なかまくらです。
「リヴィングストン」読みました。
全4巻でした。
劇団イキウメ主宰の前川知大さんが、原作。
デッドマンワンダーランド、交響詩篇エウレカセブン(漫画)の片岡人生さんが漫画。
この二人のタッグで生まれた物語が面白いのですよ。
天野と桜井は魂石を回収する仕事をしている。
櫻井は魂の予定をみる。人間の運命は決まっていて、予定通りに死ぬと、
魂は成長し、次の人生を送ることになる。
ところが、死者の念(染み)にとりつかれ、予定を狂わせてしまうものがいる。
その魂の予定がさらに狂い、魂の石(魂石)が砕け散ってしまう前に、
その人生を一度終わらせてしまうのが、二人の仕事である。
櫻井は、魂の記憶が読める力がある。
そしてその魂を、天野が石の形で取り出す。
天野がそんなことができるのは、天野は、死人であり、仮初の魂を与えられた存在だからだ。
天野と桜井は、沢山の魂石を回収してきた。そして、4巻。
天野は、物語の中で次第に成長してきた。そして、人間に近づいていた。
それは、死者が生者に近づくということ。それは自然の摂理に悖っていること。
天野は過去を探し、櫻井は天野を失わないために、それを止めようとする。
けれども、最後は協力して、記憶を取り戻す。
「死人である自分には、なにもない」そういう天野に、桜井は言う。
「思春期やってんじゃない。なんで生きてるかなんて、僕にだってわからない」
ふたりは、ふたりを取り戻して、笑って元の場所に帰っていく。
天野は、天野として生きて、そしてもう一度死ぬのだ。
そんな物語でした。最後の染みけものがちょっとだけ不穏を残しましたね。
表紙の絵が、1巻で並んでいて、4巻で反転して立っているのは、
天野君の死を暗示しているのかもしれませんね。
透明なトレーシングペーパーみたいなのを重ねた表紙は、
自分の大学の卒業公演のパンフレットを思い出します。
それにしても、なんでこんな物語が生み出せるんだろう!
と叫ぶしかないです。
魂というものは、なんだろう。
魂というもの、命というものを長いこと考えてきた気がします。
けれども、その結論は出ません。
いつまで考えたら出るのか分からないですが、考えずにはいられない。
いろんな人が、いろんな結論を提示してくれるわけですが、
それを私は羨ましく思うことしかできないのです。
とにかく、これは面白い漫画でした。
「星屑ニーナ」もそうでしたが、私は、4巻くらいで終わる物語に惹かれるようです。