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なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

【小説】ドリーム・ヒーロー【習作】

 

彼は、臆病なスーパーマンで、青いタイツに赤いマントを纏う。

つやつやとした青いタイツ、ふわりとして軽やかに丈夫な赤いマント。

彼はかつてスーパーマンとして学校に秩序と平和をもたらしていたが、

私が夢の登場人物になったとき、彼はもうすでにいなかった。

3階の教室から外に出るとそこは、下水の流れる土管。

ずんぐりとした4つ足や昆虫の節ばった6つ足のモンスターが待ち受ける。

ここは電撃属性のアサルトライフルがいいだろう、と、ふたつほど購入して、教室を飛び出す。

目の前に現れたモンスターにズダダダダ、と連射する。

「なんだこれ、威力ひっく!」 私は悪態をつき、打ち続けながら射線を顔へ向ける。

たまらず顔をそむけるモンスターの脇をすり抜ける。どうやら速射性は申し分ないようだ。

隣の教室にたどり着き、情報を収集する。彼はどこへ行ってしまったのか・・・?

人々は口を紡ぎ、私は1階まで降りてきていた。

後ろを追ってきていたと思っていたモンスターを確認しようと振り返ると、彼がいた。彼だった。

もう無理なんだ・・・、と彼は言い、

私は黙々と長い廊下を走った。彼の話を聞いた。

角を曲がり、渡り廊下のその先に、女の子の姿と、赤いマントが。

彼は、意を決してそのマントを羽織る。服はいつの間にか青い艶やかなタイツに変わっていた。

追いついてきたモンスターは人に似た形をとり、私たちを取り囲む。

「みんな逃げろ・・・!」 私は叫び、

モンスターの雑魚兵士から乱射される銃弾の嵐の中、赤いマントが翻る。

「お前も逃げろ・・・」 彼はそう言い、半分だけ顔をこちらに向けた。

 

その顔を見た私は、すべてを理解し、頬から伝う涙はとめどなく流れていった。

 

 

+あとがき+

昨日見た夢でした。この「彼」時々出てくるんです、私の夢に。

夢の常連ですね。

 





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