なかまくらです。
イキウメ「人魂を届けに」観ました。
ずっと追いかけている劇団イキウメさんの新作です。
東京まで行きたかったのですが、今回も配信で観ました。
まだコロナは怖い。
あらすじ
絞首刑になった受刑者が確実に死ぬかを見届ける仕事をしている男は、
あるとき、受刑者の足元に何か黒いぶよぶよとしたものが落ちたのを見た。
男は、それが魂なのではないかという妄想に取りつかれる。
そして、それを、森の奥で現代とかけ離れた生活をしている受刑者の母のもとに
届けに行く。
そこでは、現代社会で傷つき、逃げてきたもの、死のうとしていたもの等が、
寄り添うように暮らしている家があった。
公安の男は、その家から街へと戻っていったものが犯罪者となることの多さから、
テロリストの養成機関があるのではないかと踏んでやってくるが、
その場所から社会への帰り道が分からずにいた。
男もまた、届けに来たと思っていたが、導かれるように、この場所へやってきていたのだった。
息子を傷つけ、妻を傷つけ、男は魂がないように感じるときがある、と元妻に言われたことを
ひどく気にしていた。魂を込めたものを売ったり買ったりできるのか・・・。
というようなお話。
脚本・演出はいつもの前川さん。
この人はどうしてこんなに人の心を揺さぶるお話がかけるんだろう、と
いつも感心します。
息子を亡くした妻の心境をつづった日記を、
妻は嫌だといったが、賞に応募してしまった男。入選した作品の副賞として送られてきた
3万円。それは、魂を3万円で売ったことに他ならないのだ。
震えるほどに、生々しい。魂なんていうあるかどうかも分からないものが、
急に実体に閉じ込められてしまって、生々しいものに思えてくる。
お話としては、壮大ではなくて、こじんまりとした印象のある本作品でしたが、
センスオブワンダーを十分に味わうことのできた、素敵な物語でした。
おわり。