1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

星屑ニーナ 読みました。

なかまくらです。

追いかけていた漫画『星屑ニーナ』が完結しました。
 
全4巻。4年間で完結。

始まった時から追いかけていて、気が付いたらもう4年ですか。

始まった頃の私は大学3年生ですか、そうですか。

あの頃に今を想像することはできなかったなぁ。

この漫画はタイムスキップコメディー。

星屑と名付けられたロボットは、女子高生のニーナに拾われる。

星屑は電池で動くロボットで、電池があればいつまでも生きられる。

電池がなくなると記憶のメモリーも消えてしまう。


ニーナはタイへーさんと出会って、仲良く暮らして天寿を全うして死ぬ。

あれ? 終わりじゃん! 星屑ニーナ終わりじゃん!

と、思っちゃう。けれども星屑はロボットだから年を取らない。

2巻で星屑はルイ君と出会う。ルイ君は映像のニーナさんに恋をする。

3巻ではルイ君たちはもういなくって、娘のピッピの物語。

そして、4巻ではちゃんと星屑とニーナの話に帰ってくるのです。

時間はどんどん進んでいって、

魚とバイクはいつも空を飛んでいる。

ふわふわとした未来感覚は、私を虜にしました。


誰もが誰かに恋をして、幸せになるために頑張って、

そういうのが連綿と繰り返されて、人間は生きていくんだなぁ。そんな風に思いました。くそぅ。

とにかく、何がいいかってなんとなく、とっても素敵なお話でした。


最後はタイへ―さんがちょっと可哀想かなぁ、なんて思いながらも、

星屑とニーナのお話だったんだなぁ。

なんて思ったりしつつ、

そうか、「思った時間が愛するということ」なんてことなんだそうなんだそうか。

なんて思ったりしつつ、

心地よい余韻の中に浸っていました。浸っています。

人を選びますが、

私は好きな作品でした。





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劇団MUSES『赤鬼』観ました。

なかまくらです。
劇団MUSES『赤鬼』観ました。

静岡芸術公園。稽古場BOXシアターにて。



静岡の演劇事情にはまだ慣れませんが、どうも、SPACという県の事業として

お芝居が企画されているものがあるようです。

そのためかはしりませんが、なんか客層がやたらお上品な感じです(笑)。

いや、気のせいかもしれませんが、なんとなく場違い感が。

さて。


野田秀樹の『赤鬼』といえば、演劇を詳しく知らない人でも、

「ああ、野田秀樹ね。『赤鬼』なら観たことあるよ」くらいに有名だと思っている作品なのですが、私は未見でした。そこで、チャンスを逃さず、観てみようかと観てきました。

あらすじ。

ある浜辺に、ある姉弟が住んでいた。

二人は余所から来た一家であったことから、忌み嫌われていた。

そんなとき、真っ赤な顔の怪物が現れる。しゃべっている言葉は唸り声のよう。

大きな体躯で訳の分からないことをしゃべる。

浜の人々は恐れるが、姉のフクが簡単なコミュニケーションをとれるようになり、

赤鬼は退治されずに収まった。フクの弟はバカで、フクのことを好いている水銀(みずかね)は嘘つきで、海の向こうからでっかい何かやってきて、自分が認められることを夢見ていた。

ところが、物事はそううまくはいかない。赤鬼とフクが親密になった頃、水銀は嫉妬に溺れ、赤鬼とフクの中を引き裂こうとする。浜辺には小瓶に揺られて赤鬼への仲間からのメッセージが届いていたのだ。

「自由の鐘を鳴らせ」と。

赤鬼の故郷は既に海の向こうにもなく、海を彷徨う一族だったのだ。

赤鬼は、安住の地を求め、この浜辺に現れ、移住の合図を送ろうとしていたのだ。

フクは言う。「言葉が分かるようになるほど、あなたのことが分からなくなっていく」と。

フクと赤鬼は捕えられるも、

水銀と弟によって助け出され、海に逃げた。

海に逃げた4人は食料もなく衰弱し、やがて嵐にあって元の浜辺に打ち上げられる。

3人だけ。赤鬼はいなかった。

フクはその2日後に自殺した。弟は言う。フクが自殺したのは、フカヒレを食べたからだよと。

弟はその経緯を語った。それがこの、赤鬼と言うお話。


そんなお話。

はい。

メインの4人がなかなか上手で安心してみれました。

ただ、ちょっと最初は入り込みずらいドライさというか、役者のほうだけにある慣れみたいなのがあって、ちょっと入れなかったのですが、途中からは夢中になって観ていました。

話は、そうか、今の高校生のSNSへの依存とかそういうことにも通じるのかなって思ったりしました。

言葉が通じるばっかりに、上手くいかない。

ちょっとした言葉が通じるだけで喜びを感じられる。

コミュニケーションっていうのはそういうことなんだと思う。

それが複雑化して難しくなってしまったのが現代なんだと思います。

だからこそ、ちょっとした言葉でさえきっと伝わっていないのだ。伝わる喜びを感じられないくらいに。

セットも、パネルの一部を取り外して、船に見立てる演出、よかったです。

音楽はちょっと多かったかもしれませんね。

あとは、お尻が痛かったです。

おわり。





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週末

今週末は休みなしで働きます。





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無題

借りていたテニスの本を読みました。




「てこの原理」を理解してテニスをうまくなりましょう!
と言う主張の本。
物理系出身の私にはちょっと科学の理屈がちゃんちゃらおかしい部分が多い一冊でしたが、きっと感覚的にはそういうことなんだろうということで、そこに目を瞑って読んでいけばなかなか良い本のようにも思えます。
著者が「てこ」であると主張しているのは、「面積速度一定の法則」の事だと思われます。
(圧力の話もかなり意味不明ですが・・・)


テニスの技術書というには類を見ないくらい文字が多くて、でもそれは動作を良く説明してくれていて、筆者が書いていたイメージを持つのが大事だ、と言うこととは一致しているように思いますし、よいところでした。





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【小説】宝剣と人

最近は習作のような作品ばかりを書いていますが、

こういうのも嫌いではないのです。

ウィザーズブレイン予約し損ねた。




宝剣と人


2014/02/02


作・なかまくら


 


突き立った一振りの剣を拾うことができるものは限られている。


その剣を拾うには、竜の棲まう峰々を往き、食料に乏しく水のない沼地を歩かなければならない。男はそれらの困難に打ち勝ち、その剣を手にしたのであった。


 


「それがこの剣なのよね」


女は身体のラインが見えるドレスの上から、薄い赤色のひらひらとした絹を羽織っている。


「そうだ」


ハイレストと言う名の男はそう答えた。腕には格好相応のたくましさがあり、髪は縮れた短髪であった。武人、というにふさわしい男であった。


「俺がこの剣を手にしたとき、俺はまだ一兵士に過ぎなかった。剣を取りに行ったのだって、それが国王の命令だったからだ。山師に美しい剣があると聞いてなぁ」


ぽんぽん、と剣をたたいた。


「ところがどうだ。いざ、手に入れてみると国王はいらぬといったのだ。お前にくれてやる、と。俺は驚いたね」


男は女からグラスを受け取る。半分まで注がれたグラスを揺らし、女が自分のグラスに残りの半分の酒を注ぐのを待った。


「ネムリ、お前とこの時を迎えられたのはこの剣の幸運と、お前がいたからだ。乾杯しよう」


 


ふたりは酒を酌み交わし、ひとつの王朝を終わらせた。新たな王朝は混乱もなく安定し、新しい国王はよい政治をすると聞いた人民が国に集まった。国は栄え、王が死ぬと同時に滅んだ。


 


そこには、一振りの剣だけが残されたという。


 



 


「それがこの剣ですか」


青年は眼鏡の奥で目を見張った。


「そうだとも」


マーシズトフと言う名の男はそう答えた。身分の良さを恰幅で体現しているような男であった。


「この剣を得てからはどうだろう。この国を竜が襲わなくなった。私の地位も、大臣の補佐官にまで上り詰めた。若かりし頃、私は荒野を歩いていた。わけもなく死に場所を探していた。エリートコースを外れた私には絶望しかなかった」


青年は熱心にメモを取ることに夢中で、窓の外に忍び寄る影に気付かない。


「私にはその剣が希望に輝いているように思えたね。例えるなら、遠い異国の御伽噺に竹から生まれる娘があったそうじゃないか。私にはこの剣が、それに見えたのさ」


マーシズトフは、そう言って、その剣を抜いてみせた。


「ただ、私の跡を継いでこの剣を手にするだろうお前にだけは言っておく。この剣のことだ」


影は揺らめいて、燭台が支えるロウソクの明かりが壁に怪しくあたる。


「この剣を持つと聞こえるんだ。人を殺してはならぬ。正しいことをせねばならぬとな」


「そうですね、あなたはずっと正しいと思うことをしてきた。誰が何と言おうとも」


 


間もなく部屋には火がかけられる。この火は茅葺の家屋にあっという間に燃え広がるが、不思議なことに二人には火のない道が見えていた。街道に躍り出た二人の前に幾人かの顔に布を巻いた男たちが立ちふさがっていた。青年は腰を抜かして動けず、街に人気はなかった。マーシズトフは、ひとつため息をついたという。「生け捕りに・・・と言う感じでもなさそうだ」そう言って、唯一腰に佩いていた宝剣を抜いたという。その光は一瞬覆面の男たちを戸惑わせ、間髪入れず切り伏せられていった。右に薙ぐと右に切れ、左に振ると、左が切れた。そして足を止めずに一歩大きく踏み込んでいく。「うっ・・・」うめき声。一刺し、大きく左の背中を刺されながらも、背後にいた最後の男を袈裟に切った。「誰にいわれた・・・?」想像はついていた。友だと思っていた男。補佐官を決める際に負かした男。彼は卑怯な手に打って出て、自分の首を絞めるに至った男。マーシズトフは、どうと倒れた。剣は地面に突き立った。青年はそれを杖に立とうとしたが、抜けることはなかった。それから間もなく、国は滅びて地は隆起し、竜が棲まうようになった。


 



 


王子は父を殺そうと決意していた。


父は魔術士と結託し、人民の心血を注いで強化した軍隊で近隣の国に攻め入っては領土を拡大していた。王子は、王子として生まれ、幸せに暮らした。母に愛され、恐ろしいことをしていると知るまでの期間、父の愛も受けて育った。王宮に住まう臣下の娘ベクランリリーとも親しくしており、将来は妃に迎えてもよいと考えていた。その幸せは、人民の血液に支えられていたのだという。


急に生臭い話になった。


父は不思議な魔術の力によって、不滅の肉体をもっているという噂であった。その男を殺すには、なにか特別な加護のある武器でなくてはならない。街の占い師はそっと王子に耳を近づけた。その剣を拾うには、竜の棲まう峰々を往き、食料に乏しく水のない沼地を歩かなければならない。王子は果たしてそれらの困難に打ち勝ち、その剣を手にしたのであった。


 


それから、その剣の正しい使い道を、はた、と考えた。


 







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