なかまくらです。
上遠野浩平の「酸素は鏡に映らない」(講談社ノベルズ刊)を読みました。
上遠野浩平といえば、「ブギーポップは笑わない」で一部でかなり有名ですよね。私もそれは読みまして、それ以来の邂逅。
タイトルが素敵だなと思って
(また同じ様な事考えてたんですけど)
タイトル買い。表紙もかなり好きな感じ。何かが始まるどきどきを感じる絵でした。
中身。
小学生の健輔は柊という空気のように影の薄い男に出会う。
そこに無限戦士ゼロサンダーの役をやった若い俳優、池ヶ谷守雄が現われ、とある幻の金貨を健輔、守雄が手に入れたところから、世界に繋がっていく。
幻の遺産はどこにあるのか。
―この世界の支配者は誰か。
酸素は誰にでも必要で、だが、毒でもあり……それはまるで他人みたいではないか。
なんか、そんな、感じ、でした。
ミステリーであり、アクションであるのはどこかハリウッドを意識した感じでしょうか。でも、とても素朴な感じでした。
最近めっきりライトノベルを……というか、本を読んでいなかったので、ひどく染み込んできて、感動しました。
作中作で、「無限戦士ゼロサンダー」のお話があるのですが、作中にちょこちょこ挟まれるそれがまた良かったです。特撮を毎週心待ちにしているみたいな。
本編は守雄の成長物語であって、でも主人公はどちらかというと守雄ではないという、なんとも不思議な作り方。
文章が読ませる文章で、やたら周りを勘繰って描写しまくったりして情報を増やさないので、すっきりサッパリ読めて良かったです。
おわり