1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

【小説】その後

なかまくらです。

今日は小説を投稿しておきます。

久しぶりですね。

最近考えている、生き方についての物語です。どうぞ。


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「花道というのは、その人の功績を称えたり、祝福するために、用意するものなんだ。」
ある冬のことだった。小さな村。村から役人(元号と呼ばれる)が出ることに決まり、盛大に送り出すことになった。モモタは村の子供たちに、説明をしながら花向けの儀式作業を進めた。道に沿ってシャベルで土をひっくり返す。プルプルとした虫たちが顔をのぞかせる。その後、ふかふかになった土に小さく穴をあけると、花の苗を植えた。目線を上げると、村を出ていくケヤキが苗を持って忙しく動き回っていた。準備をしている村の人に声をかけては、にこりと笑う。モモタはそれを眺めていた。
彼女は塾でモモタの一つ下の学生だった。よく遊び、よく笑う学生だった。モモタははじめ、気にもかけなかった。いつか、この寂れた村を出ようと付き合いもほどほどに、勉強に励んでいた。彼が彼女を意識せざる負えなくなったのは、彼女が塾長の推薦で飛び級して同じ学年になったからだ。飛び級なんてものがあることをモモタは知らなかったし、遊ぶことにも夢中な堕落を内包する彼女に、一意専心に励む自分が劣るとは思えなかったし、努力は必ず報われると信じて励み続けた。
同じ教室で学ぶうち、彼女が才気にあふれ、愛されており、それを自分は多くは持たないこともよく分かった。けれども、先輩としてのささやかならぬ意地があった。
あるとき、花売りを名乗る男が、村に立ち寄った。モモタは、薬草学の知識を期待して、1晩の逡巡ののち、宿に借りている家を思い切って訪ねた。
「その、」
と、モモタは口の中で、朝から練習していた言葉を言ってしまい、扉の前で呆然と立ち尽くした。
「なにかな?」
部屋には、いくつかの植物が飾られており、寂れた村に似つかわしくない風景だとモモタは思った。
「わぁ、きれーい!!」
そのとき、後ろから花の香が風に乗って過ぎた。ケヤキだった。彼女は花で飾られた部屋の中へ入っていく。
「ほんとに綺麗ですね。私、お花を見るの大好きなんです! 色々教えてもらってもいいですか?」
「こんにちは、花が好きな人に悪い人はいない、というのが私の持論だ。そっちの君も・・・お友達かい?」
モモタは、どう答えたらよいのか迷った。しかし、ケヤキはにこりと笑い、
「ええ、おなじ塾で勉強している友人です」
そう答えて、モモタを招くような視線を送った。モモタはそれで初めて、敷居をまたいで、中に入ることができたのだった。その時間は楽しかった。花売りの男は知らない子供であるモモタたちにも親切だった。行商の中で出会った様々な人、文化、それを話してくれた。詩人としても食べていけそうな語りだった。
「おじさんは、これからどこへいくの?」
「首都に行こうと思っている。」
「首都はどんなところですか?」
モモタは聞いた。
「首長がな、花に溢れた都市にしたいっていうんだよ。問題もたくさんある。だが、夢のある人は良い。君たちもそんな大人になるといい」
花売りの男は、そんな話をしてくれた。
あくる日、モモタは荷車の手入れをしている男を見かけた。
「いつまでいるんですか?」
モモタはうまい言葉を知らなかった。
「花の種をね、仕入れていたんだ。」
そう言って見せてくれた。形の違う様々な種類の種が袋の中に詰まっていた。
「こんなにたくさん、どうするんですか?」
聞くと、
「海外のお客さんが、首都に訪ねてくるんだ。それに向けて、海岸から首都まで花の道を作る。それが今の私の仕事なんだ。」
水につけ、硬く捻りあげた布で荷車を拭いていく。荷車は土に汚れ、ところどころが欠けたりへこんだりしていた。それは、村の荷車と変わらない、けれども特別な車に見えた。首都への道を知っている車。
「モモタくんも首都へ行きたいんだったね」
「はい。この何もない街から出て、才能のある人たちと競い合って生きていきたいんです。」
モモタはそう答えた。
「なるほどね・・・」
花売りの男は、少し考えてこう言った。
「私がこうやって仕事に出かけるとき、皆がたくさんの種を持たせてくれる。私が首都に戻って、次の春には、花が咲くだろうね。外国のお客さんが、花の道を通ってこの村にも立ち寄るだろう。人も一緒さ。君は私のことをいずれ忘れる・・・。」
「そんなことはないです。」
モモタは否定する。
「ありがとう。そうしたら、いつか私は君の助けになれるかもしれない。君の友人や家族だってそうさ。君の心が蒔いてきた種が花を咲かせるんだ。でも、君の生き方ひとつで、君が去ったその地は荒れ野になるのだろうね。覚えておくといい。」
花売りの男はその次の日、村を後にした。
ひとり、新しい役人を追加で募集すると御触れがあったとき、学長にはモモタが呼ばれた。塾の成績のトップはモモタだった。学長は「ケヤキを推薦をしようと思う。」と言った。そして、モモタは「それがいいでしょう。」と答えたのだった。
「モモタくん。」
「おめでとう。俺もいずれ追いつくから。」
そう言って祝福の言葉と花束を贈った。
道には花が咲き、首都へと続いていた。





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まさか・・・完成していたの!?

なかまくらです。

火曜日は午後からお休みだったので、久しぶりに本棚を作りました。

8号機と9号機。



たくさん作りましたね(笑

作業は慣れるもので、なんと半日で、2つ組み立て終わるというペース。

Made in Japanのヒノキ材で、900円という価格帯。

あとは、柿渋で色を塗って、蜜蝋ワックスで仕上げれば完成。

楽しいですね~。

そろそろ別のものを設計してもいいかな? なにがいいでしょうね。





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強くてニューゲームじゃなかった

なかまくらです。

お久しぶりです。

忍者ツールズのシステムの不具合でしばらく更新できていなかったのですが、

まあ、仕事のほうも立て込んでいて、それどころではなかったのも事実。

いろいろと上手くいかないものです(苦笑


クラスも去年ようやく、初めて1年生から3年生まで受け持って卒業させましたし、

物理基礎から受け持って、高校物理の終わりまで教えて、大学へ送り出して・・・

ようやく1周したのかな?

と思っていたのですが、

あまーーーーーーーーい!!

ぜんっぜん、うまくいかない。

前回とは違いすぎることばかり。そんなの聞いてないよ~、みたいなのばっかり!

狙った方向に物事が転がっていかない!

フツー、2回目って、そういうのがなんとなく見えてて、

ゲームだと最初からスキルとかアイテムとか持っていて、

会話とかスキップしながら進めても、うまく行けちゃうもんじゃないの!?

もしかして、サブクエスト、全然やらないでメインクエストばっかりやっちゃったクチ?!


・・・おっと、ゲーム脳ですね。

最近、ドラクエ11を始めたんですよ。

魔王に世界を奪われてしまった。いま、勇者は世界を取り戻すために戦っている。

きっと勝って幸せになる物語。


まだまだ若輩者。

頑張るしかないですねー。頑張ろう。





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見たアニメの記録・・・「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」

なかまくらです。

最終回を迎えたので、観たアニメの記録などを。

最近、見終わってそのまま忘れてしまうんですよね。

消費とはこのことか、というくらいに。アニメで育った私としたことが・・・(笑

ということで、記録を。

今回は、「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」です。



神々の世界の周りにある様々な世界を救うために、神たちは人間を勇者として召喚して、

それに同行して、世界を救う行為を繰り返していた。

新米女神のリスタが救うことになった世界は、難易度Sの世界。

しかし、召喚に成功した勇者・聖哉は、チート級の能力を持っていて、リスタはウハウハ。

ただ、ステータスの端っこに、性格「ありえないくらい慎重」とあり、

このありえないくらい慎重な勇者に振り回されて、

異世界の冒険はちょっと変わったものになっていく・・・というストーリー。

・・・まあ、配信されてて、見られるアニメは一話はだいたい見るんですね。

それで、面白そうなのだけ、続きを視聴していくわけです。

・・・あれ、これ、面白いぞ、と。

いわゆる”なろう系”とでも言われる、

異世界に転生して、能力が高くて、ガンガン敵を薙ぎ払っていく、ギャグっぽい作品が、

どんどんアニメ化されていまして、なんも考えずにみられて、面白いんですよね。

最後はちょっとシリアスになって、なんで勇者・聖哉がそんなに慎重だったのか、など、

そのあたりも明らかになる、きれいな畳みかた。

監督と脚本がいいんでしょうね。

・・・と思って調べてみると、

監督:迫井政行さん ・・・ はじめの一歩とかにも参加している方

脚本構成:猪原健太さん ・・・ 『慎重勇者』『ヴィンランド・サガ』『幼女戦記』
                などで脚本を書いている方

という感じで、活躍されている方が作っていたのでした。

実力がある人が作ると、何を作っても面白くなるんだろうなぁ、と思うのでした。

おわり。





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物を捨てるということ・居を構えるということ

なかまくらです。

実家に帰りまして、そして、また正月が明けてアパートに戻ってきました。

戻ってきて、掃除の続き。

換気扇をキレイにして、片付けてなかった本を束ねて少し捨てようかなと。


うん。買わなければよかったわけではなくて、読み終わったから古本屋に持っていったり、

読み終わったから捨てたり。

ジャンプを雑誌で買っていたころは、読み終わった端から捨ててましたね。

少し残してあるのは、キッチンのレンジやシンクの掃除に使っています。


そういえば、弟が自動車を売っていました。それで、電車で来ていました。

私自身も、帰るたびに、少しずつ高校生まで過ごした部屋の片づけをしていきます。

そうすると、5年前には捨てる選択肢に入らなかったものをだんだん捨てていけるのです。

あのときは、欲しいと思ったのに。

自分が変化して、物との相性や優先順位が変わるのでしょうね。


いろいろなものを手放していくと、何が残るのでしょう。


これから、この国は、人口が減って、企業に勢いがなくなるところも出てきて、

国際的な開発競争に勝てなくなってくるのかもしれませんね。

舵取りを間違えれば、貧乏な国になるのかも。

十分な品物がスーパーに並ばなかったり、

そもそも、働きたくても、仕事がないことだってあるかもしれない。


文明の最初は物々交換ですから、物というのは存在しているだけで価値があるはずです。

物というのは、もちろん生産するためには技術が必要で、材料も必要で、装置も必要。

そうやって作られたものを捨てる(燃やす?)ということは、

消費することとは少し違う気がしますね。

捨てたら、もう一度は手に入らないもの、とわかっていても捨てることもある。

必要がなくなったから捨てる。


物にあふれた時代なんだな、と改めて思うとともに、

居を構えていないということなんだろうな、と思うのでした。

おわり。






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