なかまくらです。
SPAC「イナバとナバホの白兎」観ました。
浜松福祉交流センターにSPACがやってくるというので、観に行くことにしました。
SPACというのは、静岡県の県営の劇団でして、舞台芸術の発展を目指している感じがする
意識高い感じのお芝居をやっている劇団です(個人的感想です)。
今回は、因幡の白兎のお話かな? と思いつつ、ほとんど前情報がないまま、
観に行ってきました。
第一部は因幡の白兎。因幡の白兎はこんなお話でした。
兎が川を渡ろうとして、鰐をだましたことで、毛をむしり取られてしまう。
苦しむ兎を助けてくれたのは、大穴牟遅(オオナムチ)だった。
オオナムチは様々な神々の試練を乗り越えていく。
樹に挟まれたり、灼熱の岩戸の中へ閉じ込められたりする。そのたびに、
動物や、愛する人に助けられて、切り抜けていく。やがて彼は、
オオクニヌシノミコトへとなるのだった。
というお話。
第二部は、アメリカに伝わるおとぎ話。
ある双子は、天涯孤独。父が太陽神であることを知った兄弟は、会いに行くことにする。
途中で、田畑と耕したり、川を渡るために自分を花粉に変えてアメンボに乗ったりして、
冒険が進んでいく。途中で兄弟の一人は、怪物を騙したことがバレて、殺されてしまう。
たどり着いた双子の片割れナバホは、太陽の試練を乗り越え、息子として認められるのだった。
というお話。
第三部では、この二つの物語はどこか似ていて、元は同じ物語だったのではないか、
というある研究に基づき、描かれたもう一つの物語。
そこでは、武器を得たナバホは、地上に戻り、その弓を戦いのためではなく、
弦をかき鳴らし、祭事に使うという終わり方を見せるのだった。
というお話でした。
独特の世界で、商売じゃない感じが、あるSPACの世界って感じでした。
エンターテイメントじゃなくて、芸術って感じ。
登場人物はしゃべらず、しゃべる人は別に控えている人たち。
音は後ろにドラムセットや、和太鼓、和楽器などが置かれていて、それを演奏する人たち。
第一部と第二部ではその役割が男性、女性で交代し、それ以外の人たちは、
アンサンブルとして、舞台を進行していくという感じでした。
うーーん、芸術! 鰐が背中に藁を背負った役者たちの匍匐前進で表現されていたり、
お面も特徴的で、双子の顔の大きいこと大きいこと。また、スサノオの顔も非常に迫力がありました。
演奏もお芝居にちゃんとあっていて、総合的に芸術が生み出されている感じが、
とても楽しい空間でした。
こういうのが作れるのって、素敵だなと思いますし、こういう出会いは時々あるものです。
今から、そうしようとは、今はあまり思いませんが、
学生時代とかに出会っていたら、スタッフとして、この芸術の生まれる瞬間に
立ち会っていたい、と思っていたのかもしれませんね。
このお芝居は、海外の美術館の記念事業として企画されたものだということなのですが、
記念事業で、お芝居が上演されるという文化は、日本にはないものだなあと思うと同時に、
そういうときに、上演されるお芝居というのは、普段私たちが楽しんでいるものでは、
きっとそぐわなくて、TPOでいうならば、こういうお芝居がふさわしいのだろうな、
と新たな視点を得ることができたお芝居でした。
おわり。