なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)
「災厄の日、おとずれん!」
彼はそう叫んで、校門をくぐった。
「おはようございます、げへへぼぼん!」
すれ違い様にベロリとしたべろをべろした後輩が、回り込むように下から覗き込むアングルをキープしてくる。
「ひぃぃいいっ! やめて! ごめんなさい!」
「ふぇ?」ベロン後輩が彼の思いもよらない反応に、動揺を隠せずに、したべろを食み食みしていると、彼は、我に返って、ひとつバク天を決めた。
「おおっと、これはおろかな・・・。おろかなり!」
「へへぇええ!」ベロン後輩は、嬉しそうにこちらを眺めて、仲間になりたがっている。
「ついてくるがよい!」「へへぇええ!」
廊下までやってくると、用務員のおばさんが立ちふさがる!
「おとうかざんすおろうかざんす!」
モップを容赦なく叩きつけ、廊下の汚れを抉りとっていく。抉られた後には、何も残らない・・・。
あろうことか、その用務員のおばさんの前に立ってしまった彼は、おののいた。
「ひぃぃいいっ! やめて! ごめんなさい!」
「ふぇ?」「ざま?」用務員のおばさんは彼の思いもよらぬ反応に、動揺を隠せずに、モップをもふもふしていると、彼は我に返って、靴で床をキュキュッと落とした。
「おっと、星に願いを、あなたに愛を」
「ざまーーーっす!」用務員のおばさんは、目をハートにしてこちらを眺めて、仲間になりたがっている。
「ついてくるがよい」「へへぇええ!」「ざまーーーっす!」
教室までたどり着くと、クラスメイトは二つのピースを形作り、でこに当てている。そして、叫んだ。
「すたぁあああああああーー!」
その瞬間、教室が光に包まれた。宇宙が暗黒に包まれたとき、使者が現れる。遥か夏の秋めいた浮遊に覆われた光が暗黒を払ったように、光に包まれた。ぱーーー、ぱぱーぱぱー!
「ふはっ! ふはははっはー!」
「ひぃぃいいっ! やめて! ごめんなさい!」
「ふぇ?」「ざま?」「すたぁあああああああーー!」
その瞬間、彼は、フェザーマスターとなり、ガラスというガラスをバリンバリンと割っては投げ、割っては投げ、もはや辺りは群雄割拠の手裏剣乱舞! 風を操るフェザーマスターの彼の前では、光すら吹き飛ばされる!
こうして、彼の平和は守られた。
家に帰ると、彼は静かな部屋で、PCの電源をかまいたちで入れた。巻き起こる熱を吹き飛ばし、そして、ネットゲームを立ち上げる。
彼は汚れた衣を羽織り、こそこそと路地裏に入っていった。
「ひぃぃいいっ! やめて! ごめんなさい!」
路地の向こうから声が聞こえる。
彼は安堵の表情を浮かべながら。
カレンダー
カテゴリー
リンク
最新記事
アーカイブ
ブログ内検索