1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

家計簿の推移

なかまくらです。

楽天のサービスを利用して、家計簿をつけているのですが、

今年度は、ダウンロードして分析するのを忘れていました。

2022年の支出は・・・というわけで、調べてみると、いつもと同じでした。



かわり映えしない生活なのでしょう笑

引っ越して、家賃が若干安くなったのですが、その分、食費は少し上がった気がします。

そのため、合計でみると変わらない、という結果に。

私くらいの年収の一人暮らしの平均支出が月20万円(家賃込)であるそうなので、

年間で20×12=240万円。

それに比べると、ややぜいたくな暮らしをしているということみたいです。

まあ、節約しても幸せになれるわけではないので、あくまで目安なんですが。

今年度もぼちぼちやっていきます。おわり。





拍手[0回]

【小説】ステゴサウルス・バイバイ

少し前に書いたものですが、そういえば、発表していなかったので。

どうぞ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステゴサウルス・バイバイ

                      作・なかまくら



――ステゴとは、屋根に覆われたを意味する言葉である。
「暮らすところから、自分で何とかしろっていうんだから、お役人さんも無責任な話さ」
腹掛けを外して、股引の濡れた裾を絞ると、独り言ちながら小屋の柱を杭で打っていく。川から少し離れた土手の中腹にいつものように捨丸はしばらくの住まいを拵える。羽織った半被には、「橋」の文字。勢いのある若い青年は、お役目で来ていた。
そこをふと通りかかる娘があり、捨丸は思わず手を止める。それに気づいた娘の足が止まったのを見て、捨丸は手を振ってみる。娘はパッと駆け出して、夕暮れが落ちる村のほうへと駆けて行ってしまった。
「捨丸さん、ごきげんよう。お弁当を作ってきましたの」
 娘は、とき子と名乗った。川の渡し守の子で、歳は捨丸よりも少し下だった。渡し守の子だと聞いて、捨丸は心底残念な思いをした。美人で器量もよい。けれども、渡し守の子なのだ。
「とき子さん、親父さんはこのことを知ってるかい?」
「どうして?」
「あまりいい顔をしないだろうに」
「どうして?」 そう聞くとき子は、いつも綺麗な小袖に包まれている。大切に育てられてきたのだろう。
「そうだな。……おれはお役目で、この川に橋を架けようとしている」
「ええ」
「あんたの親父さんは、渡し守なんだろう? 橋が架かったら、仕事がなくなるじゃないか」
「まあ、それは大変」
「そうなんだ、だから、とき子さん。あんたはおれとは親しくしてはいけないよ」
とき子は、しばらく考えた後に、
「どうして?」 と繰り返した。
「私が人を好いたりするのに、どうして周りのいろいろな人のことを考えないといけないの?」 その目がとても真っすぐで、捨丸は困りながらも照れて目をそらす。
「いや……どうしてって、世の中ってのはそうやって回ってるからで……」
「捨丸も、その世の中っていうのと一緒に回っているの?」
捨丸は、少し驚いた。捨丸が橋職人になったのは、彗星が空を流れて、渇水が国を襲ったからだ。幼い頃に天涯孤独となり、橋の下に寝床を求めた。作りかけだったその橋が完成したとき、お世話になっていた職人さんたちが、次の橋を作りに行くことを聞き、そこで「一緒に連れてってほしい」と言えたから、今の捨丸がある。あのとき、確かに、捨丸は世の中と一緒に回っていなかった。蜥蜴が尻尾を切るように、脱兎のごとく逃げ出すように、捨丸は置いて行かれたのだ。
「……馬鹿を言っちゃいけない。三月もすればおれはここからいなくなる。とき子さんのそれは、一時の甘い恋の夢さ。世の中と一緒に回っていられるなら、気付かないふりをしていたほうが賢いことだってある」
それから二月が経とうとしていた。橋の基礎は組みあがり、柱も立てた。渡し守からの嫌がらせもあったが、役人がお侍を連れて調査に来ているのを見ると、次第に止んだ。今日の水面はいつもよりなお静かで、作業は順調に進んでいた。水に浸かり、川の丁度中間地点で作業をしていた捨丸に頭上から声が掛けられる。見上げれば、目元に見覚えのある顔立ちをした渡し守が手を伸ばしていた。
箱からは徳利と御猪口が出てきたから捨丸は驚く。その様子に、渡し守は少しほほえましく笑って見せた。
「君かね……とき子を振った職人というのは」
そう切り出されて、口からお酒の霧雨が噴出する。
「えっ、あっ、いや、お父さん」
「お父さん、ときたもんだ!」
「あっ! すいませ……えっ!?」 しどろもどろになる捨丸に渡し守は徳利をすすめる。それから、自分の御猪口にも注ぐと一気に飲み干した。
「あんなにいい子を……勿体ない!」
「そうですね、自分なんかには勿体ない娘さんです」
「じゃあ……」
「でも、おれは、その娘さんを不幸にしてしまう。橋屋だから……橋を架けたら、親父さんの仕事はなくなるから」
「では、渡し守になるというのは?」
「……渡し守は……好きになれません」 捨丸はボソリとそう言った。
「どうして?」 渡し守は穏やかにそう聞いた。
「川に橋を架けないのは、戦で使われないためです。だけど、それじゃあ戦がなくなって橋が架かれば、渡し守は商売あがったりだ。だから、渡し守になったら……天下泰平の世の中を心の底から喜べないと思うんです」 戦がなければ、飢饉だって、乗り越えられたはずだった。だがしかし、捨丸は一人ぼっちになったのだ。
「とき子のことは嫌いかい?」
「いえ……そんなことはありません」
「……とき子はもう19になる。親の元から離れていく時が来たのだよ。少し前まで、あんなに小さかったのに。親離れしていく子どもは、だんだん遠くまで行くんだよ。振り返り、振り返り、しながらさ。ただ、親はにっこりと笑って、手を振っていれば、遠くへ、遠くへと進んで行けるんだ。どこまで行けるんだろうね。信じるってすごい力だと思うよ」
「おれにも、そうやって信じてくれる人が……」
「居たんじゃないかね? 君を立派な職人に育ててくれた人が」
あの時、「一緒に連れてってほしい」と言えたから、今の捨丸がある。笑って頷いてくれた職人さんたちを思い出す。
「私は、君を信じようと思う。君の言う通り、太平の世が来るだろう。渡し守より、橋屋のほうが儲かる時代が。世の中は同じところをぐるぐる回っているわけではないのだろうね。少しずつ良くなるほうに回ることもあれば、悪いほうに回りだすこともある。大抵のことは選べないのだが、選べることは選ばないとね」
「はい……」
「さて」
渡し守の親父さんはすっくと立ちあがると、船を急いで岸に向かって漕ぎつける。
「先刻から、水が白いのに気付いているかい?」 船着き場に着くと急かすように桟橋へと捨丸を押し上げる。
「え?」 確かに白い筋がいくつも川底から湧き出していた。
「この一帯は、時折、川底から熱水が噴出するんだ。それゆえ、橋が架かっていないのだよ」
その瞬間、恐ろしい一撃が、さっきまで捨丸がいた辺りの川の水を押し上げ、橋の土台を吹き飛ばした。
「あの…ありがとうございます」
呆気にとられている捨丸に渡し守の親父さんは笑いかけてくる。
「選べることは選ばないとね」
それから捨丸は、とき子さんの待つ家を訪ねた。





拍手[1回]

姿見えなくとも、はるか遠くで見守っていると。

なかまくらです。
4月に向けて「熱力学」勉強中です。

「熱力学」って、高校で学ぶと、どうにも工学的で、公式に入れていくと、

よくわからないけど、答えが出てくるみたいな、そういう印象が強いのですが、

私の大学の専攻も結局<非平衡の>熱力学で、

まだまだ今世紀中には完成しないんじゃないか、

といわれている物理学の最先端の分野の一つなのです。

その一端に触れるなんて、浪漫があるじゃないですか。


高校生に、この面白さをちゃんと伝えられるようになりたい!

けれども、まだまだ圧倒的な知識不足・・・。

現在、改めて、勉強中です。

なにせ、今思うと、大学で学んだ時もよく分かっていなかった気がしてきたわけで・・・。



挫けそうな私を「シン・ウルトラマン」のノートが励ましてくれます。




BGMもついちゃう。





拍手[0回]

メンチカツもどき

レシピをみて作るわけではないので、なんでも、もどきになりがちです。

玉ねぎを炒めて、ひき肉と卵と混ぜて・・・

ハンバーグの予定でしたが、量が1週間分には足りないな、ということで、

そこにパン粉を混ぜて、表面にもまぶして、メンチカツ(もどき)になりました。

今週のお弁当でした。






拍手[0回]

【小説】やばれんこん

なかまくらです。

謎コメディです。どうぞ。


ーーーーーーーーーーーーーーー

「やばれんこん」

                 作・なかまくら


「ヨモカタさん、すいません・・・俺のせいで・・・」「気にするな、お前は悪くない」「でも・・・」「生きて帰れ、命令だ!」「はい!」


 


・・・これは、人類が絶滅の危機に瀕した時代の物語である。


生還した彼らのヘルメットはひび割れ、戦績を読み上げられる間も敬礼を止めなかった。文字通り死守された街々の数のあまりの多さに強く噛んだ口元が堪え切れなかった。


「博士、新兵器はまだ完成しないのですか!」 声を挙げたのは、若い青年ヨモカタだ。


「我々は、博士の言った通り、かつて失われた動力源を求めて、危険な彗星級の怪獣達の住むヨモヤマを三月から巡ってきました」


ヨモカタの肩をヨモヤマがするりと昇って、頬をすり寄せる。ヨモヤマはその旅の途中で出会った尾白兎だ。


「すまなかったな・・・君たちには大変危険な思いをさせてしまった」 博士は沈痛な面持ちで顔を伏せ、手で隠した。それからおもむろに、


「・・・して、君は・・・名前は何じゃったかな?」 と、聞いた。指の隙間から垣間見える目に反省の兆しはなかった!


 


「なんじゃそりゃあああ!!!」 ヨモカタが怒りを爆発させる。


「めんごめんご、志願者はたくさんでのう、もはや覚えるのもアレだと思って」


「アレってなんだよ!」 荒れ模様のヨモカタに、


「アレっていうのは、つまりよもやよもやで、言わないほうが良いのだが?」


「言っちまえ!」


「いちいち細かいことを気にして、面倒だな」


「は?」


「面倒だったんじゃよ。減ってから覚えようと思って」


「ぬああああっ!」


「だがしかし!」


「!?」


「それゆえに完成したのだよ。IH9・・・その名もヒータ」


「ヒータ・・・完成していたのかっ!」


「さあ、どうするどうする? ヨモカタ君。ムカつく博士とともに世界を救うか、それともつまらない意地を張って、無残に人類の最後を見届けるか、選ばせてあげよう・・・」


「く、くそおおお!」 ヨモカタは猛烈に走り出すと、IH9ヒータのコックピットに駆け上がった。


 


ヒータは、その高出力のレーザー兵器で怪獣を次々と焼き払っていく。


「ああ・・・博士、これで世界は救われたのですね」 博士の隣に立つ女。彼女はヨモギダ。


IH9ヒータはあくまで試作機・・・。彼は、怒りという感情をヒータに吸い尽くされてしまうだろう・・・」 ハラハラと博士の頬を伝う涙。眼鏡を外し、目元をハンカチで拭う。その隙間から垣間見える目に反省の兆しはなかった!


「つまり、いつもにっこりニコニコヨモヤマくんに成り下がってしまうということですか?」 ヨモギダがそう尋ねると、博士はフッと笑みを作って、


「そうさ、にっこりニコニコヨモヤマくんにはもう、IH9ヒータは二度と振り向いてはくれないだろうね」


「そんな・・・っ。ヨモヤマさん」 ヨモギダは口元を抑える。その指の隙間から見える口角は、上がっていた! ヨモギダは博士に忠実な魔女なのだ。


 


「だが、このデータは無駄にならないっ!」


「無駄にならないっのですか?!」


「ああっ!」


「それはっ! どういっうことですかっ!」


 


 


「やばれんこんの退治に、フェーズを移行する」 博士は少し落ち着いてからそう言った。


「ついにやばれんこんを亡き者にするのですか・・・」


「そうだ・・・」


「あの、聞いてもいいですか? やばれんこんについて詳しくないのですが、そんなにやばれんのですか?」


「やばれんのだよ・・・」 思いを巡らすヨモギと、遠い目をする博士のすぐ近くで、ヨモカタの戦いは続いていた。


 


「あ、そろそろ終わりそうですね」


「そんなことよりもやばれんこんの話に戻ろう」


「はい」


 


「やばれんこんは、根本的には蓮根なのだ。いくつもの節が繋がってできている」


「なあんだ、蓮根ですか。私、好きですよ。素揚げとか美味しいです」


「そう言っていられるのも、いまのうちだけだぞ・・・なにせ、やばれんこんと相対した者たちは皆、『やばれんこん』以外の言葉を喪失してしまったのだから」


「あの、穴の開いたスッカスカの根菜類がそこまでやりますか?!」


「・・・やばれんこんだからな」


「あ。そろそろ最後の怪獣を仕留めますよ」


「思った以上の頑張りを見せてくれた。いいデータが取れただろうな」


 


その時だった、天を覆う雲が裂け、龍のように雄々しきその、巨体が現れたのは。ゴゴゴ。


「あれが、やばれんこん・・・?」


「博士、それ、私のセリフです。博士も見たことなかったんですか?!」 ヨモギダの開いた口が塞がらなくなっていた。


「あ、あぶなーい!」 博士が横っ飛びにヨモギダを抱えて倒れこみ、ヨモギダは動揺する。


「何をするんですかああ!! 嫁入り前なのに!」


「見ろ!」


そこには、連綿と連なる、蓮根がビチビチとのたうっていた。


「こわっ!」


「そうだ。気を付けなければ、我々もあっという間にやばれんこん入りだ」


「やばれんこんってなんですか?!」


「わからない・・・もはや植物なのか、動物なのか、それとも・・・」


そのとき、にっこりニコニコヨモヤマくんの操るヒータが太陽のような笑顔溢れるビームを放った。その威力たるやすさまじく、ヨモヤマくんの笑顔をかなり犠牲にした一撃だった。


「ヨモヤマさんは、その笑顔さえ犠牲にして、戦ってくれています?!」 ヨモギダが叫ぶように博士に伝え、博士はやばれんこんの姿を食い入るように見ていた。それを見たヨモギダは動かなくなった蓮根に噛り付きそうな勢いで、手に取った。


「サンプル確保です!」


「いや、待て! まだだ・・・蓮根とは、連なることにその本質があるのだろう」


「博士? 話、通じてますか?!」


「なんだと・・・! 事象への干渉が可能だというのかっ!」


節になってくびれているところをレーザーで両断されたやばれんこんは、もとの形が過去と未来から寄せ集まり、復元する。


「博士! 何か変です!」


「ヨモギダくん、撤退だ! やつは、高位の生命体へと進化を遂げていたんだ!」


「やばれんこんってなんですか?!」


「時間の概念を取り込んだ生命体だ・・・! 我々は会話をすることすらままならなくなりつつあるのはその影響だろう。さあ、行くぞ、これを聞いたばかりのヨモギダくん。高次元生命体を両断する武器を手に入れる必要がある。さあ、行くぞ・・・!」


 


戦いは続いていた。ヨモヤマの感情をエネルギーにヒータは戦い続けた。感情を燃やし尽くしたと思われた瞬間に、枯れ果てた涙は涙腺に逆流し、喜びは胸を再びいっぱいにした。笑顔が戻り、苦痛に歪んだ。


 


ヨモヤマはやばれんこんの穴の中の闇雲に飲み込まれていった。


ヨモヤマよ・・・。遠くからヨモヤマを呼ぶ声がしていた。


「誰だ・・・」 かすれた声でヨモヤマは答えた。


「なぜ、お前はこんなことになっているのだ」 声は、ヨモヤマに問いかけ続けていた。


「分からない。カッとなったのかもしれない」


「いいや、もっと前からじゃないか。もっと前からのお前を私は知っている・・・。人の中で馴染めなかったのだろう」


「誰なんだ・・・もう、許してくれ・・・」 感情の経験だけが何度も何度も吐き出しては飲み込まされて、ヨモヤマは胃洗浄をされたような気分の悪さを味わい続けていた。


「気分が悪いか? 違うな。悪いのは都合なんだ。本当の自分をそこに隠しているからだ」


「何が言いたいんだ・・・」 ヨモヤマが呻く。


「『気にしていない』『気にするな』のどちらを選んでお前は生きてきた?」


人類の滅亡が起こるとしても、死に近づいていくことはしなくてもよかったのではないか。いまここにいることさえも、世の中の情報の中に飲まれることを望み、運命を見つけその中に宿命的な死という居場所を見つけようとする自己本位的な営みではなかったか。ヨモヤマは、洗われ続けていた自分をようやく見つめようとして、そして、蓮根に連なる魂のひとつとなった。


そのあとのことは覚えていない。







拍手[0回]

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
2
3 4 5 6 7 8 9
10 12 13 14 15
18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

アーカイブ

フリーエリア

ブクログ



ブログ内検索