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なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

臆病なペンギン

なかまくらです。

飛び込むのは怖い。

深い青色に沈んだ水面下には、天敵のシャチが大口を開けて待っているかもしれない。

それは他人に対する欺瞞だ。言い訳だ。

怖いだけなのだ。水に入ってみたら案外泳げないかもしれないのだ。

バシャバシャと溺れて、みっともない姿を晒すかもしれないのだ。

隣り合って飛び込んだ仲間たちが、みてみぬふりをしてくれようと、

助けに来てくれようと、手取り足取り教えてくれようと、

からかわれようと、馬鹿にされようと、見捨てられようと、

そのすべてが恐ろしく、どこまでも遠くへと氷の上をよたよたとついて行こうとするのだ。

水の中はあんなにも自由なのに、

気水境界線を越えることは不可能な課題に見える。

一度思い切って、飛び移ってしまえばいいのだ。

あとは、成り行きに任せればいいのだ。

無為自然。流されれば良いのだ。

身体のまま、心のまま、波に乗ればいいのだ。

そっと目を開けて、開けた視界があったら、力を込めて泳ぎだせばいいのだ。

それだけのことなのに、それが一番難しい。






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