ホームレス……生瀬勝久
さて、あらすじ。
時枝は、人工知能をより人間らしくする研究に没頭していた。
警察官の手助けをするAI「マリオ」は成果を上げていたが、時枝は満足していなかった。
そこで、
事故で植物人間となってしまった警察官に、時枝は開発したAI「マリオ」を埋め込む。
これにより、人工知能に肉体を持たせることに成功したのであった。
肉体を得たマリオは、しかし、善悪の判断も分からない子供のようであった。
しかし、警察に発覚し、逃亡を余儀なくされたマリオは、
時枝の息子の至と出会い、交流を深めるうちに、次第に人間らしさを学んでいく。
欲があること、欲があってもやってはいけないこと。
欲望のままに動くのは人間ではなくて、動物だ。
そんなマリオを警察は処分しようと動く。
至を人質に取られ、マリオは警察と戦うことを選択する。
至の命を厭わない、AI導入に反対する馬場との対決にマリオは深手を負い、
別の機動隊員に撃ち殺されてしまう。
そんなお話でした。
最期、撃ち殺されて、あー、でも、そうだよなぁ、と思いながら見ていましたので、
ラストはちょっと救われた気持ちになりました。
AIが人間というものを学んでいくという過程を通して、
私たち自身が、人間とは何だろうか、ということを改めて考えさせられる物語でした。
普段、私たちが生きている町のいろいろな風景や情景、風の音や自転車が通る音、
雨が降り、誰かの話声がする。そんな風景に翻弄され、あたりを見回すマリオの姿に、
なぜだか、生きるっていうことをすごく意識させられました。
また、欲にまみれた人間がドラマの中で、ある種ステレオタイプのように演じられますが、
ドラマを画面の向こうに見る私たちは、それを「ああ、醜いなぁ」と思います。
そして、マリオに生き延びてほしいとも。
けれども、実際にAIが現実世界で誕生し、私たちをみたらどうでしょう。
不合理で、矛盾している私たちをAIは美しいと思ってくれるのでしょうか。
人間はどうあるべきなのか。私たちがAIを怖いと思うのは、
無意識のうちに、自分たちの醜さを感じているからかもしれないですね。
そんなことを思うのでした。
面白かったです。
NHKオンデマンド配信されています。DVD化しないかな。
「スーパープレミアム 「マリオ~AIのゆくえ~」」
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2018092001SA000/