1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

「RITA&RICO(リタとリコ) ~「セチュアンの善人」より~」観ました。

なかまくらです。

少し前のこと。

「RITA&RICO(リタとリコ) ~「セチュアンの善人」より~」観ました。

静岡県の県民劇団SPACの作品。

ベルトルト・ブレヒトの「セチュアンの善人」を下敷きに描いた作品。

貧しいリタは、あるとき、地上に降りてきて様子を見ていた、神様に良いことをする。

すると、リタはたくさんのお金をもらって、それを元手に商売を始める。

ところが、そこにはたくさんの貧しい人たちが集まってきて・・・

リタは、自分が困ってしまうくらい、貧しい人たちを助けてしまう。

そして、リタは、リコという従妹の設定の、変装したもう一人の自分を作り出す。

リコは、利己的であり、言いたいことはすべていう。

リタは困るたびに、リコに頼るようになる。

リタは、飛行士を目指す男と恋に落ち、

金策に困った自分を助けてくれた人を裏切ってまで、飛行士を助けてしまう。

ここで、リコとなって飛行士を裏切って、

周りの人を裏切って、今あるお金で工場を作れば、

貧しい人たちをこき使って、お金持ちとなって、利己的な人間となって、

周りの人をみんな不幸にして、自分は裕福な暮らしができる。

リタは、リコになることを拒む。

もう、リコにはなりたくない、と悲しむのだが、

リタは泣きながら、リコへとなっていくのだった。


・・・というお話でした。

なかなかにしんどいお話でしたが、同時にすごく心をグラグラさせるお話でした。

自分のためだけに生きたら、きっと周りは不幸になってしまうから、

それぞれが周りに気を使いながら、周りを助けながら生きているでしょう。

けれども、本当は自分が一番かわいいのは当たり前で、

その心の葛藤の中で、上手に折り合いをつけて生きていこうとする。

けれども、本当に苦しくなったり、本当に貧しくなったとき、

きっと、我々は、リコになってしまうんだろうな、と。

それはいけないことだと知りつつも、それを受け入れるんだろうな、と

そんなことを思うお芝居でした。

ちなみに、「セチュアンの善人」の原作では、リコ(役名は原作では違う)が、

工場を建てて、周りをみんな不幸にしてしまうところまで描かれているそう。

観たくないような気もしますね(笑

おわり。





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