なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)
なかまくらです。
先週の日曜に「グスコーブドリの伝記」を見てきました。
あらすじ
山の中の農村に生まれたブドリは、家族4人で幸せに暮らしていたが、
あるとき、冷夏が続き、飢饉が起こってしまう。
両親は山へ行ったきり、帰ってこず、妹のネリは人攫いに攫われてしまう。
ブドリは山を降りることにする。
山を降りるとそこには、大地主の茶ひげという男がおり、ブドリは住み込みで働かせてもらえることになる。
ブドリは、亡くなった茶ひげの息子の読んでいた書物を読み、作物の育て方をよく勉強した。
それからしばらくは、ブドリは幸せに暮らしたが、数年して、また、冷夏がやってくる。
ブドリは暇を与えられ、泣く泣く茶ひげに別れを告げた。
ブドリは都会に行くと、その頭脳を買われ、火山の研究をしている研究所で働けるようになった。
ブドリは、妹のネリの面影を都会のあちらこちらに追いかけたりもしながら、研究所の慌しい生活を送っていた。
そして、ある時、また、冷夏がやってくる。
ブドリの中には、ひとつの考えがあった。火山を噴火させ、炭酸ガスを大気中に増やしてみてはどうだろうか。
しかし、火山を人工的に噴火させようとすれば、噴火させた人は生きて帰ってはこれないだろう。
ブドリは、思い出していた。冷夏で作物はとれず、食べる物がなくなり、両親がいなくなる。女の子は人攫いに攫われていく。
そんなことは、もう、あってはいけないのだと。
そして、ブドリは・・・・・。
というお話。
私は、幸村誠の漫画「プラネテス」で、グスコーブドリの伝記というお話を知った口ですが、
宮沢賢治の作品「グスコーブドリの伝記」でした。
犠牲、というものが描かれているように思いました。
劇中で、宮沢賢治の詩、「雨ニモマケズ」が出てきます。
ほめられもせず、くにもされず・・・・
・・・そういうにんげんにわたしはなりたい。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/45630_23908.html
ブドリが自分のような子どもが、これ以上生まれないように、と、
そういうなんとも優しい動機で穏やかに犠牲になっていくのです。
妹が人攫いに攫われるところでも、なにか不思議な様相の人攫いがさぁっと、攫っていくのです。
夢の中で再会をはたした人攫いは、こういうのです。「彼女は望んでこっちに来たのだ」と。
自分の命と、愛するものの命を見比べるまでもなく、すっと手元にあるものを差し出す。
そんな優しい心が、胸を打ちました。
おわり。
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