なかまくらです。
「鹿の王(上)(下)」読みました。
病を宿して、自身の変化を感じながら、生きている男・欠け角のヴァンと、
病を治す医術師ホッサルを軸とした物語。
かつて征服された国で、病で家族を亡くし、戦争で故郷を追われたヴァンは、
かつて国を滅ぼした病にかかり、ひとりの幼子・ユナとともに生き残った。
一方その頃、病を治すために、ホッサルは、従者・マコウカンを連れて、
病の発症した場所を訪れていた。そして、
ふたりのその裏では、大きな陰謀がうごめいていた・・・。
体内で起こっていることは、自分のことなのにほとんどわからない。
けれども、病気は自分の中にとめどなく入ってきており、それと常に戦っている。
征服された国のひとつの氏族が反乱を起こしたこの物語のように、
それを鎮圧する営みがあるような、
まるで、この物語そのものが体内の血液であるような、
そんな印象を受ける物語でした。
それにしても、大きいスケールの物語でした。