なかまくらです。
ウィザーズブレイン アンコール 読みました。
本編完結後の短編集です。それぞれについて、簡単に感想を。
●湯宴の誓い
世界再生機構の地下には、かつて滅びたシティの開発した惑星開拓ロボットが存在して、そのロボットは温泉を作っていて・・・。「温泉がいいと思うの・・・」と新しい施設の提案をしていたファンメイとエドがその調査に乗り出したのだが、惑星開拓用ロボットなる現在に必要な技術が発掘されるというお話。
●ハッピーバレンタイン
フィアは月夜にバレンタインの存在について相談する。どうやら、好きな男の子に対して、フィアはバレンタインという失われたイベントを通して想いを伝えたいらしい。ところが、フィアが見つけてきたかつてのバレンタインの画像は、豆を鬼に対して投げつけるイベントで・・・。というお話でした。途中で、真昼兄が現れ、チョコは用意したのか? という一言で、鬼の面をチョコレートで作り出したところでもう無理でした笑 文化の断絶とはここまでの悲劇を引き起こすのか、というコメディでした。
●正しい猫の飼い方
世界樹の暴走を防ぐために、その生体コンピュータとなったエドが、猫の幽霊と交流する話です。猫の幽霊は、世界樹に飲み込まれた猫が世界樹に飲み込まれずに生き埋めになっている仲間たちを救ってもらうために訴えるお話でした。情報制御理論では、存在というのは、物質世界と情報世界との2つの世界における存在から成り立っており、そのどちらかにだけ存在するものが幽霊、という解釈が現れて、大変面白い解釈だと思いました。面白かったです。
●最終回狂想曲
最終回を書くために、いろいろな漫画を最終回を作り出すマシーンに読み込ませて、最終回をランダムに生成するという物語。当時、刊行ペースは遅々として進まない中、何が最終回じゃー!! という思いで読んだ気がしています笑
●旅路の果て
錬とフィアは、雲除去システムを破壊し、世界の希望を奪ったものとして、それを襲う勢力をおびき出しつつ、世界を平和にする活動をしていた。その中で出会った親子は、人形遣いであることを隠して過ごす少女と、魔法士を憎む元シティ・ロンドンの総裁は仮初の家族であった。総裁であった彼女は、恨みをもちつつ、錬が万が一、自分の目の前に現れる日を待ち望んでいたのだ・・・。というお話でした。まさか、本編後の短編集で、こんな身を切られるようなシビアな物語が描かれるとは・・・。でも、このお話に出会えてよかった。後日譚だから、こういうお話もあっても良いな、というお話でした。
●そして物語は続く
セラが、妊娠したクレアに贈るものを考えていろんな人に相談するお話。けれども、結局は、自分が贈りたいものを贈ることに。そのとき、セラが思いついたのは、お母さんと最後に作った卵焼きでした。というお話。いろんな登場人物が現れて、セラが組織を超えて愛されているキャラクタなんだな、と思うエピソードでした。