原作:京極夏彦「魍魎の匣」(講談社文庫)/脚本:畑 雅文/演出:松崎史也
あらすじ。
女子高生の頼子は、聡明で不思議な同級生加菜子に誘われて、湖に出かける。
ところが、加菜子は、誰かに背中を押されて、駅のホームに転落、重傷を負ってしまう。
そこに、元女優の柚木陽子が現れ、搬送された病院から、加菜子を
美馬坂近代医学研究所へと転院させる。
そこで一命をとりとめた加菜子であったが、お見舞いに来ていた頼子、
事件に居合わせた刑事の木場など関係者の目の前で、誘拐されてしまう。
居合わせた須崎も殺された状態で見つかり、手掛かりはなくなってしまう。
巷では、連続殺人事件が起きていた。そのバラバラにされた遺体は、箱に詰められた
状態で見つかっていた。
この事件を追う雑誌編集者と三流作家関口は、古本屋店主で、陰陽道に詳しい中善寺秋彦
通称:京極堂 に助力を求めることになる。
彼の助言によって、穢封じ御筥様(けがれふうじおんばこさま)なる霊能力者の存在が、
浮かび上がってくる。この胡散臭い霊能力者と連続殺人事件には奇妙な一致が起こり、
やがて、それは、久保竣公(くぼしゅんこう)なる新進気鋭の作家によってつながる。
彼の特徴と一致する人物がバラバラ殺人事件の被害者の最後の目撃証言時に
常にいたというのだ。
そして、彼の新作小説は、箱に執着した男であり、それはまさにこの連続殺人事件を
さしているようだった。
しかし、この物語はここで終わらない。久保は殺されてしまうのだ。
いや、死んでしまうのだった。自らも箱に入ることで、久保は、殺して箱に入れた女たちと
同じ場所に行こうとしたのだ。
しかし、それは誤りであった。それに気づいた久保は、
すでに魍魎と化しており、京極堂らが辿り着いた真の犯人を殺してしまう。
憑き物が落ちたように、陽子は、自らの犯してきた過ちを認めるのだった。
というようなお話でした。重厚すぎて、だいぶざっくりとした紹介でしたが、
だいたい、そんな感じのお話でした。
それにしても、押しも押されもしない、傑作でした。
物語が幾重にも絡まりあって、ひとつの結末へと収束していく様は見事で、
そこに向かう盛り上がり方も素晴らしかったです。
京極夏彦の小説って、読んだことはないですが、1000ページとかある分厚い
イメージがあります。それをわずか2時間程度のお芝居にまとめたのですから、
脚本もお見事ですし、魍魎に惑わされる人々の演出もお見事ですし、
そして、鬼気迫る演技の役者さんもお見事でした。
皆さん、目、開きすぎて、目力がやばかったです笑
生の舞台で見られなかったのは惜しいですが、2.5次元舞台をうたって上演されていた
ようなので、知っていても多分見に行かなかったかな、と。
ただ、まあ、こうやって幸運にも冬休みの時間のある時に巡り合えて、
楽しめたので、良かったです。
おわり。