INAGO-DX『埋まれ、故郷』観ました。
INAGO-DX始動20周年記念公演『埋まれ、故郷』を配信にて観劇しました。
あらすじ
土木課の公務員の男は、実家の神社を継がず、宮司とならなかったことで、
両親とはぎくしゃくしていた。妻のお腹の中には、赤ちゃんがいたけれど、
妻は、病気になってしまい、赤ちゃんを諦めないと治療ができない。
立てるはずだった新居は、地盤再調査で、立てられなくなる。
幼馴染の女性も神社の娘で、宮司を務める男性と結婚した。
子供は授からなかった。男性は失踪して、1年後にふいに帰ってきた。
老人ホームを抜け出すお婆さんは、おじいさんを待っている。
公務員の男は、神社によく祈りに来ていた。
ジャッキアップ。関西の空港では、地盤沈下に応じて、常に地面を持ち上げ続けている。
気持ちが沈んだ時にも、気持ちを持ち上げるのだ。
携帯電話に、頻繁に地面の陥没の連絡が入る。
携帯電話に、頻繁に何か良く分からない警報発令の連絡が入る。
最近、この付近では、地面が陥没しているらしい。
神社に縛り付けられた幼馴染の女性と、
神社から飛び出して両親にも妻にも気を振りまく公務員の男。
宮司の男性は、陥没した道を見て、1年間失踪したのだ。
そんなある日、宮司の男性の妻は陥没に巻き込まれる。公務員の男の妻も、分からない。
いなくなったら、ほっとしてしまうのかもしれないのに、心配に思ってしまう、
面倒くさいものなのだ、という話。
というお芝居でした。
ううーーーん、という作品でした。
劇は重層的に作られていて、よく編み込まれているのですが、その割に、
言っていることはちゃんと分かるし、言いたいことも、やりたいことも、
分かるのですが、全然共感できなかった、というのが正直なところでした。
そして、役者さんも、めっちゃ上手で、それゆえに、すごく苦しさが伝わってくる。
たぶん、作者さんは、なんだかんだいって、そういうしがらみだらけの世の中が
それでも好きで、故郷をテーマに描いたんじゃないかなと思ったのですが、
どちらかというと、私はそういうのは面倒くさくて、嫌いで、
あまり関わりたくない若者側の人間なせいで、
ぜんぜん共感できなかったというところに、この感想の理由がある気がします。
言葉遊びとか、ジャッキアップで心を持ち上げる! みたいな演出や発想は、
すごく面白かったのですが、とにかく、見ていて辛いお芝居でした。
繰り返し鳴り響く緊急警報の音や、交通整理の人が鳴らす笛の音も甲高くて、
どんどん息苦しくなるのでした。
野田秀樹さんの『THE BEE』というお芝居を観たときと似ているのかもしれません。
演劇でこんなに苦しくなるとは・・・と、あの時は感心したものです。
そう、これは感心なのかもしれないな、と思う作品でした。
あるいは、いつか未来にやってくるかもしれないしがらみに対する恐怖心のような
ものなのかもしれない、という感想でした。
昔、大学生のときに、広島で見た劇王に参加されていたINAGO-DXさんの作品は、
こんな面白い劇団が広島にあるんだ!!!
と思ったものですが、それぞれ、年齢を重ねて、変わること、変わらないことが
それぞれあって、それゆえに、あの時みたいには、面白く見れなかったのかな、
と思うと少し、寂しい思いになりました。
なお、この脚本は、
一般社団法人日本演出者協会主催「若手演出家コンクール2024」最優秀賞 を受賞
しているそうです。確かに、よくできているんですよ。良くできているんですけど・・・
世の中で面白いと言われるものって、難しいところにあるんだな、
と思ったのでした。おわり。
