い上がったのだ。


 


ログハウスはそのままになっている。


そして、窓の外の、夜になると現れる湖にカメラは向けられたままになっている。


たまにノックの音が聞こえる気がする。


けれども、僕はなぜだか湖から目を離すことが出来ない。


ノックの音が聞こえる気がする。


相手が違うと、耳を塞いで、金切り声で叫んでいる。自分の声が厭によく聞こえていた。


ノックの音が聞こえていた。


それが、小さくなるまで聞いていた。これから誰も来ないログハウスの一室で。







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