なかまくらです。
広島大学演劇団23生卒業公演「わラワレ!」観てきました。
脚本は、ボクラ団義さん。
あらすじ。
サラリーマンを辞めた田中稔は、お笑い芸人を志していた。
ところが、入った事務所は、
人を笑わせることが御法度の笑われ芸人の事務所であった!?
舞い込んでくる仕事は、例えば、
街頭インタビューの一般人の反応。バラエティーの客席のサクラ。
精一杯アホっぽい真面目な回答をする。決して笑いを取りに行ってはいけない。
面白くないのだから。
そんなラファーズプロ在籍7年のベテラン・天王寺さんが事務所を辞めると言い出した。
恋人の皆子の病。その付き人だった七瀬の表舞台で歌手になりたいという夢。
田中稔は、そんな周りの夢に、一度は失いかけていた自分の夢を思い出す。
アマチュアもエントリーできるお笑いキングダムに天王寺と参戦!
そして、破竹の勢いで勝ち進んでいく。
ところが、他の事務所に目を付けられたラファーズプロには、
仕事がぱったりとこなくなってしまう。
そして、天王寺がもっとも笑わせたかった人、皆子さんの死。
そのとき、田中稔の携帯が鳴る。
七瀬は、TV番組で、歌を歌っていた。
すべてをさらけ出し、歌った歌。
それは、確かに、何人かの胸を打った。
そして、ふたりは準決勝のステージへと向かっていく決意をする。
そんなお話でした。
とにかく、まず思ったのは、いろんなもののレベルがあがっているなぁ、ということ。
隣の芝は青く見えると言うことではないと思うのです。
パンフレットだったり、ダンスだったりね。
大道具とか小道具、照明なんかは、昔からレベル高かったけども。ああ、でも、
去年も今年も背の高いものを作らなかったんですよね。
背の高いものって好きだけど、今年はそう言うお芝居じゃあないものね。
まあ、ともかく、そういう指南をしてくれた先輩がいたのかな。
それとも、これまでに築いてきたものでしょうか。
いずれにせよ、自分がいたころよりも、進歩していくサークルの姿を見た気がして、
うれしくなりました。
さて。
4年生がなかなか活躍していて良かったですね。今年は、私が大学院1年で、
創作談義などを企画してまだ、かろうじて知っている最後の世代。
森岡くん、小池くん、藤井くん、木邨さん、川村くん、益田くん、野津さん、和泉くん、福島さん、藤田くん(・・・で、全員かな??)
森岡くんは、一目見たときからああ、いいなぁ・・・(別にそう言う意味じゃあない)。
と思っていて、最後にメインの一人として見れて良かったです。
何がって言われると、困るのですが、
上手な中に見えるそのちょっとした不器用さに惹かれるんですね。
私はそういうののファンらしい。
田中稔も熱演でした。ほとんどずっと出ずっぱりで・・・。小池くんだなぁと言う感じでした。
それから、木邨さんは、安定の木邨さんでした。しっかり世界を作っていました。あとは、女社長。すらっとスタイルが良い子ですね。動きもきびきびしていて、いいですね。主役っぽいイメージはわかないですが、劇団にいたらいいなっていうタイプの子ですね。それから、アイドルの子。なんだろう、ちょっと引いちゃう。演出通りなら怖い。でも、もっと思い切ってやってみたら、良かったんじゃあないかなと思いました。次。最初のシーンに出ていたアナウンサーと笑われ芸人の子、声が小さい・・・。音も大きかった。最初のシーンはつまづいた感じでした。
うん。まあ、そんなところでしょうか。
ストーリーについては、お芝居が終わった後の一緒に見た人の感想としては、
「ドラマだなぁ。こんなの起こらねぇよ」
でも、私は、違う感想。
これを書いたのは、学生でなく、芝居をやっている人たち。
そんな人たちは、そんなことを身に沁みて分かっているはず。
それでも、このお芝居をやったのは、
「起こらねぇよ・・・」と言っている私たち元演劇人・夢を諦めかけている演劇人
に対する挑発と激励だったのではないかと思ったのです。
そんなことは百も承知。けれども、どうだ。
本当にそんなことがやりたかったのか?
お前たちは今、人を笑わせたかったのに、笑われるばかりの立場に・・・まったく逆の方向に進んでしまっているんじゃないか?
そんなことを問いかけられているように感じました。
ただ、このお芝居のこの続きには、これまで以上に困難な道が待っているんだろうなぁと思わずにはいられませんね。
心の幸いを取り戻す代わりに、本当に沢山の物を失うお芝居であるようにも思いました。
さて。
4年生のみなさん。広島大学演劇団の後輩の皆さん。お疲れさまでした。