1cm3惑星

なかまくらのものがたり開拓日誌(since 2011)

劇場版「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」観ました。

なかまくらです。

劇場版「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」観ました。



仮面ライダーWの続編が漫画化されていまして、その中で描かれた

仮面ライダーWの前日譚というお話。

いかにして、左翔太郎とフィリップは出会い、仮面ライダーとなったのか・・・。

というお話です。

私は大学生の時に、初めて仮面ライダーを見たのですが、

そのときに見事に夢中になって1年間追いかけ、それから、

オーズ、ウィザードなど、しばらく毎週日曜の9時からの番組を予約し続けた

生活を送る元凶となり、そして、今もあまり面白くないかもしれなくても、

とりあえず惰性で、貯め撮りを消化するくらいには、影響力のあった作品でした。

主人公の左翔太郎がかっこいいんですよね。いや、かっこわるいんですよ(どっちだ)。

ハードボイルドな男に憧れるけれど、優しさが先に立ってしまって、

ハーフボイルドな感じになってしまう。そんなどこか完璧じゃないところが、

すごく愛すべきキャラクターに彼を仕上げています。

そんな彼が、どうしてハードボイルドな男を目指すようになったのか、

その過程で、どんな出会いや別れがあったのか。

それが描かれた作品でした。


アニメで描かれた仮面ライダーには、違和感がもっとあるかな、と思いましたが、

途中からあまり気にならなくなりました。

素直に物語を楽しめる作品に仕上がっていて、これだよこれ!

という期待通りの作品でした。よかったです。

おわり。





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「寿町のシューベルト」観てきました。

なかまくらです。

カンムリプロデュースVol.16「寿町のシューベルト」

観てきました。

浜松市の鴨江アートセンターの2階の普通の会議室みたいなところにて上演でした。

段ボールで作られた壁の前で、お芝居が繰り広げられました。


あらすじ。

修一は、三河工務店の社長。52才。

5年前に癌になって、余命半年を宣告される。それから手術を3回。

何とか生き残って、楽しく生きてきた。

ある日、修一は、行きつけのスナックで、なんと26歳の看護師の女性(おとはさん)に一目ぼれしてしまう。

残された人生もどれくらいあるか分からないなら、

やりたいことは全部やっておきたい。

修一はプロポーズを決意する。

修一には、良い雰囲気になっていた少し年下の女性がいたが、

会社の仲間が先にプロポーズをして結婚していた。

そして、高齢ながら、子供ができるという。

修一は、それを心から祝福する。その女性、エミは、修一の腹違いの妹だったのだ。

エミは、修一がそれを知っていることをまだ知らない。

修一は、公園で会社の仲間とバンドを結成して、歌うようになる。

おとはさんは、一度は断った修一からのプロポーズだったが、

駄目なインディーズのバンドマンにフラれ続けてきたことも相まって、

価値がある人間だと断言してくれた修一に少しずつ惹かれていく。

そこで、修一に癌が再発していることが発覚する。

母親は、修一に、親より先に逝くな、と願いを伝える。


修一は、エミのスナックでライブコンサートを開き、それを景気づけに、

望みの薄い、4度目の手術に向かうのだった。

けれども、彼らは輝いていた。


という感じのお話でした。


ハートフルコメディと言う感じで、長く役者をやられている方々だけあって、

会話がとにかく軽妙で自然で、あっという間に登場人物たちに惹かれていきました。

人のいい感じの修一は、おじさんだけど、すごく魅力あるキャラクターで、

その社長の修一を大切に思っている周りの人々もすごく素敵でした。

悪い人が出てくることなく、笑えて、感動できる、人間賛歌のあったかいお芝居でした。


修一とお母さんのシーンや、おとはさんとお別れしようと修一が呼ぶシーンなどは、

役者さんの熱演も相まって、こちらもうるっと来ました。


普段は東京で活動している方々のようで、全国へ公演に回っているそうで、今回はそれが浜松だったみたいです。偶然知って、観に行けてよかったです。

おわり。





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演出の記録

なかまくらです。

最近、演劇の演出をする機会に恵まれまして。


エラそうに、演技をこんな感じに、とかいいますが、

そういえば、何本演出したんだっけ??

と思ってみると・・・、


① ワンダーエッグ

② 吟遊詩人に会えるまで。

③ ふきだしパズル

④ レンズ
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⑤ (助演)退職!ブラック企業!
⑥ (助演)LOVEの方で!
⑦ (助演)気にしすぎ戦線
⑧ (助演)世の狭間で

こうして数えてみると、たった、8本目。

それでも、それぞれのお芝居は、丁寧に丁寧にみんなで作ってきましたし、

その経験が、いまの私を支えているんだなあと思うと、

なんだか温かいような気がします。


出来ることは勉強をしたいし、

なるべく、演劇をやってよかったな、このお芝居に参加してよかったな、

と思ってもらえる演出でありたいですね。


不断の努力・・・。引き続き頑張ります。





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【戯曲】肝試しに呼ばれたら

なかまくらです。

新作戯曲を公開します。

今年の上半期の創作活動は、この戯曲に費やしたと言っても過言ではない満足感です。

創作は苦しみと喜びが同時にあるんだなあ。

(以下、タイトル文字がリンクになっています。)


2026.6.11 肝試しに呼ばれたら (60分; 男2 女5 不定2)
*** 小学生の頃、肝試しに行った或岩くんは、人魂を飲み込む。
    高校生になった千佳ちゃんは、不思議な空間に迷い込む。

    魂は肉体に、肉体は魂に干渉して、私たちは生きている。心って何だろう。





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【小説】火を見つける

なかまくらです。

久しぶりに新作を書きました。

先週、豊田産業技術記念館へ行ってきたんですが、

そこで見た、織機などにインスピレーションをもらって、書きました。

どうぞ。


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火を見つける


作・なかまくら


20260823


 


 作業場は、鉄道駅から少し離れたところにあった。蒸気と煤けた煙を吐き出して、列車が遠ざかっていく線路沿いを、通い慣れた様子で労働者が歩いていく。しばらく歩くと、踏切があり、その向こうに白い建物が見える。それが作業場だった。


 作業場の扉を開けると、奥の方まで見渡す限り閑散としていた。整然と並べられている作業用の台。置かれているはずのタイプライターはすでに半分以上がなく、それを打ち込む人も疎(まば)らだった。入り口の両側に木箱が置かれていて、工場長がそれを持っていくよう、顎を動かしていた。


 


「よう、欣哉(きんや)。」


 定位置の作業台に空の木箱を置くと、同僚の男、芳一廊が欣哉の肩を叩いていた。


「芳一廊か。」


「片づけたものは、あそこだぜ。」


 芳一廊の目線の先には、木箱が既にうず高く積みあがっていた。欣哉は鞄をいつものように机の下の取っ手に掛けると、それから、キーボードをカチ、カチと思いつくままにいくつか押した。それは、就職してから10年以上、ずっと、この場所に響いていた音であった。あの頃、仕事というものを選べることを知らず、紹介されるままに面接にやってきて、そして、「明日から来てくれ」と工場長が言うままに、働き始めた。雨が降っても、風が吹いても、あの、線路沿いの道を歩いて、この作業場に通った。それが10年にもなる。それが、終わるのだ。一日中、カチカチ、カチカチと、歯車がそのように回るように、地面にあたって、雨が生まれるように、生きている時間が、刻まれるように。この場所に、骨をうずめるのだと思っていた。それは、あるとき欣哉をひどく悩ませていた事柄だった。しかし、若者とはそういう性質の生き物であり、その炎は、やがて収まっていくものなのだと、理解できるようになっていった。


「ここ、データセンターになるらしいぜ。」


「データセンター?」


 聞きなれない言葉に、欣哉は首を傾げた。


「コンピュータから送られてきたデータを、溜めておく場所のことらしい。」


「コンピュータ、というのはなんだ?」


 耳慣れない言葉が、欣哉を不安にさせた。何か得体の知れないものが、やってくるのだ。


「さあ・・・。詳しくは分からないが、自分で考えることもできるタイプライター・・・みたいなのを新聞で読んだな。」


「なんとも、奇天烈な代物だな。」


「外国では、すでに使われ始めているらしい。なんでも、それがあると、月に行くための道だって、計算できるとか。」


「月に・・・? 竹取物語じゃあるまいし。」


 思わず、持ち上げようとしていたタイプライターを落としそうになって、欣哉は慌てて机に戻した。


「それが、どうも本当らしい。向こうでは、人を月に送る計画が進んでいて、哺乳類を宇宙まで飛ばすことは成功しているらしい。」


「宇宙に・・・飛ばす・・・? 大砲で・・・か・・・?」


 それを聞いて、芳一廊が人目を気にして声を抑えながら、背中を震わせて笑い出した。


「馬鹿なことをいうな。乗り物に載せるんだ。その乗り物は、空(くう)を蹴ることができるらしくてな、雲を越えて、その先まで飛んでいけるそうだ。」


「その外国から、データセンターというものが入ってくるのか・・・。」


「どうやらそうらしい。」


欣哉は、タイプライターを信号ケーブルから外して、木箱に入れた。反応が少し悪いローマ字の「A」や、改行するときに、少しコツがいるレバーが木箱の底で眠りにつくのだ。宇宙へ行くような外国が入ってくるならば、これはもう、滅びゆく仕事だったのだろう。欣哉は、ふいに息苦しさを感じて、胸を抑えた。


「おいおい、大丈夫か?」


 背中をさすってくれている芳一廊に、手で礼をして、それから尋ねた。


「芳一廊は、これからどうするんだ?」


「おれか? おれは、実家の紡織を手伝おうと思っていてな。」


 紡織というのは、布を織る作業のことだ。綿を育て、糸を紡ぎ、縦に横に機(はた)織り機に糸をかけて布を織っていくのだ。


「機械を大分前に導入しててな、最初に設定をしてやれば、手を出さなくても勝手に布がでてくるんだ。楽な仕事だよ。」


「そうか・・・。」


「お前も誘ってやれたら良かったんだが・・・。母さんに相談したら、『人間は、そんなにいらん』って、さ。」


「いらん・・・か。」


 欣哉は言い知れぬ不安が背筋に冷たくあるのを感じていた。それは、単に外国が入ってくるだけのことではなく、あるいはそれによって仕事がなくなることを意味するのではなく、それは・・・宇宙が迫ってくるような、そういう息苦しさのような何かだった。


「ああ、別に、欣哉のことがいらんって、ことじゃなくて、一般的に、人手が足りてるってことでな・・・。」


「大丈夫だ、分かってる。」


「おれも、まだ小さかったから、ちゃんとは覚えてないけどな・・・うちも、機械を導入するとき、作業場に並んでいる今までの機織り機と、働いていた機織りのおばちゃん達とたくさん、お別れしたと思う。覚えてないけど、可愛がってくれたと思う。だって、作業場に遊びに行くのは、好きだったから。」


「そうか。」


木箱に詰め終わったのを確認して、欣哉はそれを積み上げられた木箱のどこかに、置いた。


 


 作業台まで戻ると、芳一廊は、給料受け取りのための書類を書いていた。欣哉も、木箱と引き換えにもらったその書類に、必要事項を書いていく。


「・・・月に行ったとして。」


「ん? ・・・ああ。」


「暮らし向きはどうなる?」


「そうだな。生きてなどいけないのかもしれないな。」


「送られた哺乳類はどうなる?」


「酸素がなくなるまで生きて、死ぬんだろうな。月は、ハビタブルゾーンではないからな。」


「ハビ・・?」


 「これも新聞の受け売りだけどな。」


芳一廊は、新しい言葉を覚えたばかりの少年のように、得意げにそれを説明してみせる。居住可能領域(ハビタブルゾーン)。それは人間が暮らせる場所を表す言葉だった。


 欣哉の頭の中には、タイプライターの雨の音がまだ鳴っていた。アナログ情報をデジタル情報に変換する仕事をしている、と説明を受けた。だが、分からないものを、分からないままにしていたのだ。仕事を遂行するうえで、必要のない事柄だった。考えることを求められていなかった。じりじりとその居場所が包囲され、狭まっているとも気付かずに・・・。


「・・・わたしたちは、これから、どこへ行けばいい・・・。」


 書類を出せば、当然、明日からは賃金が支払われない。あの道を通って、ここに来ることもない。ペンを持ったまま、欣哉の口から出た言葉はようやく実感が伴ってきて、情けないことに、震えた。


 


 芳一廊は、その様子をそばに感じながら、作業場の天井を眺めて言葉を探した。


「明日のことは分からん。だが、働けない年じゃない。新しいことを始められない年じゃない。やるだけ、やってみるのさ。」


「やってみる・・・。」


「頭で考えてばかりだと、きっと勝てない。宇宙とか、データとか、空想の土俵で勝負しなくていい。現実の側に、おれたちは立っているからな。」


 欣哉は、芳一廊を見た。その目は少し赤く、揺れているようだった。


 


「炎のようだな。」


 欣哉はふっと笑って、そう言った。


 


「え?」


「揺らめいて・・・変わらないものなどないのなら、それを良い方向に運ぶのが生きるということなんだろうな。」


「なんだ。まあ、きっとそういうことだ。」


何故か少し嬉しそうにこちらを見ている芳一廊の瞳の奥に、揺らめきながらも、決して簡単には消えない命の灯し火が見えた。


 


――人は、その営みの形を変えながらも、生き続けていくのだ。


 


欣哉はその灯し火が、自分の中にも燃えていることを信じた。


これまでカチカチと、規則正しく進んでいた時間が、大きく揺れ始める。しかし、夜闇を照らす灯し火は、やがて大きく命を燃え上がらせ、立ち昇る情熱の炎に成長していくのだ。


そんな未来を胸に抱き、欣哉は作業場を去っていった。







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