なかまくらです。
MUNA-POCKET COFFEEHOUSEさんの第26回公演「紙」を観てきました。
抽象的なお芝居だったので、あらすじというほど、粗くでも、掴むのは難しいのですが、
うーーん、文明の発展と現在の世界情勢、みたいなお話でした。
最初にマッチングアプリで出会った2人の言い合いから始まります。
2人は、意見が合わない様子。別れ話みたいな感じ。
なんと10分くらい、別れ話をしている笑
そのあと、人がドバドバーっと増えて、みんな個性的。
彼らは会社を作って、偉くなったり、いろいろする。
後から思うと、ここのところは、文明の発展を描いているのかな、と思えて、
面白いのですが、この時点だと意味不明。それぞれの顔見せみたいな感じ。
ところが、ここで、既に30分くらいが経過しています。
ちょっと苦しい展開が続きます。最初の2人はどこへ行った・・・?
そして、選挙活動が始まります。政党を作り、選挙演説をする2つのグループ。
けれども、最終的にそれに打ち勝ったグループとは別の集団が結局は現れる。
このあたりも、あとから思うと、中東の人たちを何も考えていない西側諸国の
勝手な争いで面白いのですが、この時点では意味不明で、コミカルに描かれるけど、
ちょっと苦しい感じでした。最初の2人は、別の勢力に飲み込まれていきます。
そして、一方の勢力が勝ち、世界に布教を始めます。
この辺から、ようやく、何が言いたいのか分かってきて、だんだん展開が読めてきます。
シルクロードに見立てた、ロール紙が舞台を覆いつくして、そこに、中東の宗教が
生まれます。それに集まる人々を、協調性がないとして、隔離して、閉じ込める。
彼らは、見えないものを信じる、白紙の紙のような純粋さで、
それと同時に、西側諸国の契約社会と一線を画する、世界観で生きていて、
それと相いれない西側諸国が武力攻撃に打って出ます。ところが、この航空機は、
観客に配られた紙なのです。そこでようやく再会を果たす最初の2人。
2人は2つの勢力に分断されていて、その中で翻弄されていたのです。
2人は逃げようとしますが、私たち観客が投げつける航空機による爆撃が、
それを阻みます。これはかなり、いたたまれない展開でした。
そして、人間がどうにかすることのできない、雄大な自然を見に行こう、という、
誘い文句で、2人は逃亡します。3割の生存確率を必死に手繰り寄せようとしますが、
希望は片方だけ、少しだけ残されて終わります。
ラストシーン直前のシーンでは、中東出身の設定の女の子のほうが、
もうずっと泣きそうな感じで走っていて、
こっちにもその感情が伝わってきて、迫真の演技でした。
全体の感想としては、前半でもうちょっと視点をもつ人物を決めてもらって、
誰かの体験として、劇に伴走していくことができれば、苦しくなかったのにな、
という思いと、4幕目の色々なこれまでのことがすべてつながってくるシーンの、
その視界の開ける体験の圧倒される感じが、ありまして、
うーーーん! 面白かった!!!
とは言いづらいけれど、もう一度見たら、面白いだろうなー!
というお芝居でした。おわり!