なかまくらです。
「英雄の書」(宮部みゆき著 カッパ・ノベルズ刊)を読みました。
面白かったです。
あらすじ
これは物語をめぐるファンタジー。
主人公・森崎友理子は小学五年生のごくごくふつうの女の子。
両親と、優秀な兄と4人で幸せに暮らしていた。
ある日、
事件が起こる。兄が、学校で、同級生を殺してしまうという事件を起こしたのだ。
兄は失踪。真相は分からず、何故兄がそんなことをしたのかは、誰にもわからず、家族は悲しみにくれていた。
そんな時、友理子に語りかけてくる一冊の本があった。
兄は”英雄”に魅入られてしまったのだと。
”英雄”は兄によって、世に放たれてしまった。
―
“英雄”とは、お前の生きるこの“輪(サークル)”に存在するもののなかで、もっとも美しく尊い物語だ
英雄には影の部分が必ず存在する。戦いが必ず起こる。
英雄を再び封印するために、兄を取り戻すために、
友理子は戦う覚悟をする。
みたいなお話。
読んで、最初に思ったのは、
「ブレイブストーリー」に似てるなぁ~。と思ったことです。
奇しくも私がこの本を買ったきっかけも、なんとなく似ている。
さておき、
2003年、3月に出たブレイブストーリーも、小学五年生の男の子・三谷亘(ワタル)が家族の平穏を取り戻すために戦った物語。
たぶん、作者の物語のパターンなのか・・・。
あるいは、、、、ひとつの物語であるということの暗示なのか。
いや、なんだか、そういう疑いを覚えるくらい、メタフィクション的で、物語とは何かと考えさせられる物語でした。
つまりね、
「ブレイブストーリー」が、子供向けのファンタジーであるのに対して、
「英雄の書」は間違いなく大人向けのファンタジー。
争いが絶えないのは、人が正義だったり、勇気だったり、物語を求めるから。
物語があって、そのように生きるのは、罪であるという。
英雄になろうとすれば、「英雄の書」に魅入られてしまう。
それによって、英雄が解き放たれてしまえば、
かならずや、その影の側面”黄衣の王”が姿を現し、世界は戦いに包まれてしまう。。。
自分だけの生き方は自分で選ばなければならないのだ。
うん。
なかなか奥深くて、重厚な物語でした。ページ数も500頁以上あるし(笑)
ただ、宮部みゆきのファンタジーはブレイブストーリーのときにも思ったのですが、時折描写がくどく感じられます。。。
ファンタジーに特化されてライトノベルが興ったと私は個人的に思います。
ライトノベルのようにややあっさりと描写していた方が、全体が把握しやすいし、いろんなものを想像しやすいですよね。
ちょっぴり流し読みしたりしながら、読みました。
あと、ラストは賛否が分かれそうです。
私は、きっちりその世界とお別れして、生きて終わりでよかったんじゃないかと・・・
続編? でないほうがいいですね。あれで終わりで、
うん。
まあ、
面白かったです。
おわり。