今書きたい物語が、連載中のアレじゃなくてごめんなさい。
そして、ボツを次々生み出してしまうという。続きませんので、尻切れトンボですが、もう続きも書くつもりがないので、晒しうp。
タイムトラベルにようこそ! の、ボツ。
タイムトラベルにようこそ
ヤマガタ・・・・自殺対策局職員
イイヤマダ・・・佐藤小晴の彼氏
サトウコハル・・ヤマガタの恩師・愛人
フクイ・・・・・関税官
ヤマガタ ・・・・・・。
男 こんにちは。
受付の人 こんにちは。パスポートはお持ちですか?
男 はい。
受付の人 渡航目的はなんですか?
男 サイトシーイング・・・観光です。
受付の人 あー、それは許可できませんね。
男 ええっ!? 昨日まではそれでよかったんですが!
受付の人 昨日まで? あなた、何日昨日に通っていますか? わかってるでしょう? これ以上の肉体時間の進行は、あなたの為にならない。わかりますね? はい、次の方。
ヤマガタ ・・・・・・。
受付の人 こんにちは。
ヤマガタ こんにちは。
受付の人 パスポート、あります?
ヤマガタ はい。
受付の人 渡航目的はなんですか?
ヤマガタ ・・・・・・あの、さっきの人は?
受付の人 ああ。最近増えてるんですよ、時空依存症の渡航者。ご存じありません?
ヤマガタ ・・・いえ、詳しくは。
受付の人 思い出というのは、基本的に普段は心の奥底にしまわれているものです。ところが、不意になんらかのきっかけで浮かび上がってくる。そして、今のうまくいっていない自分と比べてもし、あの頃に戻れるなら、なんて考え出せば、ふらっと、過去に足を運んでしまう。困ったものです。
ヤマガタ ええ。でも、かけがえのないものを失った時に、それを取り戻さないのは、人間として正しいことなんでしょうか?
受付の人 え?
ヤマガタ 例えばですよ、あなたには恋人がいた。
受付の人 エイドリア~ン~❤
ヤマガタ え?
受付の人 ごほん・・・いえ、こういうのは雰囲気が大事ではないかと。
ヤマガタ まあ、いいですけど、ヒロイン、エイ=ドリアンさんでいいんですか?
受付の人 くさいですよね~。そんなところに惹かれるんです。顔面に押し付けてほしいくらいですよ~
ヤマガタ は、はぁ・・・。特殊なご趣味で。
受付の人 で、なんのはなしでしたっけ?
ヤマガタ エイドリアンの話ですよ。
受付の人 エイドリアンの話でしたっけ?
ヤマガタ エイドリアンの話でしたよ?
受付の人 ・・・で、なんのはなしでしたっけ?
ヤマガタ だからエイドリアンの・・・
受付の人 エイドリアンの、なんの、話でしたっけ?
ヤマガタ 恋人の話でした。
受付の人 そうそう。こっちも忙しいんでね、手短に頼みますよ。えいどりあ~ん!
ヤマガタ あ、僕がエイドリアン。
受付の人 (頷く)
ヤマガタ なるほど。バルボア、あなたに伝えなくてはならないことがあるの。
受付の人 なんだい、ははは。
ヤマガタ あのね、私、あなたのことを愛しているわ。
受付の人 そうなのかっ! 実は僕もなんだ!
ヤマガタ 翌日、エイドリアンは偶然通りがかった彼の親友によって轢き殺されてしまう。
受付の人 え?
ヤマガタ それはちょうど、桜のつぼみが大きくなる春先の出来事でした。3日前、そうやって一つの命がなくなった。すると今の人間には不幸なことに3つの選択肢がある。新たな恋を探すか、過去に遡ってその日を繰り返して生きるか、後を追って死ぬか。
受付の人 ええと・・・
ヤマガタ さあ、私は死んでしまったのよ。さあ! さあ! どうしちゃう?
受付の人 それで、あなたはどうして過去に?
ヤマガタ 彼は死を選ぶんですよ、これから。それを止めに行くんです。
受付の人 未来を変えるってことですか? それは無理な相談だ。決まってしまった未来は変えることができない。
ヤマガタ 未来が決まってなかったとしたら?
受付の人 え?
ヤマガタ 彼はこれから死を選ぶでしょう。でも、どうだろう。死を選ぶ前に彼に接触することが出来れば。彼の心を癒してやれれば、彼は死なないで生きていく。
受付の人 そんなことが・・・?
ヤマガタ 可能かどうかって? あなたは私よりも未来の人間でしょう?
受付の人 ええ
ヤマガタ 結果は聞きません。私は今、これをしたい。それだけです。
受付の人 わかりました。渡航を許可します。
ヤマガタ ありがとう。
ヤマガタ、はける。
受付の人 もしもし、私です、フクイです。局長を。局長、とうとうこの日が来ました。私は、今日、歴史を変えます。さようなら。
フクイ、はける。
暗転。
ヤマガタ 時間を戻ったらどうなるか。過去で二人が出会ったらどうなってしまうのか。ビックバンが起こって世界が消滅する、なんて馬鹿げた説もあったが、なあに、そんなことは起こらなかった。物質を過去に送ることは結局できなかったからだ。送ることができるのは、情報だけ。10年後の未来からやってきた人間は、10年前の自分に統合される。これから生きていく10年を生きてきた自分に奪われるのだ。ほかでもない自分に。いい気はしない。そうしようと決めた自分がいつか自分に塗り替えられていくのだ。それでも、彼は、僕を許してくれるだろう。僕は彼の為にそこに行くのだから。
フクイ ヤマガタさん。
ヤマガタ え? なんですか?
フクイ 私もついて行っていいですか?
ヤマガタ どうして?
フクイ 私がついて行くと何か問題でも?
ヤマガタ いえ。むしろ、僕が行く時間に何かトラブルですか?
フクイ いえ。まあ、内容がないようですから、未来を変えないように、という監視役ということで。
ヤマガタ でも、あなたは、今から行く時間に肉体をもたないでしょう?
フクイ ええ。
ヤマガタ 肉体がなければ、情報を送る対象がない。だからあなたには無理ですよ。
フクイ たしかに。肉体は必要です。そこで、です。
フクイは猫耳を取り出す。
フクイ 私は、猫になります。にゃーお。どうです、似てます?
ヤマガタ ・・・・・・
フクイ わー、どん引かないでください!
ヤマガタ 二度と元には戻れない。
フクイ え?
ヤマガタ 過去に戻ることはできるが、現在には戻れない。
フクイ ああ、その点はご心配なく。転送先が猫ですからね。最低限の情報しか持って行けません。私の一部を猫に移す、という感じです。私自身はこっちに残ります。
ヤマガタ もはや何が何だか。
フクイ 発展した科学は魔法のようなものです。
ヤマガタ まあ、とりあえず、
フクイ とりあえず、ノープロブレムって、ことです。さあ、つきますね。適当に身体、見繕ってきますので、またどこかでお会いしましょう。私は、フクイケルという名の猫になります。
ヤマガタ そうか。さようなら。
SE。タイムリープ完了。
ヤマガタ ・・・・・・。
サトウコハル ヤマガタ君。
ヤマガタ ・・・・・・。
サトウコハル ヤマガタ君!
ヤマガタ ・・・あれ?
サトウコハル え、どうしたの?
ヤマガタ いや・・・ええっと、コハル先生。
サトウコハル そうよ、サトウコハル。あなたのコハル先生よ。
ヤマガタ 今日何日ですか?
サトウコハル なに、今日を忘れちゃったの? 私たちが出会った日なのに。4月7日。君たちが高校生として、学校に入学してきた日ね。
ヤマガタ それから十年ですか。
サトウコハル そうねぇ・・・。そろそろ彼女の一人でもできてもいいんじゃない?
ヤマガタ ええっとですね。
イイヤマダ ただいま~。お、やっぱりヤマガタか。久しぶりだなぁ・・・。
ヤマガタ イイヤマダ。すまんな。
イイヤマダ お、どうした。どうして謝る? まさか、お前、まさか・・・
ヤマガタ いや、今のは・・・なんでだっけ?
イイヤマダ お前、まさか俺たちの結婚式のプレゼントを買えないっていうんじゃないだろうなぁ!
ヤマガタ どうして僕がそんなことを?
イイヤマダ ・・・・・・。
ヤマガタ ・・・・・・。
イイヤマダ だよなぁ~。なんか顔色悪いしさ。
ヤマガタ ああ。なんでだっけ? たぶん、ここに来るとき、タクシーの運転が荒くてさ。酔っちゃって。帰りは自分で運転して帰るよ。
イイヤマダ なんか太陽フレアで、電子機器の調子悪いらしいぞ、今日の午後は。タクシーもその影響だろうさ。まあ、ちょっと客間で休めよ。
ヤマガタ おい・・・それ、新居の客間を誰かに見せびらかしたいという下心で言ってないか?
イイヤマダ ・・・ばれたか。まあ、とにかくちょっと休んで来い。後で積もる話でもしようや。
ヤマガタ じゃあお言葉に甘えて、そうさせてもらうよ。
ヤマガタはける。
イイヤマダ コハル、今晩出かけていいかな?
サトウコハル ヤマガタ君と飲みに行くの?
イイヤマダ うん。ダメ?
サトウコハル 天気予報、雨だったから、傘、もっていってね。
イイヤマダ 了解。ところで、お義父さん、どうだって?
サトウコハル ああ、なんかこんな頑固な人だと私も知らなかったんだけど、やっぱり来てくれないかもって、お母さんが。
イイヤマダ そうかぁ・・・。
サトウコハル ・・・・・・。
イイヤマダ ・・・・・・。
サトウコハル あー、もうこの話はおしまい。ねぇねぇ、なんか面白い話しようよ。
イイヤマダ 急に面白い話って言われても・・・。
サトウコハル 私が怒ってクラスの雰囲気が悪くなると笑いを誘って私を助けてくれたイイヤマダ君だもの、それはさぞかし面白い話が聞けるに違いないわ!
イイヤマダ ハードル上げるなぁ・・・。あ、そういえば、今日、河川敷で不思議な猫に出会ったよ。
サトウコハル 猫?
イイヤマダ なんか、猫なで声で鳴く猫でさ、「にゃーお、にゃーお」とか「MEW MEW」って鳴くの。まるで、人間が猫の鳴きまねしてるみたいでさ、なんかちょっと、
サトウコハル 不気味!
イイヤマダ そう、不気味でさぁ~
サトウコハル 不気味なのは、苦手だから、パス!
イイヤマダ パスっていうか、今虚空に向かって投げつけたよね。
サトウコハル ヤマガタ君にパスということで。続きはヤマガタ君に話してきてよ。
イイヤマダ よし、じゃあ、今度こそ面白い話を・・・。
サトウコハル じゃあ、ちょっとコーヒー入れてくるね。
イイヤマダ アイスがいいな。
サトウコハル ちょっとまだ季節的に早いんじゃない?
イイヤマダ いいのいいの。よろしく。
サトウコハル、はける。
イイヤマダ、はける。
フクイケル、やってきて、
フクイケル にゃーお。
フクイケル、悠々と歩いて、はける。