Harmony-ハーモニー- 観ました。
伊藤 計劃(いとう・けいかく)というSF作家が書いた小説をアニメ化したもの。
この作家さんは、わずか34才でこの世をすでに去ってしまっているんですよね。
どんなお話かといいますと、
生まれた時から、WatchMeという健康状態をモニターする装置を身体に埋め込まれている。
この装置は、成人すると起動し、政府がWatchMeを通じて管理をする。
生活をコントロールし、他人を愛し、公共の為に尽くすようになる。
トァンは、学生のころ、ミァハという友人と一緒に自殺をしようとした。
ミァハは優しい世界を憎んでいた。
そしてそれから、歳月が経って、トァンはWHOで、健康管理の監察官をしていた。
そんなあるとき、世界中で、自殺事件が起こる。なぜ、集団自殺は起こったのか?
トァンはその真実を突き止めようとする中で、”意識”というものの研究をしていた
組織に行きつく。人の意識をコントロールする研究とは。
まあ、そんな感じのお話でした。
SF! ザ・SF!
なんといいますかな・・・。まず、すごく丁寧に作りこまれていたなぁと思いました。
いろんなところに、手がちゃんとかかっていて、余計なものが気にならない。
物語に没入できました。身体の健康管理の次に訪れるのは、精神の健康管理ですか・・・。
政府に管理された身体は果たして、自分のものなんですかね?
そして、精神の管理がなされたら、たぶんそれはもう自分じゃあなくなる。
自分ってやつは、こうやって、痛いとか、苦しいとか、あれは嫌だな、
あれがしたい、身体に悪いことや危険なことだってしてみたくなる。
そういうのをひっくるめて、初めて自分なんだと、この映画を見て、気づきました。
よく知らない他人に対して、思いやりをもって接しなくっちゃ、というのは、
行き過ぎれば、実はちょっと気持ち悪いことでもあるんだと思います。
もちろん、心底そう思えるならそれはそれで素晴らしい方なのだと思いますが、
それを強制されるのは違う。そういう”優しさに絞殺される”ような社会に対する息苦しさ
というのは、実在しているんだと思うんですよね。
まあ、そういうのは、いろいろあって、例えば、若手が頑張って働かないといけないとか、
高齢者が運転するときには、高齢者がブレーキの認知が遅いとか、
歩いていて横断歩道じゃないところを渡っちゃうとか、
そういうのを許してあげましょうねって、習うんですよね、自動車学校で。
それでいいのかよ、と思うわけです。
話がそれました。
ともかく、この映画は、丁寧に作られている良作でした。
惜しくらむは、この作家さんがすでに亡くなってしまっていること。
こんなに、命のことをまっすぐに取り上げた物語・世界が紡げる作家さんが。
もっと、多くの作品を世の中に出してほしかったなぁ。。。
おわり。
そういう風に