なかまくらです。
久しぶりに小説を読もうと思いまして。
友人から面白いよ、と勧められた伊坂幸太郎の「砂漠」を読んでいました。
・・・あらすじを書こうと思ったのですが、彼らの麻雀をしたり、面白いところに突っ込んでいく大学生活を順番に追って行っても、この本の魅力は全然伝わらないな、と思うので今回はなし。
主人公は北村という男で、国立大学の法学部に入学した。彼はどこか冷めたところがあって、周りの行動を冷静に見ていた。そんな彼は、学部の歓迎会でギャハハと笑う鳥井、スプーン曲げができる南、クールビューティー東堂、そして遅れ馳せて空気を読まない平和の演説をかました西嶋と出会う。彼らとの日々はくだらなく、でもドラマチックで、北村は少しずつ変わっていく。そんな彼らの大学生活を描いた本でした。
この本は、なんといっても、西嶋がかっこいい。
彼はカッコよくないけれど、堂々としていて、
言ったことはやるけれど、べつにカッコよくはない。
けれど、それがすごくいい。
目の前に困っている人がいたら、助けるけれど、それだったら全部の人を助けないと偽善じゃないか・・・なんて考えない。それは目の前に困っている人を助けない理由にはならないのだ。
彼の言葉には嘘がなくて、まっすぐで前進あるのみなのだけど、その生き様はヒーローのようでした。
小ネタがちりばめられていてそれを回収するのも飽きさせない構成になっていました。
彼らの青春をどっぷりと味合わせてもらえて、満足でした。
「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである」
という言葉が出てくるのですが、サン=テグジュペリからだと思うのですが、
この小説にぴったりな締めくくりと感じました。面白かったです。